

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の重症筋無力症|休むと、また歩けるのが特徴です」です。ではどうぞ!
歩き始めるのに、すぐ座り込む。
けれど、少し休むとまた歩ける——
その波が、この病気の特徴です。
重症筋無力症は、神経から筋肉への信号がうまく伝わらなくなる病気です。そして猫では、腫瘍に伴って起こる割合が比較的高いとされています。
結論
重症筋無力症とは神経から筋肉へ信号を伝えるしくみがうまく働かなくなる病気です。先天性の重症筋無力症では、アセチルコリン受容体の数が生まれつき少ないことが原因です。後天性の重症筋無力症は、免疫に異常が起こり、アセチルコリン受容体を攻撃する抗体が自分の体で作られてしまうことが原因です。猫では、腫瘍に伴って起こる免疫異常による重症筋無力症の割合が比較的高いと言われています。筋肉に力が入りづらくなるため、歩き方がふらふらになったり、少し動くと座り込んだり横たわったりします。少し休むとまた普通に立ち上がって歩けるようになりますが、重症の場合、立ったり歩いたりが難しくなり、横になったまま顔を上げるのも難しくなってしまうこともあります。巨大食道症を伴っている場合は、誤嚥を起こさないように立位で食事を与えるなどの介助が必要になることがあります。治療では、神経筋接合部におけるアセチルコリンの作用を増強させるため、コリンエステラーゼ阻害薬を投与します。腫瘍が原因である後天性重症筋無力症では、その腫瘍を治療する必要があります。
この記事でわかること
- ✓信号が、伝わらなくなります
- ✓休むと、また歩けます
- ✓猫では、腫瘍を探します
- ✓生まれつきの型もあります
- ✓食道にも、影響します
- ✓立たせて、食べさせてください
- ✓動きと抗体で、確かめます
- ✓薬で、力が戻ります
信号が、伝わらなくなります
まず、体で何が起きているのかから。
神経と筋肉の、つなぎ目の病気です
動こうとするとき、神経が筋肉へ信号を送ります。
そのつなぎ目で使われるのが、アセチルコリンという物質です。
そこがうまく働かなくなります。
受け取る側に、問題があります
アセチルコリン受容体とは
その信号を受け取る側の部品です。
それが少ない、あるいは攻撃されている——
だから、信号が届きません。
筋肉そのものは、壊れていません。
力が、入らなくなります
筋肉に力が入りづらくなるため、歩き方がふらふらになります。
まったく動けないわけではありません。
けれど、続かないのです。
使えば使うほど、信号が届かなくなる——
だから、動くと悪くなり、休むと戻ります。
休むと、また歩けます

ここが、いちばん分かりやすい特徴です。
少し動くと、座り込みます
少し動くと座り込んだり、横たわったりします。
歩き始めは、ふつうに見えます。
それが、数歩で終わってしまいます。
そして、また歩けるようになります
少し休むと、また普通に立ち上がって歩けるようになります。
この「戻る」ところが
ほかの病気と違う点です。
だから、動画に撮ってください
診察室では、その波が見えません。
家で歩いている様子を、撮っておいてください。
歩き始めから、座り込むまで——
それが、そのまま診断の材料になります。
「疲れやすいんです」という言葉より、
十秒の動画のほうが、はるかに伝わります。
目や顔にも、出ることがあります
まぶたが下がってくる、まばたきが弱くなる——
顔の筋肉にも、影響が出ることがあります。
声が変わることも、あります。
そういう変化も、伝えてください。
重症になると、戻らなくなります
重症の場合、立ったり歩いたりが難しくなり、横になったまま顔を上げるのも難しくなってしまうこともあります。
そこまで進む前に、気づきたいところです。
早い段階なら、薬でよく戻ります。
- 歩き始めても、すぐ座り込む
- 休むと、また歩ける
- 高いところへ、登らなくなった
- 歩き方が、ふらついている
- 顔を上げているのが、つらそう
- 食べたものを、吐き出す
上の二つが揃っていたら、この病気を疑ってください。
猫では、腫瘍を探します

ここが、猫で大事なところです。
腫瘍に伴うことが、多いのです
猫では、腫瘍に伴って起こる免疫異常による重症筋無力症の割合が比較的高いと言われています。
筋肉の病気なのに、腫瘍を探す——
そこが、この病気の特徴です。
関節や骨の痛みとは、動き方が違います。
胸腺腫が、代表的です
胸腺腫は
この病気を伴うことが知られている腫瘍です。
胸の前のほうにできる腫瘍で、
猫では手術後の中央生存期間が1825日と報告されています。
だから、胸を撮ります
「立てない」で来た猫に、胸の画像を撮る——
一見つながらないように思えます。
けれどそこに答えがあることがあります。
腫瘍を治すことが、治療になります
腫瘍が原因である後天性重症筋無力症では、その腫瘍を治療する必要があります。
腫瘍が取れれば、筋肉の症状も改善することがあります。
だから、そこまで調べる意味があります。
「立てない」という症状から、胸の腫瘍が見つかる——
そういう順番になることがあります。
似た症状を出すものと、区別します
| 考えられるもの | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 重症筋無力症 | 動くと座り込み、休むと戻る |
| 関節の痛み | 動き始めがつらく、動くとほぐれる |
| 脊髄の病気 | 後ろ足だけ、あるいは片側に出る |
| 心臓の病気 | 呼吸が速くなる。舌の色が変わる |
| 貧血 | 歯ぐきが白い。少し動くと息が上がる |
血液検査で、貧血や心臓の問題も同時に確かめます。
生まれつきの型もあります
先天性のことです。
受容体が、もともと少ないのです
先天性の重症筋無力症では、アセチルコリン受容体の数が生まれつき少ないことが原因です。
免疫の異常ではありません。
だから、抗体の検査では分かりません。
若いうちから、症状が出ます
子猫のころから、疲れやすい——
そういう形で気づかれます。
「おとなしい子だと思っていた」ことも
あります。
兄弟と比べて、遊びが続かない——
そこで気づかれることもあります。
確定には、筋生検が要ります
先天性重症筋無力症の確定診断には、筋生検が必要です。
筋肉の一部を採って、調べる検査です。
専門的な施設で行われます。
食道にも、影響します
合併する問題です。
巨大食道症を、伴うことがあります
巨大食道症とは
食道が広がって、動かなくなる状態です。
食道の筋肉も、同じように力が入らなくなるためです。
食べたものが、戻ってきます
食道が動かなければ、食べたものは胃まで届きません。
だから、そのまま吐き出されます。
食道狭窄と同じく
吐出という形になります。
誤嚥性肺炎が、いちばん怖いのです
吐き出したものが、気管に入る——
そこから、誤嚥性肺炎が起こります。
この病気で、いちばん危険な合併症です。
咳が出る、呼吸が速いなら、
その日のうちに受診してください。
⚠ すぐに受診してください
咳が出る、呼吸が速い。
横になったまま、起き上がれない。
食べたものを、そのまま吐き出す。
ぐったりして、動かない。
誤嚥性肺炎は、急を要する状態です。
立たせて、食べさせてください

家でできる、大事な介助です。
立位で、与えてください
巨大食道症を伴っている場合は、誤嚥を起こさないように立位で食事を与えるなどの介助が必要になることがあります。
重力を使って、食道を下ろす——
それが、いちばん確実な方法です。
食後も、しばらく立たせてください
食べてすぐ寝かせると、戻ってきます。
十分ほど、立った姿勢を保たせてください。
抱いたままでもかまいません。
形も、工夫できます
とろみのあるもののほうが、通りやすいことがあります。
逆に、団子状のほうが良い猫もいます。
その猫に合う形を、探してみてください。
どの形が通ったかを、書き留めておいてください。
少しずつ、何度も与えてください
一度に多く入れると、戻りやすくなります。
回数を分けるほうが、安全です。
手間はかかりますが、肺炎を防げます。
この病気でいちばん命に関わるのが、誤嚥性肺炎です。
食事の介助は、そのまま治療の一部です。
| 場面 | してほしいこと |
|---|---|
| 食事のとき | 立たせた姿勢で、与える |
| 食後 | 十分ほど、立った姿勢を保つ |
| 量 | 少量を、何度かに分ける |
| 形 | とろみや団子状など、合うものを探す |
| そのあと | 咳や呼吸の変化を、見ておく |
動きと抗体で、確かめます

診断の進め方です。
テンシロンテストを行います
典型的な四肢の運動不耐性の症状が認められる場合には、テンシロンテストを実施します。
薬を使って、一時的に力が戻るかを見る検査です。
その場で、変化が分かることがあります。
立てなかった猫が、立ち上がる——
そういう反応が出れば、大きな手がかりになります。
抗体を、調べます
後天性重症筋無力症は、アセチルコリン受容体に対する抗体が血中から検出されれば、確定診断することができます。
血液を採って、外部の検査機関へ送ります。
結果まで、日数がかかります。
その間も、疑わしければ治療を始めることがあります。
反応を見ること自体が、情報になります。
胸の中も、必ず見ます
腫瘍が背景にないかを
画像で確かめます。
猫では、これが重要な検査になります。
食道も、確かめます
巨大食道症を伴っていないかも
あわせて見ます。
そこで、介助の必要性が決まります。
造影して、流れ方を見ることもあります。
どこで止まるかが、そのまま分かります。
受診のときに、伝えてほしいこと
- いつから、疲れやすくなったか
- 何歩くらいで、座り込むか
- 休むと、また歩けるかどうか
- 吐き出すことがあるか
- 咳が出ていないか
- 撮った動画があれば、見せる
「休むと戻る」という言葉を、必ず伝えてください。
薬で、力が戻ります
治療の話です。
信号を、届きやすくします
神経筋接合部におけるアセチルコリンの作用を増強させるため、コリンエステラーゼ阻害薬を投与します。
受け取る側が少ないなら、送る側を強くする——
そういう考え方の薬です。
効けば、はっきり分かります
薬が効けば、また歩けるようになります。
その変化は、家でも分かります。
量の調整が必要なので、様子を伝えてください。
多すぎても、少なすぎてもうまく働きません。
自己判断で増減させないでください。
腫瘍があれば、そちらも治します
腫瘍が原因である後天性重症筋無力症では、その腫瘍を治療する必要があります。
薬だけでは、根本が残ります。
両方を、進めていくことになります。
急に悪くなることもあります
呼吸に使う筋肉まで、力が入らなくなることがあります。
そうなると、命に関わります。
呼吸が速い、浅いなら、
夜間でもすぐに受診してください。
免疫を抑える薬を、使うこともあります
自分の抗体が原因である以上、
免疫を抑える治療が加わることがあります。
効き方を見ながら、調整していきます。
暮らしのなかで、支えられること
| 困りごと | できる工夫 |
|---|---|
| すぐ疲れる | 休める場所を、あちこちに作る |
| 高い所へ登れない | 段差を低く分ける。踏み台を置く |
| トイレが遠い | 近くに、もう一つ置く |
| 食事で吐き出す | 立たせて与え、食後も立たせる |
| 薬の時間 | 効いている時間に、食事を合わせる |
疲れさせない工夫が、そのまま暮らしやすさになります。
家で、見ておいてほしいこと
- 何歩くらいで、座り込むか
- 休んでから、また歩けるか
- 薬を飲んだあと、変わるか
- 吐き出すことが、あるか
- 咳や呼吸の変化がないか
- 体重が、減っていないか
「何歩で座り込むか」を数えておくと
薬の効果が、数字で分かります。
🩺 胸を調べる意味
「歩けるのに、続かない」——
それが、この病気の特徴です。
そして猫では、腫瘍に伴って起こる割合が比較的高いとされています。
だから、胸の中まで調べます。
この記事の要点
少し動くと座り込み、休むとまた歩けるという波が特徴です。
猫では、腫瘍に伴って起こる免疫異常による割合が比較的高いとされています。
巨大食道症を伴う場合は、誤嚥を起こさないように立位で食事を与える介助が必要です。
治療はコリンエステラーゼ阻害薬で、腫瘍が原因ならその治療も必要になります。
Q. どんな病気ですか?
A. 神経から筋肉へ信号を伝えるしくみが、うまく働かなくなる病気です。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 筋肉に力が入りづらくなるため、歩き方がふらふらになったり、少し動くと座り込んだり横たわったりします。
Q. 休むと、また歩けます
A. それが、この病気の特徴です。少し休むと、また普通に立ち上がって歩けるようになります。
Q. 重症になると、どうなりますか?
A. 立ったり歩いたりが難しくなり、横になったまま顔を上げるのも難しくなることがあります。
Q. 原因は何ですか?
A. 先天性ではアセチルコリン受容体の数が生まれつき少なく、後天性では受容体を攻撃する抗体が自分の体で作られてしまいます。
Q. 猫では、何が多いのですか?
A. 腫瘍に伴って起こる免疫異常による割合が比較的高いと言われています。
Q. なぜ胸の検査をするのですか?
A. 背景に腫瘍がないかを確かめるためです。胸腺腫は、この病気を伴うことが知られています。
Q. 腫瘍を治せば、良くなりますか?
A. 腫瘍が原因である場合は、その治療が必要です。腫瘍が取れれば、筋肉の症状も改善することがあります。
Q. 食べたものを吐き出します
A. 巨大食道症を伴っている可能性があります。食道の筋肉にも、力が入らなくなるためです。
Q. 食事は、どう与えればよいですか?
A. 誤嚥を起こさないように、立位で食事を与えてください。食後もしばらく、立った姿勢を保たせてください。
Q. いちばん危険なことは?
A. 誤嚥性肺炎です。咳が出る、呼吸が速いときは、その日のうちに受診してください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 典型的な症状があればテンシロンテストを実施します。後天性は、血中の抗体が検出されれば確定できます。
Q. 先天性は、どう確かめますか?
A. 確定診断には、筋生検が必要です。
Q. 治療はどうしますか?
A. アセチルコリンの作用を増強させるため、コリンエステラーゼ阻害薬を投与します。
Q. 家では何を見ておけばよいですか?
A. 何歩で座り込むか、休んでまた歩けるかです。数えておくと、薬の効果が数字で分かります。
まとめ|歩く様子を、動画に撮ってください
この病気の特徴は、「歩けるのに、続かない」ことです。
少し動くと座り込み、休むとまた歩ける——
その波が、ほかの病気と違うところです。
けれど、診察室ではその波が見えません。
だから、動画に撮ってください。
そして猫では、腫瘍に伴って起こる割合が比較的高いとされています。
だから、胸の中まで調べます。
薬が効けば、また歩けるようになります。
食べたものを吐き出すなら、立たせて食べさせてください。
今日できる3つ
- 1歩き始めから座り込むまでを、動画に撮る
- 2何歩で座り込むかを、数えて記録する
- 3吐き出すことがあるなら、立たせて食べさせてみる
この病気は、動きのパターンが診断を助けます。「休むと戻る」を、伝えてください。

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