

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「シェパードの飼い方|痛みなく後ろ足が動かなくなる病気」です。ではどうぞ!
後ろ足が、ふらつくようになった。
けれど、痛がってはいない——
この組み合わせが、この病気のいちばん厄介なところです。
変性性脊髄症(DM)。
脊髄の神経が徐々に変性していく病気で、ジャーマンシェパードで報告が多く見られてきました。
痛みがないため、「歳のせいかな」で見過ごされやすい——
そして、止める方法はまだありません。
けれど、迎える前に遺伝子検査で素因を確認できるという点が重要です。
この記事では、この病気の見分け方と、この犬種が必要とする「仕事」について書いていきます。
結論
変性性脊髄症(DM)は、痛みのないまま後ろ足が動かなくなっていく進行性の病気です。股関節形成不全と紛らわしいものの、痛みの有無で見分けられます。SOD1という遺伝子の検査で素因が分かるため、迎える前に両親の結果を確認してください。そしてこの犬種には頭を使う仕事が必要です——運動だけでは満たされません。
この記事でわかること
- ✓痛みがないという、厄介さ
- ✓股関節形成不全との見分け方
- ✓遺伝子検査で分かること
- ✓進行を遅らせるためにできること
- ✓頭を使う仕事が、必要な犬種
痛みがないという、厄介さ

変性性脊髄症は、脊髄の神経が徐々に変性していく病気です。
人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と関連する遺伝子が関わっていると考えられています。
| 段階 | 症状 | 経過 |
|---|---|---|
| 初期 | 後ろ足がふらつく・ふらふらする | 痛みはない |
| 初期の特徴 | 後ろ足の爪の先が斜めに削れる | 引きずっている証拠 |
| 進行 | 後ろ足が立たなくなる | 数か月から1年ほどで |
| さらに進行 | 前足にも症状が及ぶ | 下から上へ向かう |
| 終末期 | 呼吸に関わる筋肉に影響 | 介護が中心になる |
もっとも早いサインは、「後ろ足の爪の先だけが斜めにすり減っている」ことです。
足を持ち上げきれずに引きずって歩いている——本人はまだ普通に歩いているつもりでも、神経の症状はすでに出ています。
そして「足の甲で立ってしまう」。
足を裏返しに置いても自分で直せない——これは、位置の感覚が失われているサインです。
痛みがないことの、両面
痛みがないという点には、2つの意味があります。
ひとつは、犬が苦しまないということ。
これは、救いのある部分です。歩けなくなっていく過程で、痛みに耐える必要はありません。
もうひとつは、気づくのが遅れるということ。
犬は訴えません。「歳をとったから」「疲れているのかな」——
そう思っているうちに、進んでいきます。
だからこそ、後ろ足の爪と歩き方を定期的に見てください。
股関節形成不全との、見分け方

この犬種では、股関節形成不全も多く見られます。
どちらも後ろ足の症状ですから、混同されやすいのです。
| 項目 | 変性性脊髄症 | 股関節形成不全 |
|---|---|---|
| 痛み | ない | ある |
| 歩き方 | ふらつく・足を引きずる | 腰を左右に振る |
| 爪 | 先端だけ斜めに削れる | 特徴的な削れはない |
| 足の甲で立つ | 直せない | すぐ直せる |
| 朝・寒い日 | 変わらない | 悪化しやすい |
| 痛み止め | 効かない | 効く |
家庭でできる確認をひとつ紹介します。
後ろ足を、そっと裏返しに置いてみる——
健康な犬なら、すぐに元に戻します。
戻せない、あるいは戻すのに時間がかかるなら、神経の症状を疑う理由になります。
⚠ 動画を撮って、受診してください
診察室では、犬は緊張して普段と違う動きをします。
家での歩き方、とくに後ろから撮った歩行の映像が診断を大きく助けます。
あわせて、後ろ足の爪の写真も撮っておいてください。削れ方は、言葉で伝えるより見てもらうほうが確実です。
遺伝子検査で、分かること

この病気には、SOD1という遺伝子が関わっていると考えられています。
そして、その変異は遺伝子検査で調べられます。
| 結果 | 意味 | 発症 |
|---|---|---|
| クリア(正常) | 変異を持たない | しない |
| キャリア(保因) | 変異を1つ持つ | 基本的にしない |
| アフェクテッド | 変異を2つ持つ | 可能性がある |
| 繁殖の考え方 | 両親の結果で組み合わせを選ぶ | 発症する子犬を避けられる |
重要なのは、「アフェクテッド=必ず発症する」わけではないという点です。
変異を2つ持っていても、生涯発症しない個体もいます。
不完全な形で受け継がれると考えられているためです。
それでも、素因を知っておく意味は大きくあります。
- 迎える前に、両親の検査結果を確認する
- 「検査済み」ではなく、結果の内容まで聞く
- 書面で受け取っておく
- すでに迎えた犬でも、検査は受けられる
- 素因が分かれば、早い段階から備えられる
- 検査をしていない繁殖者には、理由を尋ねる
この病気は、「迎える前に確認できる」数少ない病気のひとつです。
その機会を、使わない手はありません。
検査結果を公開している繁殖者は、この犬種の課題をきちんと理解していると考えてよいでしょう。
質問して嫌な顔をされるなら、その相手からは迎えない——それも、ひとつの判断になります。検査には費用も手間もかかるからこそ、そこに繁殖者の姿勢がはっきり出ます。
進行を遅らせるために、できること
治す方法は、まだありません。
けれど、できることはあります。
| すること | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 運動を続ける | 無理のない範囲で歩かせる | 進行を遅らせる可能性 |
| リハビリを取り入れる | 水中トレッドミルなど | 筋肉を保つ |
| 床の滑り止め | 踏ん張れる環境にする | 転倒を防ぐ |
| 体重管理 | 適正体重を保つ | 足への負担を減らす |
| 足先の保護 | 靴下やブーツを使う | 擦り傷を防ぐ |
| 車椅子 | 歩けなくなった時期に | 散歩を続けられる |
「歩けなくなったら、終わり」ではありません。
車椅子を使えば、散歩は続けられます。
そして、この病気には痛みがありません。
犬自身は、驚くほど前向きに適応していきます。
大変なのは、むしろ介護する側です。
30〜40kgの体を支える——一人で抱え込まず、介助用のハーネスやリハビリ施設を使ってください。
頭を使う仕事が、必要な犬種

ここからは、この犬種の気質の話です。
ジャーマンシェパードは、働くために作られた犬です。
警察犬、軍用犬、災害救助犬、盲導犬——
これほど多くの仕事に使われている犬種はほかにありません。
その能力は、使わなければ余ります。
- 散歩だけでは、この犬種は満たされない
- においで探す遊びは、本能に合っている
- 「持ってくる」「待つ」など役割を与える
- 新しいことを教える時間を、毎日作る
- 散歩のルートを変えて、情報を増やす
- 訓練は5分を1日数回に分ける
運動量が足りていても、頭を使っていなければ問題行動は出ます。
吠える、掘る、壊す、落ち着きがなくなる——
この犬種では、「退屈」がもっとも大きなリスクです。
「仕事」は、特別なものでなくていい
「頭を使う仕事」と聞くと、訓練競技のような本格的なものを想像するかもしれません。
そこまでの必要はありません。
家庭のなかでできることで十分に足ります。
| やること | 内容 | 時間 |
|---|---|---|
| おやつ探し | 部屋に隠して、においで探させる | 5〜10分 |
| 持ってくる | 指定したものを取ってこさせる | 5分 |
| 名前を覚えさせる | おもちゃを区別させる | 5〜10分 |
| 待つ練習 | 時間を延ばしていく | 数分 |
| 散歩の変化 | ルートを変えて情報を増やす | いつもの散歩で |
重要なのは、「犬が考える時間」があるかどうかです。
ただ走らせるだけでは、この犬種の頭は使われません。
そして、この犬種は教える過程そのものを楽しみます。
「何かをやらせてもらえる」ことが、この犬にとっての報酬になるのです。
社会化と、力の管理
警戒心が強く、縄張り意識もある犬種です。
そして体重は30〜40kg——
子犬期の社会化は、この犬種では必須だと考えてください。
生後4か月ごろまでに、さまざまな人・犬・音・場所に良い経験として会わせておく——
この時期の経験が、その後十数年の扱いやすさを決めます。
そして「引っぱらずに歩く」練習。40kgの犬に引っぱられたら、人は止められません。
体が小さいうちに始めてください。
背中の傾斜という、議論
この犬種について、知っておいてよいことがもうひとつあります。
「背中が傾斜している個体」を見たことがあるでしょうか。
後ろにいくほど腰が下がり、後ろ足が深く曲がっている——
これは、ドッグショーの世界で評価されてきた体型です。
| 系統 | 特徴 | 傾向 |
|---|---|---|
| ショーライン | 背中の傾斜が強い個体が多い | 外見の評価を重視して選抜 |
| ワーキングライン | 背中が比較的まっすぐ | 作業能力を重視して選抜 |
| 関節への影響 | 傾斜が強いほど負担が疑われる | 議論が続いている |
| 気質の傾向 | ワーキングは意欲が高いことが多い | 家庭犬には扱いが難しい面も |
極端な傾斜が関節に負担をかけるのではないか——
この点については、国際的にも議論が続いています。
迎える側としてできることは限られますが、両親の股関節の検査結果を確認することはできます。
- 両親の股関節の評価結果を書面で確認する
- SOD1の遺伝子検査の結果もあわせて聞く
- どの系統か、繁殖者に尋ねてみる
- ワーキングラインは運動と刺激の要求が高い傾向
- 家庭犬として迎えるなら、気質の相性を優先する
- 両親の実際の歩き方を見せてもらう
「両親の歩き方を見せてもらう」——
これは、書類より確かな情報になることがあります。
そのほかに、注意したい病気
神経と関節のほかにも、この犬種で知られている病気があります。
| 病気 | 内容 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 股関節形成不全 | この犬種で頻度が高い | 腰を振って歩く |
| 肘関節形成不全 | 前足の関節に起こる | 前足をかばう |
| 膵外分泌不全 | 消化酵素が作られなくなる | 大量の軟便・食べても痩せる |
| 胃拡張・胃捻転 | 胸の深い大型犬の緊急疾患 | お腹が張る・吐こうとして吐けない |
| 血管肉腫 | 脾臓などにできる悪性腫瘍 | 突然の虚脱・歯ぐきが白い |
膵外分泌不全は、この犬種で比較的知られている病気です。
消化に必要な酵素が作られなくなるため、食べても栄養が吸収できません。
「よく食べているのに痩せていく」「量の多い軟便が続く」——
この組み合わせが特徴的なサインになります。
酵素を補う治療でコントロールできる病気ですから、気づいたら受診してください。
暮らしと、手入れの実際
この犬種の基本をまとめておきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体重 | オス30〜40kg/メス22〜32kg |
| 平均寿命 | 9〜13年 |
| 性格 | 忠実・賢い・警戒心が強い |
| 運動量 | 1日2回、各1時間+頭を使う時間 |
| 被毛 | ダブルコート。非常によく抜ける |
| トリミング | 不要 |
抜け毛は、非常に多い犬種です。
換毛期には、毎日ブラッシングしても追いつかないほど抜けます。
週2〜3回、換毛期は毎日——これが目安になります。
そしてブラッシングの時間は、後ろ足の様子を見る時間にもなります。
爪の削れ方、後ろ足の筋肉の落ち方——毎週触っている飼い主なら、変化に早く気づけます。
介護が必要になったとき
この病気が進んだとき、何が起きるのか——
先に知っておくほうが、備えられます。
| 段階 | 必要になること | 使える道具 |
|---|---|---|
| ふらつく時期 | 滑らない床・段差の排除 | マット・スロープ |
| 立ちにくい時期 | 立ち上がりの介助 | 介助用ハーネス |
| 歩けない時期 | 移動の補助 | 犬用の車椅子 |
| 寝たきりの時期 | 体位を変える・床ずれ予防 | 厚めのマット |
| 排泄の介助 | 圧迫排尿が必要になることも | 動物病院で手順を教わる |
30〜40kgの体を毎日支える——
これは、体力的に簡単なことではありません。
- 介助用ハーネスを、早めに用意しておく
- 複数の家族で分担できる体制を作る
- 床の滑り止めは、この時期にこそ効く
- 段差のない導線を、あらかじめ作っておく
- リハビリ施設を近くで探しておく
- 一人で抱え込まず、獣医師に相談する
そして、忘れないでほしいことがあります。
この病気に、痛みはありません。
歩けなくなっても、犬は苦しんでいるわけではありません。
車椅子で走り回る犬を見たことがあるでしょうか。
驚くほど速く走り、散歩を心から楽しみます。
失われたのは足の自由であって、その犬らしさではありません。
よくある質問
Q. 後ろ足がふらつきます。痛がってはいません。
A. 変性性脊髄症の可能性があります。痛みがないまま後ろ足が動かなくなっていく進行性の病気です。後ろ足の爪の先が斜めに削れていないか、足を裏返しに置いて自分で直せるかを確認して受診してください。
Q. 股関節形成不全との違いは?
A. 痛みの有無がいちばんの手がかりです。股関節形成不全は痛みがあり、朝や寒い日に悪化し、痛み止めが効きます。変性性脊髄症は痛みがなく、爪の先だけが斜めに削れるのが特徴です。
Q. 遺伝子検査とは何ですか?
A. SOD1という遺伝子の変異を調べる検査です。クリア・キャリア・アフェクテッドの3つに分かれます。迎える前に両親の結果を書面で確認してください。すでに迎えた犬でも検査は受けられます。
Q. アフェクテッドだと、必ず発症しますか?
A. 必ずではありません。変異を2つ持っていても、生涯発症しない個体もいます。不完全な形で受け継がれると考えられているためです。それでも、素因を知って早い段階から備える意味は大きくあります。
Q. 歩けなくなったら、どうすればいいですか?
A. 車椅子を使えば、散歩は続けられます。この病気には痛みがなく、犬自身は驚くほど前向きに適応していきます。大変なのは介護する側です。介助用ハーネスやリハビリ施設を使ってください。
Q. 散歩だけでは足りませんか?
A. 足りません。警察犬や災害救助犬として使われてきた犬種で、頭を使う仕事を必要とします。においで探す遊び、新しいことを教える時間——1日10分でも入れると、落ち着きが変わります。
Q. 抜け毛はどれくらいですか?
A. 非常に多い犬種です。ダブルコートで、換毛期には毎日ブラッシングしても追いつかないほど抜けます。通常期は週2〜3回、換毛期は毎日が目安になります。
まとめ|爪の削れ方を、見てください
変性性脊髄症は、痛みのないまま進む病気です。
犬は訴えません。だから、飼い主が見るしかありません。
後ろ足の爪の先が、斜めに削れていないか。
足を裏返しに置いたとき、自分で直せるか——
この2つを、月に一度は確認してください。
そして遺伝子検査。
これは、迎える前に確認できる数少ない病気です。両親の結果を、書面で受け取ってください。
この犬種は、働くために作られた犬です。
その能力を使わせてあげられるなら、これほど応えてくれる犬種はそう多くありません。
賢く、忠実で、そして家族を守ろうとする——
その姿を長く見ていられるように、後ろ足の変化にだけは早く気づいてあげてください。
今日から始める3つ
- 1後ろ足の爪の先が、斜めに削れていないか確認する
- 2迎える前なら、両親のSOD1遺伝子検査の結果を書面で確認する
- 3散歩に加えて、においで探す遊びを1日10分入れてみる
この病気は、痛みがないぶん気づくのが遅れます。爪の削れ方を見る習慣が、いちばん早いサインになります。

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