

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の筋ジストロフィー|筋肉は、歩くためだけのものではありません」です。ではどうぞ!
筋肉と聞いて思い浮かべるのは
足の筋肉や走る力だと思います。
けれど、筋肉はそれだけではありません。
飲み込むのも筋肉——
息をするのも筋肉——
そして、心臓も筋肉です。
筋ジストロフィーという病気が重いものだとされる理由は
ここにあります。
「歩けなくなる病気」ではないのです。
そして、多くの場合生後10週から12週ごろ——
迎えたばかりの時期に現れます。
結論
筋ジストロフィーとは骨格筋を形成するタンパク質であるジストロフィンが不足、あるいは欠乏してしまい、筋力が低下し筋肉が正常に働かなくなってしまう病気です。多くの場合、生後10週〜12週ごろに発症し、運動能力が著しく劣るため食事や授乳がままならず、結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などにつながります。ジストロフィンが欠損する筋ジストロフィーは性染色体のうちのX染色体で遺伝子突然変異がみられ、雄での発症が多くみられます。ほとんどがゴールデン・レトリーバーであり、この疾患自体の名称にも「ゴールデン・レトリーバー筋ジストロフィー」と名づけられた由来になっています。現在、病気を根治する方法は見つかっていませんが、最近の遺伝子治療の研究では進展があります。
この記事でわかること
- ✓筋肉は、歩くためだけのものではありません
- ✓生後10〜12週——迎えたばかりの時期に
- ✓足りないのは、ジストロフィンです
- ✓オスに出て、メスが伝えます
- ✓なぜ、命に関わるのか
- ✓いまできることは、支えることです
- ✓研究は、動いています
筋肉は、歩くためだけのものではありません

この病気を理解するときにいちばん大事な点がこれです。
筋力が落ちるということは体のあちこちで働きが落ちるということです。
| 筋肉 | していること | 落ちると |
|---|---|---|
| 足の筋肉 | 立つ、歩く、走る | 動けなくなる |
| 飲み込む筋肉 | 食べものを胃へ送る | 食事や授乳がままならない |
| 呼吸の筋肉 | 息を吸い、吐く | 呼吸が浅くなる |
| 心臓の筋肉 | 血液を送り出す | 心臓の機能不全につながる |
| のどの筋肉 | むせないように働く | 誤嚥から肺炎が起きうる |
| 結果として | 全身が関わる | 栄養失調、肺炎、心臓の問題 |
「歩けない」のは入口です。
そこから先に食べること息をすること血を送ることが続いています。
だから、この病気は重いものだとされるのです。
見る場所が、変わります
この見方を知っていると
家で見ておくべきことも変わります。
- 「歩けているか」だけを見ない
- 食べているとき、むせていないか
- 飲み込むのに、時間がかかっていないか
- 呼吸が、速く浅くなっていないか
- 寝ているときの呼吸も、見ておく
- 体重が減っていないか
歩けなくなることは目に見えます。
けれど、飲み込む力や呼吸の力は
気をつけていないと見えません。
そして、そちらのほうが命に近いのです。
だから、見る場所をそこに置いてください。
生後10〜12週——迎えたばかりの時期に

多くの場合生後10週〜12週ごろに発症します。
ちょうど、家に迎える時期と重なります。
- 同じ月齢の子犬より、明らかに動けない
- すぐに疲れて、休んでしまう
- 歩き方が、ぎこちない
- 後ろ足を引きずる、腰が落ちる
- 食事のとき、飲み込みにくそうにする
- むせることがある
子犬には個性があります。
「おとなしい子」「あまり動かない子」——
そう思ってしまいがちです。
けれど、この時期の子犬が運動能力が著しく劣るというのは
それ自体が調べてほしいことです。
「様子を見ましょう」と言われることもあります。
子犬には成長の個体差があるからです。
けれど、見ているあいだにできることが減っていくなら
そこを伝えてください。
「先週はできていたのに」という情報は重く見られます。
比べる相手がいるなら、比べてください
子犬を1頭だけ見ていると
「こんなもの」だと思ってしまいます。
けれど、同じ月齢の子犬と並べてみると
違いがはっきり分かります。
迎えた先に兄弟の様子を聞いてみる——
それも、ひとつの手がかりです。
足りないのは、ジストロフィンです
ジストロフィンとは骨格筋を形成するタンパク質です。
それが不足、あるいは欠乏してしまうと
筋力が低下し筋肉が正常に働かなくなります。
筋肉にはこのたんぱくが必要——
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ジストロフィン | 骨格筋を形成するタンパク質 |
| 足りないと | 筋肉が正常に働かなくなる |
| 結果 | 筋力が低下していく |
| 原因 | X染色体での遺伝子突然変異 |
| 好発犬種 | ほとんどがゴールデン・レトリーバー |
| 病名の由来 | ゴールデン・レトリーバー筋ジストロフィー |
「ほとんどがゴールデン・レトリーバー」——
病名にまで犬種の名前が入っているほど
かたよりのある病気です。
だから、この犬種を迎えたのなら
知っておく価値があります。
診断は、どのように行われるか
「動きが悪い」というだけではこの病気だと決められません。
| 段階 | 行われること |
|---|---|
| まず | 歩き方や筋肉の状態を診る |
| 血液検査 | 筋肉が壊れているかどうかの目安を見る |
| ほかの病気を除く | 神経や骨の問題ではないかを確かめる |
| さらに調べる | 筋肉そのものを調べる検査が行われることも |
| 犬種と月齢 | 疑うきっかけとして、重く見られる |
| 血縁の情報 | あれば、必ず伝えてほしい |
骨や関節の問題神経の問題——
「動けない」という症状にはいくつもの原因があります。
だから、検査が重ねられることがあります。
そのときに犬種と月齢を伝えられていることが
この病気にたどり着く近道になります。
オスに出て、メスが伝えます
ジストロフィンが欠損する筋ジストロフィーは
身体上の性を決定する性染色体のうちのX染色体で遺伝子突然変異がみられます。
そのため雄での発症が多くみられます。
- メスはX染色体を2本持っている
- 片方に変異があっても、もう片方が働く
- オスはX染色体が1本しかない
- その1本に変異があれば、補うものがない
- だから、オスに発症が多い
- メスは、症状が出ないまま伝えることがある
この伝わり方はA型血友病と同じです。
症状はオスに出てメスが次の世代へ伝える——
だから、この病気が見つかったときには
血縁の情報が大きな意味を持ちます。
同じ腹の兄弟にオスがいるなら
同じことが起きている可能性があります。
迎えた先や兄弟を迎えた人に伝えられるなら
早く気づいてもらえます。
そして、飼い主のせいではありません。
育て方や食べもので起きるものではないのです。
なぜ、命に関わるのか

ここは、書くのがつらいところですが
正直に書いておきます。
運動能力が著しく劣るため食事や授乳がままならず
結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などにつながります。
| 起きること | つながる先 |
|---|---|
| 飲み込む力が落ちる | 食事や授乳がままならない |
| 食べられない | 栄養失調につながる |
| むせる | 誤嚥から、肺炎につながる |
| 呼吸の筋肉が弱い | 肺炎から回復しにくくなる |
| 心臓の筋肉が弱い | 心臓の機能不全につながる |
| 重なると | 体が持ちこたえられなくなる |
「筋肉の病気」が肺炎や心臓の問題につながる——
その理由がここにあります。
⚠ むせているなら、伝えてください
食べるときや水を飲むときにむせる——
これは、見過ごしやすいけれど大事なサインです。
むせるということは食べものや水が気管のほうへ行きかけているということ——
そこから肺炎が起きることがあります。
そして、この病気では肺炎から回復しにくいのです。
「よくむせます」と必ず伝えてください。
いまできることは、支えることです

現在、病気を根治する方法は見つかってはいない状態です。
それでも、できることはあります。
- 食べやすい形にして、飲み込みを助ける
- 食べているときの姿勢を、工夫する
- むせていないか、そばで見ている
- 体重を、定期的に測って記録する
- 疲れる前に、休ませる
- 呼吸の様子を、毎日見ておく
とくに、食べること——
栄養が足りているかがそのまま体力になります。
どんな形なら食べやすいかを相談してみてください。
食べられる量が減ってきたときには
早めに伝えてください。
そこから崩れていくことが多いからです。
| 工夫 | 内容 |
|---|---|
| 形状 | 飲み込みやすい状態にする |
| 回数 | 少量を、複数回に分ける |
| 姿勢 | 食べやすい高さ、体勢を工夫する |
| そばで見る | むせていないか、確かめる |
| 体重 | 減っていないか、記録する |
| 相談 | 食べられない日が続くなら、早めに |
そして、無理に動かさないこと——
「運動させれば筋肉がつく」という考え方は
この病気には当てはまりません。
どこまで動かしてよいかは必ず聞いてください。
暮らしの環境を、整える
動きにくい体で暮らすということを考えてみてください。
| 場所 | 工夫 |
|---|---|
| 床 | 滑らないマットを敷く |
| 段差 | なくす、またはスロープを使う |
| 階段 | 柵を設けて、行かせない |
| 寝床 | 移動が少なくて済む場所に置く |
| 食器 | 高さを工夫して、楽な姿勢で食べられるように |
| 水 | 行きやすい場所に、複数置く |
滑る床は健康な犬でも負担になります。
まして、力が入りにくいのなら
踏ん張れずに転んでしまいます。
マットを敷くだけでも動きやすさが変わります。
「動かしすぎない」ことと「動きやすくする」ことは
両立します。
記録が、支えになります
日々の変化を書きとめておくことが役に立ちます。
- 体重(週に一度でもよい)
- 食べた量
- むせた回数
- 歩けた距離、休んだ回数
- 呼吸が速くなっていないか
- できていたことが、できなくなっていないか
毎日見ていると変化に気づけません。
けれど、記録があれば1か月前と比べられます。
それが、受診のときの情報にもなります。
そして、つらいことですが
その記録はあとから支えにもなります。
「できるだけのことはした」と思えることは
飼い主にとって大きなことです。
ひとりで抱えないでください
この病気と向き合うことは飼い主にとって重い時間です。
- 先の見通しが立たず、不安になる
- 目を離せず、疲れがたまる
- 「もっとできることがあるのでは」と思ってしまう
- まわりに、理解されにくい
- そういう気持ちも、話してよい
- かかりつけの獣医師は、そのための相手でもある
「病気の相談」だけでなく
「どうしていけばよいか」を一緒に考えてもらう——
それも、受診の目的になります。
自分を責めないでください。
この病気は生まれつきのもの——
誰かのせいではないのです。
研究は、動いています
最後に、希望のある話を書いておきます。
最近の遺伝子治療の研究では進展があります。
CRISPRを利用した治療で犬の脚部でジストロフィン値が50パーセント
心臓部で90パーセント以上改善し
子犬たちは再び走り回れるようになったという報告があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 方法 | CRISPRを利用した遺伝子治療 |
| 脚部 | ジストロフィン値が50パーセント改善 |
| 心臓部 | 90パーセント以上改善 |
| 結果 | 子犬たちが再び走り回れるようになった |
| 現時点では | 研究の段階。誰でも受けられるものではない |
| それでも | 方向が見えているという意味は大きい |
いますぐ目の前の犬に使えるものではありません。
そこは、はっきり書いておきます。
けれど、「根治する方法がない」という言葉の先に
動いているものがあるということ——
それは、知っておいてよいことだと思います。
「何もできない病気」と「まだ方法がない病気」は
言葉は似ていても意味が違います。
後者には先があるからです。
🩺 研究がつながっているということ
この病気は人間の同じ種類の病気の研究ともつながっています。
だから、研究が続けられている——
そして、そこで進んだことが
いつか犬にも返ってきます。
いまできることを続けながら
その話を聞いておいてください。
よくある質問
Q. 筋ジストロフィーとは、どんな病気ですか?
A. 骨格筋を形成するタンパク質であるジストロフィンが不足、あるいは欠乏してしまい、筋力が低下し筋肉が正常に働かなくなってしまう病気です。
Q. いつごろ症状が出ますか?
A. 多くの場合、生後10週〜12週ごろに発症します。ちょうど、家に迎える時期と重なります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 運動能力が著しく劣ることが特徴です。そのため食事や授乳がままならず、結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などにつながります。
Q. なぜ、命に関わるのですか?
A. 筋肉は、歩くためだけのものではないからです。飲み込む筋肉、呼吸の筋肉、心臓の筋肉——いずれも影響を受けるため、栄養失調や肺炎、心臓の問題につながります。
Q. オスにしか出ないのですか?
A. X染色体で遺伝子突然変異がみられるため、雄での発症が多くみられます。メスはX染色体を2本持っているため、片方に変異があっても症状が出ないまま伝えることがあります。
Q. どんな犬種に多いですか?
A. ほとんどがゴールデン・レトリーバーです。この疾患の名称も「ゴールデン・レトリーバー筋ジストロフィー」と名づけられており、それが由来になっています。
Q. 治せますか?
A. 現在、病気を根治する方法は見つかっていません。できるのは、食事や呼吸を支え、体調の変化に早く気づくことになります。
Q. 運動させて、筋肉をつけたほうがよいですか?
A. この病気には、その考え方は当てはまりません。どこまで動かしてよいかは、必ず獣医師に聞いてください。疲れる前に休ませることが大切です。
Q. 遺伝子治療は受けられますか?
A. 研究の段階です。CRISPRを利用した治療で、犬の脚部でジストロフィン値が50パーセント、心臓部で90パーセント以上改善し、子犬たちが再び走り回れるようになったという報告があります。ただし、いますぐ誰でも受けられるものではありません。
Q. 家のなかで、できる工夫はありますか?
A. 滑らない床にすることから始めてください。力が入りにくいと、滑る床では踏ん張れずに転んでしまいます。段差をなくす、寝床を移動の少ない場所に置く、食器の高さを工夫するなども助けになります。
Q. むせることが多いのですが
A. 必ず伝えてください。むせるということは、食べものや水が気管のほうへ行きかけているということです。そこから肺炎が起きることがあり、この病気では回復しにくくなります。
まとめ|食べることと、息をすることを見てください
この病気でいちばん見ていてほしいことは
「歩けているか」ではありません。
食べられているか——
むせていないか——
呼吸が苦しそうでないか——
そここそがいちばん深く体を支えているからです。
この病気を根治する方法はまだ見つかっていません。
けれど、毎日を支える方法はたしかにあります。
そして、研究は動いています。
いまできることをひとつずつ続けながら
その子と過ごす時間を大切にしてください。
体は動きにくくてもそばにいることはできます。
今日できる3つ
- 1食事のとき、むせていないかそばで見る
- 2体重を測って、記録を始める
- 3どこまで運動させてよいか、聞いておく
筋肉は、歩くためだけのものではありません。だからこそ、食べることと息をすることを見てください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の筋ジストロフィー|筋肉は、歩くためだけのものではありません」でした。
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