

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫のフィラリア症|数が少ないほうが、危ないのです」です。ではどうぞ!
フィラリア症は、犬の病気だと思われがちです。実際、猫では犬ほど話題になりません。
理由のひとつは、猫の体内では、ほとんどのフィラリアが成虫になれないことです。
猫の体内に侵入したフィラリアのほとんどは死滅し、2〜7%しか成虫に成長できません。
けれど、それは安心材料になりません。猫の場合、数が少ないことがそのまま危険につながる——この病気には、そういう構造があります。
結論
猫のフィラリア症は蚊が媒介する寄生虫が、心臓や肺の血管に寄生する病気です。犬と大きく違うのは、猫は免疫がフィラリア排除に強く働くため成虫まで発育できない場合が多く、体内に侵入したフィラリアのほとんどは死滅し、2〜7%しか成虫に成長できないという点です。そのため寄生している成虫の数が少なく、犬と異なりはっきりした症状が出ません。特徴的なのは一定期間をおいて治まってはぶり返す咳と、一定期間をおいて繰り返す嘔吐です。こわいのは成虫が2〜3年の寿命を迎えて死滅したときに、死骸が血液に乗って肺や心臓の血管を詰まらせ、血液循環が途絶えて突然死を起こす危険性があることです。診断された猫の4頭中1頭は室内飼育されていました。猫では駆虫治療が確立されていないため、予防だけが確実な手段になります。
この記事でわかること
- ✓犬とは、起きることが違います
- ✓数が少ないほうが、危ないのです
- ✓死ぬときが、いちばん危険です
- ✓症状は、はっきりしません
- ✓室内飼いでも、起こります
- ✓診断が難しい病気です
- ✓治す方法が、ありません
- ✓予防のしかた
犬とは、起きることが違います

同じフィラリアでも、犬と猫では体の中で起きることがまったく違います。
猫は免疫がフィラリア排除に強く働くため、成虫まで発育できない場合が多く、犬のように多数の寄生は起こりません。
| 犬 | 猫 | |
|---|---|---|
| 成虫になる割合 | 多くが成虫まで育つ | 2〜7%にとどまる |
| 寄生数 | 多数寄生することがある | ごく少数 |
| 症状 | はっきり出る | ぼんやりしていて、紛らわしい |
| 診断 | 検査で見つけやすい | 見つけにくい |
| 駆虫治療 | 方法がある | 確立されていない |
| こわいところ | 心臓への負担が進む | 突然死が起こりうる |
免疫が強く働くというのは、一見よいことのように聞こえます。
けれどこの病気では、それが別のかたちの危険を生みます。
数が少ないほうが、危ないのです
犬では、寄生する数が多いほど重くなります。分かりやすい関係です。
猫では、そうなりません。一匹か二匹の寄生でも、命に関わることがあります。
猫の血管は、細いのです
理由は、体の大きさにあります。
猫の肺の血管は、犬よりずっと細くできています。そこに一匹でも虫がいれば、それだけで大きな障害になります。
さらに、猫の免疫は虫に対して強く反応します。その反応そのものが、肺に強い炎症を起こします。
虫の数ではなく、体が起こす反応の激しさ——猫ではそちらが問題になります。
「少ないから軽い」ではありません
犬の感覚で考えると、「猫は成虫になりにくいから安心」と思ってしまいます。
けれど実際は逆です。少ないからこそ見つかりにくく、そして一匹でも致命的になりうる——それが猫のフィラリア症です。
死ぬときが、いちばん危険です

この病気で、もっとも知っておいていただきたいのがここです。
成虫が2、3年の寿命を迎えて死滅したときに、死骸が血液に乗って肺や心臓の血管を詰まらせることで、血液循環が途絶えて突然死を起こす危険性があります。
つまり虫が生きているあいだより、死ぬときのほうが危ないのです。
前ぶれなく、起こります
それまで元気にしていた猫が、急に呼吸ができなくなり、そのまま亡くなる——そういう経過をたどることがあります。
咳も嘔吐もなかった猫で、いきなり起こることもあります。気づく機会が与えられないのが、この病気の残酷なところです。
だからこそ、「症状が出てから考える」では間に合いません。
症状は、はっきりしません

寄生している成虫の数が少ないため、猫は犬と異なりはっきりした症状が出ません。
症状が進行するまでは、嘔吐や元気がない、食欲がない、体重が減るなど、他の病気と見分けがつかないことが多いものです。
特徴があるとすれば、周期性です
猫のフィラリア症では、一定期間をおいて治まってはぶり返す咳と、一定期間をおいて繰り返す嘔吐が見られます。
ここが手がかりになります。よくなったと思ったら、また出てくる——その繰り返しです。
- 咳が出て、しばらくして治まり、また出る
- 吐く時期があり、落ち着き、また吐く
- 元気がない日と、ふつうの日がある
- 体重が、じわじわ減っている
- 静かにしているのに、呼吸が速い
- 遊ばなくなった、高い所に登らなくなった
喘息と間違えられることがよくあります。猫の喘息も、周期的な咳を起こすためです。
「喘息と言われたが、よくならない」という場合、この病気の可能性も考えます。
⚠ この様子なら、すぐに受診してください
- 急に呼吸が苦しそうになった
- 口を開けて息をしている
- ぐったりして、動かない
- ふらついて、倒れた
- 歯ぐきが青白い、紫がかっている
- くり返す咳と嘔吐がある
急な呼吸困難は、この病気では緊急です。移動そのものが負担になるため、先に電話で連絡してから向かってください。
肺に、変化が残ることもあります
成虫にならなかった幼虫も、まったく無害というわけではありません。
免疫が幼虫を排除するとき、その戦いの場が肺の血管になります。そこで強い炎症が起こります。
虫が死んだあとも、肺に炎症の跡が残ることがあります。咳が長く続いたり、呼吸が浅くなったりするのは、そのためです。
成虫がいなくても症状が出る——この点も、猫のフィラリア症を分かりにくくしています。
室内飼いでも、起こります

「うちの子は外に出さないから大丈夫」——そう考える方が多いと思います。
けれど、数字はそう語っていません。
フィラリア症と診断された猫の4頭中1頭は、室内飼育されていました。
蚊は、家の中に入ってきます
当たり前のことですが、蚊は玄関からも窓からも入ってきます。
人が出入りするときに一緒に入り、そのまま室内で猫を刺します。
- 玄関の開け閉めのときに入る
- ベランダや窓から入ってくる
- 網戸のすき間から入る
- 人の衣類について入ることもある
- 排水口や換気口から入ることもある
- マンションの高層階でも、入ってくる
外に出さないことは、多くの病気に効く対策です。けれどこの病気だけは、それでは防げません。
診断が難しい病気です
猫のフィラリア症は、見つけるのが難しいことでも知られています。
犬では、血液検査で抗原を調べれば見つかります。けれど猫では、虫の数が少ないため、検査に出てこないことがあります。
| 検査 | 分かること・限界 |
|---|---|
| 抗原検査 | 成虫がいれば分かるが、数が少ないと出にくい |
| 抗体検査 | 感染したことがあるかが分かる。感染歴を示す |
| レントゲン | 肺の血管や、肺の状態を見る |
| 超音波検査 | 心臓や大きな血管の中に、虫が見えることがある |
| 血液検査 | 炎症や、特定の細胞の増加を見る |
| 総合判断 | ひとつでは決まらず、組み合わせて考える |
ひとつの検査で決着がつかない——そのことが、この病気の診断を難しくしています。
疑ってもらうことが、出発点です
検査が難しいからこそ、最初に疑ってもらえるかどうかが大きくなります。
受診のときに「フィラリアの可能性はありますか」と聞いてみてください。
とくに予防をしていない猫で、咳と嘔吐がくり返しているなら、その一言に意味があります。
治す方法が、ありません
この病気について、いちばん厳しい事実がこれです。
猫では、確立された駆虫治療がありません。
犬には、成虫を殺す薬があります。けれど猫では、その方法が使えません。
虫を殺すことが、危険になるからです
理由は、突然死の仕組みと同じです。
薬で虫を殺せば、その死骸が血管を詰まらせます。細い血管しか持たない猫では、それがそのまま命に関わります。
治すために使った薬で、猫が危険になる——だから、その方法が取れないのです。
行われるのは、症状をやわらげ、体を支える治療になります。
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 炎症を抑える薬 | 肺で起きている反応を、和らげる |
| 咳を抑える治療 | 猫が楽に過ごせるようにする |
| 酸素の補給 | 呼吸が苦しいときに行う |
| 安静を保つ | 興奮させないことが、そのまま治療になる |
| 経過観察 | 虫の寿命が尽きるまで、支えていく |
| 外科的な摘出 | 特殊な状況で検討されることがある |
虫が自然に寿命を迎えるまで、見守る——そういう形になることがあります。そしてその瞬間が、いちばん危険な時期でもあります。
暮らしの中で、してあげられること
治療が限られているぶん、家での過ごし方が意味を持ちます。
| すること | なぜ効くのか |
|---|---|
| 興奮させない | 激しい運動は、肺と心臓の負担になる |
| 室温を保つ | 暑さは呼吸の負担を大きくする |
| 体重を管理する | 太ると、呼吸がさらに苦しくなる |
| 呼吸数を数えておく | 安静時の数が、変化の目安になる |
| 移動を減らす | キャリーでの移動そのものが負担になる |
| 咳の記録をつける | 頻度の変化が、状態を映す |
とくに安静にしているときの呼吸数は、覚えておく価値のある指標です。
寝ているときに、胸の動きを一分間数える。その数が増えてきたら、負担が大きくなっている合図です。
予防のしかた
治す方法がないということは、手をかけられるのは予防だけということです。
フィラリア予防といっても、実際には猫の体内に侵入したフィラリア幼虫をお薬で駆除しています。
つまり「入らないようにする」のではなく、「入ってきた幼虫を、育つ前に片づける」という考え方です。
だから、飲み忘れが響きます
予防薬は、その一か月のあいだに入ってきた幼虫をまとめて駆除します。
ですから一回抜けると、その期間に入った幼虫が育ってしまいます。
- 獣医師に、その地域に合った期間を確かめる
- 決められた間隔で、続けて投与する
- 途中でやめず、最後まで通す
- 飲ませた日を、カレンダーに記録する
- スポットタイプなら、背中に確実につける
- 室内飼いでも、予防する
投与の時期は、地域によって違います。蚊が出る期間が違うためです。獣医師に確認してください。
なお、予防を始める前にはすでに感染していないかを確かめることがあります。感染している状態で薬を使うと、かえって危険になる場合があるためです。
🩺 獣医療の現場では
「室内飼いですが、必要ですか」——よく聞かれる質問です。
この病気については、診断された猫の4頭に1頭が室内飼育という数字があります。そして治す方法がありません。その二つを並べたとき、予防しない理由を見つけるのは難しくなります。
蚊を減らす工夫も、あわせて
薬だけでなく、蚊そのものを減らすことも助けになります。
- ベランダや庭の、水たまりをなくす
- 植木鉢の受け皿に、水をためない
- 網戸のすき間を、点検する
- 猫に安全な虫よけを、獣医師に相談する
- 夕方の窓の開け閉めに、気をつける
- 猫のいる部屋で、蚊取り線香を使わない
人用の虫よけや殺虫剤には、猫に危険なものがあります。使う前に、必ず確認してください。
とくに除虫菊由来の成分は、犬では平気でも猫では中毒を起こすことがあります。犬用の虫よけを猫に使わないのは、そのためです。
よくある質問
Q. 猫もフィラリアにかかりますか?
A. かかります。蚊が媒介する寄生虫が、心臓や肺の血管に寄生します。犬より知られていませんが、猫でも起こる病気です。
Q. 犬と、どう違いますか?
A. 猫では免疫が強く働き、2〜7%しか成虫に成長できません。そのため多数寄生することはありませんが、症状が出にくく、診断も難しくなります。
Q. 数が少ないなら、軽く済みますか?
A. そうとは限りません。猫の肺の血管は細く、一匹でも大きな障害になります。また、虫に対する免疫反応そのものが肺に強い炎症を起こします。
Q. 突然死すると聞きました
A. 成虫が2〜3年の寿命を迎えて死滅したとき、死骸が血液に乗って肺や心臓の血管を詰まらせることがあります。血液循環が途絶えて、突然死を起こす危険性があります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 一定期間をおいて治まってはぶり返す咳と、一定期間をおいて繰り返す嘔吐が特徴的です。元気がない、食欲がない、体重が減るなど、他の病気と見分けがつかないことも多いものです。
Q. 喘息と言われましたが、よくなりません
A. この病気の可能性も考えられます。周期的な咳という点で似ているため、間違われることがあります。予防をしていないなら、一度相談してみてください。
Q. 室内飼いなら、大丈夫ですか?
A. 大丈夫とは言えません。診断された猫の4頭中1頭は室内飼育されていました。蚊は玄関や窓から入ってきて、室内で猫を刺します。
Q. どうやって診断しますか?
A. ひとつの検査では決まりません。抗原検査は虫の数が少ないと出にくく、抗体検査、レントゲン、超音波検査などを組み合わせて判断します。
Q. 治療はできますか?
A. 猫では、確立された駆虫治療がありません。薬で虫を殺すと、その死骸が血管を詰まらせて危険になるためです。炎症を抑え、症状をやわらげる治療が中心になります。
Q. 予防薬は、何をしているのですか?
A. 体内に侵入した幼虫を、育つ前に駆除しています。蚊に刺されること自体を防ぐわけではありません。だから、飲み忘れるとその期間の幼虫が育ってしまいます。
Q. いつからいつまで、予防しますか?
A. 地域によって違います。蚊が出る期間に合わせて決めるため、獣医師に確認してください。決められた間隔で、途中でやめずに続けることが大切です。
Q. 蚊取り線香を使ってもよいですか?
A. 猫のいる部屋では使わないでください。人用の虫よけや殺虫剤には、猫に危険な成分が含まれるものがあります。使う前に、必ず獣医師に確認してください。
まとめ|治せないからこそ、予防が答えになります
この病気には、いくつも「犬とは逆」の性質があります。
免疫が強く働くのに、かえって危ない。虫の数が少ないのに、命に関わる。虫が生きているときより、死ぬときのほうが危険。
そして治す方法がありません。
けれど、予防はできます。月に一度、決められた薬を続けるだけです。
診断された猫の4頭に1頭が室内飼育だったという数字は、「うちは大丈夫」という判断を見直す理由になります。
犬では当たり前になっている予防が、猫ではまだ広まっていません。けれど治療の手立てがないぶん、猫のほうが予防の意味は重いとさえ言えます。
次の受診のときに、一度だけ聞いてみてください。その一言から始められることです。
今日できる3つ
- 1うちの猫がフィラリア予防をしているか、記録で確かめる
- 2咳や嘔吐が周期的にくり返していないか、思い返してみる
- 3室内飼いでも予防が必要か、次の受診で相談する
この病気は、症状が出てからでは手立てがありません。だから、出会う前に済ませておくしかありません。

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