

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の肺線維症|肺が硬くなって、ふくらまなくなります」です。ではどうぞ!
咳が、何か月も続いている。
呼吸が速く、じっとしていても苦しそう。
けれど、熱はない。
肺線維症は、肺そのものが硬くなっていく病気です。ゆっくり進み、そして治すことが難しい——まれですが、知っておく価値のある病気です。
結論
肺線維症とは肺胞の壁にあたる間質が線維化し、硬くなることにより、肺の伸縮性が低下してガス交換がうまくできなくなってしまう病気です。進行に伴って、咳や呼吸困難などの呼吸器症状が重度になります。この病気は猫のびまん性肺疾患のひとつとされ、希少疾患です。臨床症状としては散発性の湿咳(1日3〜10回)、呼吸数増加を伴った努力呼吸(平均呼吸数65±22/分)が2か月以上続くことが報告されています。ゴロゴロ音は診察中にも認められることが多く(61%)、肺音にてコースクラックルが28%の症例に認められます。診断には気管支肺胞洗浄が用いられ、気管支を介して肺の限局された領域の肺胞全体まで到達する量の生理食塩液を注入し、回収液に含まれる細胞や病原菌を調べます。ただし確定診断には、肺生検による病理検査が必要とされています。
この記事でわかること
- ✓肺が、硬くなります
- ✓ゆっくり、進んでいきます
- ✓呼吸数が、大きく増えます
- ✓咳も、出ます
- ✓ほかの呼吸器の病気とは、違います
- ✓診断が、難しい病気です
- ✓治療は、支えることが中心です
- ✓家でできること
肺が、硬くなります

まず、何が起きているのかから。
肺胞の壁が、線維に置き換わります
肺の中には肺胞という小さな袋があります。
その壁にあたる部分を、間質といいます。
肺胞の壁にあたる間質が線維化し、硬くなる——
それが、この病気で起きていることです。
硬くなると、ふくらみません
肺は、伸び縮みすることで呼吸しています。
硬くなれば、その伸び縮みができなくなります。
肺の伸縮性が低下する——
風船が、硬いゴムになってしまうようなものです。
だから、酸素が取り込めません
ガス交換がうまくできなくなってしまうのがこの病気の結果です。
吸っても、酸素が血液に入りにくい——
だから、呼吸の回数が増えていきます。
元に戻すことは、できません
線維に置き換わった部分は、元に戻りません。
これが、この病気の厳しいところです。
だから、治療は進行を遅らせることと支えることが中心になります。
ゆっくり、進んでいきます
経過の特徴です。
二か月以上、続きます
症状が2か月以上続くことが報告されています。
急に起こる病気ではありません。
数か月かけて、じわじわ悪くなっていく——
そういう進み方をします。
だからこそ、記録が意味を持ちます。
だから、気づかれにくいのです
毎日見ていると、変化が分かりません。
「最近、あまり遊ばなくなったな」——
そう感じるころには、かなり進んでいます。
「歳のせい」で片づけられてしまうこともあります。
けれど、歳をとっても呼吸数は増えません。
そこが、加齢と病気を分ける線になります。
こんな変化に、気づいてください
- 咳が、何週間も続いている
- 寝ているときの呼吸が、速くなった
- 高いところに、登らなくなった
- 遊びが、続かなくなった
- 少し動くと、休むようになった
- 体重が、じわじわ減ってきた
どれも「歳のせい」に見えるものばかりです。
けれど、呼吸数を数えれば区別できます。
進行に伴って、重くなります
進行に伴って、咳や呼吸困難などの呼吸器症状が重度になります。
最初は、少し呼吸が速いだけだったものが、
やがて、じっとしていても苦しくなります。
そして、口を開けて呼吸するようになります。
そこまで来ると、酸素が必要な段階です。
呼吸数が、大きく増えます
この病気の、いちばん分かりやすい指標です。
平均で、一分に六十五回
呼吸数増加を伴った努力呼吸(平均呼吸数65±22/分)が報告されています。
猫の安静時呼吸数は、1分間20〜30回が正常です。
その倍以上ということになります。
だから、数えれば分かります
呼吸数の数え方は、寝ているときに胸かお腹の上下を15秒数えて4倍するだけです。
この病気では、はっきり増えています。
「なんとなく呼吸が速い気がする」を数字にできるのです。
努力して、呼吸しています
努力呼吸とは体を使って、無理に呼吸している状態です。
お腹が大きく動く、肘を張る、首を伸ばす——
そういう姿勢になります。
「じっとしているから落ち着いている」ではありません。
咳も、出ます

もうひとつの症状です。
湿った咳が、散発的に出ます
散発性の湿咳(1日3〜10回)が報告されています。
一日に数回から十回ほど——
のべつまくなしではなく、ときどき出るのが特徴です。
猫の咳は、分かりにくいものです
猫の咳は、毛玉を吐こうとしている姿に似ています。
体を低くして、首を伸ばし、何も出てこない——
それが咳です。
この病気でも、そこを見誤られることがあります。
診察でも、音が聞こえます
ゴロゴロ音は診察中にも認められることが多く(61%)、肺音にてコースクラックルが28%の症例に認められます。
コースクラックルとは粗い、ぱちぱちしたような肺の音のことです。
聴診で、手がかりが得られるということです。
ほかの呼吸器の病気とは、違います

どこが違うのかを整理しておきます。
喘息は、通り道の問題です
猫の喘息では気管支が狭くなります。
空気の通り道の問題です。
肺線維症では、肺そのものが硬くなります。
通り道ではなく、袋のほうの問題です。
肺炎は、急に来ます
肺炎では数日で急に進み、熱が出ます。
肺線維症では、熱は出ません。
そして、二か月以上かけて進みます。
時間の長さと、熱の有無が大きな手がかりになります。
だから、まず除外していきます
もっと多い病気から、順に除外していくことになります。
感染はないか、心臓はどうか、喘息ではないか——
それらが当てはまらないとき、この病気を考えます。
除外していく順番
| 調べること | 何を確かめているか |
|---|---|
| 血液検査 | 感染や炎症、全身の病気がないか |
| レントゲン | 肺の広がり方、心臓の大きさ |
| 心臓の超音波 | 心臓が背景にないか |
| 糞便検査 | 肺の寄生虫がいないか |
| CT検査 | 肺の細かな変化を、詳しく見る |
時間と費用がかかるのは、この順番を踏むからです。
診断が、難しい病気です

正直に書いておきます。
まれな病気です
猫のびまん性肺疾患は、希少疾患とされています。
数が少ないぶん、疑われるまでに時間がかかることがあります。
専門的に扱う施設を紹介されることもあります。
気管支肺胞洗浄という検査があります
気管支肺胞洗浄とは気管支を介して、肺の限局された領域の肺胞全体まで到達するだけの十分量の生理食塩液を注入し、回収する検査です。
回収液には、その部分の病態を反映した細胞や病原菌が含まれます。
麻酔をかけて行う検査になります。
呼吸が苦しい状態では、行えないこともあります。
状態が落ち着いてから、と言われることがあります。
確定には、肺生検が要ります
確定診断には、肺生検による病理検査が必要とされています。
肺の一部を採って、顕微鏡で調べるということです。
負担の大きい検査であり、
呼吸が苦しい猫では、行えないこともあります。
受診のときに、持っていってほしいもの
- 咳の動画(何も出ないことが分かるもの)
- 安静時呼吸数の記録(日付つきで)
- いつから続いているかのメモ
- 咳の回数(一日に何回か)
- 体重の変化
- これまでに使った薬と、その反応
この病気は、経過が診断の材料になります。
家の記録が、そのまま検査の一部です。
疑いのまま、進むこともあります
確定できないまま、治療を始めることがあります。
「確定診断がついていない」と言われても、見放されているわけではありません。
そこまでの検査に耐えられるかも含めての判断です。
「検査で猫を弱らせない」ことも、大事な判断のひとつです。
治療は、支えることが中心です
治す薬は、確立していません。
線維化そのものは、戻せません
硬くなった部分を、元に戻すことはできません。
だから、治療の目的は
進行を遅らせることと、症状をやわらげることになります。
炎症を抑える薬が使われます
ステロイドなど、炎症を抑える薬が使われることがあります。
気管支を広げる薬を併用することもあります。
効き方には、個体差があります。
反応を見ながら、調整していくことになります。
効いているかどうかは、呼吸数で判断できます。
数字が下がれば、その薬は効いているということです。
酸素が、助けになります
呼吸が苦しいときは、酸素を吸わせます。
病院では、酸素室で管理します。
家庭用の酸素室を借りるという選択肢もあります。
相談してみる価値があります。
苦しい時間を減らせるなら、それは十分な治療です。
| 場面 | できること |
|---|---|
| 診断がついたら | 薬への反応を見ながら、量を決める |
| 安定しているとき | 呼吸数を毎日測り、記録する |
| 苦しそうなとき | 酸素を使う。興奮させない |
| 進んできたら | 家庭用酸素室も、相談してみる |
| いつでも | 負担を減らす暮らしを整える |
家でできること
暮らしの中で、できることです。
呼吸数を、毎日測ってください
この病気では、呼吸数がそのまま経過を示します。
増えてきたら、進んでいるということです。
減ってきたら、薬が効いているということです。
数字があれば、薬の調整ができます。
負担を、減らしてください
- 興奮させない。追いかけ回さない
- 高いところへ、無理に登らせない
- 暑さを避ける。暑いと呼吸が苦しくなる
- 空気を汚さない。煙やスプレーを避ける
- 太らせない。体重が増えると負担が増す
- 静かに過ごせる場所を、用意する
どれも小さなことですが、積み重なると差が出ます。
暑さと湿気に、気をつけてください
| 季節・場面 | 気をつけること |
|---|---|
| 夏 | 室温を上げすぎない。暑さは呼吸を苦しくする |
| 移動のとき | キャリー内が蒸れないようにする |
| 通院 | 車内の温度に注意。休憩を入れる |
| 冬 | 乾燥しすぎない。加湿する |
| 一年じゅう | 煙やスプレーの粒子を、部屋に入れない |
健康な猫なら平気な暑さでも、この病気の猫には負担になります。
記録しておいてほしいこと
安静時呼吸数(毎日、日付つきで)
咳の回数(一日に何回か)
食欲と、動きの様子
薬を飲めたかどうか
これらが、次の診察の材料になります。
この病気は、数字でしか経過が見えません。
だから、記録そのものが治療の一部になります。
⚠ こんなときは、すぐ受診してください
口を開けて呼吸している。
舌や歯ぐきが、紫や灰色に見える。
呼吸数が、急に増えた。
横になれず、うずくまったまま動かない。
急に悪化したときは、別の病気が重なっていることもあります。
🩺 できることは、あります
この病気は、治すことが難しいものです。
けれど暮らしを整えることで、楽に過ごせる時間を延ばせます。
できることが、なくなるわけではありません。
この記事の要点
肺胞の壁にあたる間質が線維化して硬くなり、肺の伸縮性が低下してガス交換ができなくなる病気です。
散発性の湿咳(1日3〜10回)と、努力呼吸(平均呼吸数65±22/分)が2か月以上続きます。
猫のびまん性肺疾患のひとつで、希少疾患です。
診断には気管支肺胞洗浄が用いられ、確定診断には肺生検による病理検査が必要とされます。
Q. 肺線維症とは、どんな病気ですか?
A. 肺胞の壁にあたる間質が線維化し、硬くなることで、肺の伸縮性が低下してガス交換がうまくできなくなる病気です。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 散発性の湿咳と、呼吸数増加を伴った努力呼吸です。咳は1日3〜10回ほど、呼吸数は平均で1分65回と報告されています。
Q. どのくらい続きますか?
A. 2か月以上続くことが報告されています。急に起こる病気ではなく、数か月かけてじわじわ進みます。
Q. 呼吸数は、どのくらい増えますか?
A. 平均で1分間65回という報告があります。猫の正常は20〜30回ですから、倍以上ということになります。
Q. 熱は出ますか?
A. 出ません。熱が出る肺炎とは、そこが違います。時間の長さと熱の有無が、見分けの手がかりになります。
Q. 喘息とは違うのですか?
A. 問題の場所が違います。喘息は気管支が狭くなる、通り道の問題です。肺線維症では、肺そのものが硬くなります。
Q. どうやって診断しますか?
A. まず、ほかの病気を除外していきます。そのうえで、気管支肺胞洗浄で回収液の細胞や病原菌を調べます。
Q. 気管支肺胞洗浄とは何ですか?
A. 気管支を介して肺の限局された領域まで生理食塩液を注入し、回収する検査です。回収液には、その部分の病態を反映した細胞や病原菌が含まれます。
Q. 確定診断はつきますか?
A. 確定診断には、肺生検による病理検査が必要とされています。ただし負担の大きい検査であり、呼吸が苦しい猫では行えないこともあります。
Q. 確定できないまま治療しますか?
A. そういうこともあります。検査に耐えられるかどうかも含めての判断です。見放されているわけではありません。
Q. 治りますか?
A. 線維に置き換わった部分は、元に戻りません。治療は、進行を遅らせることと症状をやわらげることが中心になります。
Q. どんな治療をしますか?
A. 炎症を抑える薬や、気管支を広げる薬が使われます。呼吸が苦しいときは、酸素を吸わせます。
Q. 家で酸素を使えますか?
A. 家庭用の酸素室を借りるという選択肢があります。進んできた場合は、相談してみる価値があります。
Q. 家でできることは?
A. 呼吸数を毎日測ることと、負担を減らすことです。興奮させない、暑さを避ける、太らせない、空気を汚さないといった配慮が助けになります。
Q. 急に悪くなったら?
A. すぐ受診してください。口を開けて呼吸する、舌が紫になる、呼吸数が急に増えた場合は、別の病気が重なっていることもあります。
Q. うつりますか?
A. うつりません。感染症ではないため、同居猫への隔離などは必要ありません。
Q. 受診のとき、何を持っていけばよいですか?
A. 咳の動画と、呼吸数の記録です。いつから続いているか、一日に何回咳が出るかも書き出しておくと診断の材料になります。
まとめ|二か月続く咳と速い呼吸を、見過ごさないでください
肺線維症は、肺そのものが硬くなっていく病気です。
まれな病気であり、診断も簡単ではありません。
けれど、手がかりははっきりしています。
二か月以上続く咳。
1分に六十回を超えるような、速い呼吸。
そして、熱がないこと。
この組み合わせなら、調べてもらう理由になります。
治すことは難しい病気です。
それでも、呼吸数を測り、負担を減らすことで楽に過ごせる時間は延ばせます。
今日できる3つ
- 1寝ている猫の呼吸数を、15秒数えて4倍する
- 2咳のような動作が一日に何回あるか、数えてみる
- 3その数字を、日付つきで記録し始める
この病気では、呼吸数がそのまま経過を示します。数字が、次の一手を決めます。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の肺線維症|肺が硬くなって、ふくらまなくなります」でした。
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