

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の回虫症|駆虫は、一回では終わりません」です。ではどうぞ!
子猫を迎えたとき、まず駆虫をしてくださいと言われることがあります。
その理由は単純です。子猫は、感染した母猫から胎盤や乳汁を介して感染します。つまり、生まれた時点ですでに持っていることがあるのです。
そして、もうひとつ知っておいていただきたいことがあります。駆虫は、一回では終わりません。
薬は腸にいる成虫を駆除しますが、卵には届きません。そのため、しばらくしてまた育ってきます。
結論
猫の回虫症は猫回虫という寄生虫が、腸の中に住みつく病気です。感染経路は感染した動物の便に出てきた回虫の卵を口から摂取すること、ネズミを捕食すること、そして子猫では感染した母猫から胎盤や乳汁を介して感染することです。子猫では発育不良を起こすこともあり、お腹がふくらむ、毛づやがなくなる、痩せる、食べものではないものを食べようとするといった嗜好の変化、けいれんやふらつきなどの症状がでることもあります。治療は駆虫薬を定期的に投与することで、卵からふ化した成虫を除去します。薬の投与後2週間ほどで再検査を行い、最初の治療で駆除しきれなかった虫卵が見られるなどした場合には、再度の投薬を行います。そしてまれに人にも感染することがあり、筋肉や臓器に幼虫が迷い込むことで様々な症状を引き起こします。
この記事でわかること
- ✓子猫は、母猫から受け継ぎます
- ✓痩せているのに、お腹だけ出ます
- ✓駆虫は、二回必要になります
- ✓見つけ方は、便の検査です
- ✓人に入ると、迷子になります
- ✓子どもがいる家庭で気をつけること
- ✓予防は、環境の管理です
- ✓成猫でも、感染します
子猫は、母猫から受け継ぎます

この寄生虫が広がる経路は、いくつかあります。
感染した動物の便に出てきた回虫の卵を口から摂取することで感染したり、ネズミを捕食することでも感染します。
そして、子猫にとって重要なのがこれです。子猫は、感染した母猫から胎盤や乳汁を介して感染します。
だから、生まれた時点で持っています
外で生まれた子猫、保護されたばかりの子猫では、すでに感染していると考えて対応します。
これは、母猫が悪いわけでも、その子猫が不潔だったわけでもありません。自然な流れとして、そうなります。
だからこそ迎えたら、まず駆虫という手順が定着しているのです。
「もう済んでいます」を確かめてください
譲渡のときに「駆虫済みです」と言われることがあります。
そのときに聞いておきたいのは「何回、いつ行ったか」です。一回だけなら、まだ終わっていません。続きは、迎えた側で行うことになります。
痩せているのに、お腹だけ出ます

子猫での症状には、分かりやすい形があります。
子猫では発育不良を起こすこともあり、お腹がふくらむ、毛づやがなくなる、痩せるといった症状が出ます。
全体は痩せているのに、お腹だけが張っている——このちぐはぐさが、いちばん分かりやすい合図です。
「らしくない行動」も出ます
さらに、食べものではないものを食べようとするといった嗜好の変化が出ることがあります。
紙、布、砂、土——本来食べないものに口をつけるようになります。
そして重い場合にはけいれんやふらつきといった神経の症状が出ることもあります。
- 痩せているのに、お腹だけふくらんでいる
- 毛づやがなく、ぱさついている
- 食べているのに、大きくならない
- 下痢や嘔吐をくり返す
- 吐いたものに、白い糸のようなものが混じる
- 便に、白い虫が出てくる
- 食べ物でないものを口にする
吐いたものや便に、白い虫が出てくることがあります。驚かれると思いますが、それは分かりやすい証拠でもあります。写真を撮って、受診のときに見せてください。
駆虫は、二回必要になります

ここが、この病気で誤解されやすいところです。
駆虫薬を定期的に投与することで、卵からふ化した成虫を除去します。
大事なのは「卵からふ化した成虫を」という部分です。つまり、薬が効くのは成虫にだけということになります。
卵は、生き残ります
薬を飲ませた時点で、腸の中にはまだ卵の状態のものも残っています。
それらは薬を生き延び、二週間ほどかけて成虫になっていきます。
だから薬の投与後2週間ほどで再検査を行い、最初の治療で駆除しきれなかった虫卵が見られるなどした場合には、再度の投薬を行います。
「一回飲ませたから終わり」ではありません。この二週間後の再診が、この病気ではとても大事になります。
再診を忘れないでください
一回目の薬で、子猫は元気になります。お腹の張りも引き、食欲も戻ります。
そこで安心して、二回目に行かなくなる——これが、この病気でいちばん多い落とし穴です。
「次はいつ来ればよいですか」とその場で聞いて、予定に入れておいてください。帰ってから思い出すより、その場で決めるほうが確実です。
見つけ方は、便の検査です
診断は、便を調べることで行います。
糞便検査では、猫の糞便中に回虫の卵や成虫の存在を確認することができます。比較的簡単に行える検査です。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 糞便検査 | 便の中に、虫卵がいるかどうか |
| 目視 | 吐いたものや便に、虫そのものが出ることがある |
| 血液検査 | 炎症の程度や、貧血がないかを見る |
| 体重の推移 | 育っているかどうかが、そのまま指標になる |
| 再検査 | 投与後2週間ほどで、残っていないか確かめる |
| 同居猫の検査 | 一頭見つかったら、ほかも確かめる |
便を持っていくと、早く進みます
受診のときに、その日の便を持っていくと検査がすぐできます。
できるだけ新しいものを、密閉できる袋や容器に入れて持っていってください。
乾かないようにすることが大切です。乾いてしまうと、検査しにくくなります。
「便を持ってきてください」と言われる前に持っていく——それだけで、通院が一回減ることもあります。
ほかの寄生虫と、まとめて考えます
腸に寄生する虫は、回虫だけではありません。便の検査では、あわせてほかの虫も探します。
| 寄生虫 | 特徴 | 気づき方 |
|---|---|---|
| 回虫 | 細長い。もっとも多い | 吐いたものや便に、白い虫が出る |
| 鉤虫 | 腸の壁から血を吸う | 貧血、黒っぽい便 |
| 瓜実条虫 | ノミが媒介する | 肛門の周りに、白い粒がつく |
| コクシジウム | 目に見えない原虫 | 子猫の下痢が長引く |
| いずれも | 便の検査で見つかる | 薬の種類が、虫ごとに違う |
虫によって効く薬が違います。だから「駆虫した」だけでは足りず、何に対する薬だったのかを知っておく意味があります。
人に入ると、迷子になります

この寄生虫は、まれに人にも感染することがあります。
けれど、人の体では猫と同じようには育ちません。
筋肉や臓器に幼虫が迷い込むことで、様々な症状を引き起こします。
腸にとどまらないのが、問題です
猫の体では、回虫は腸の中で成虫になります。そこが本来の住みかだからです。
けれど人の体では、幼虫のまま、行き先を見失ってさまよいます。
肝臓、肺、筋肉——本来なら虫がいるはずのない場所に入り込み、そこで炎症を起こします。
目に入った場合は、視力に影響が出ることがあります。頻度は高くありませんが、知っておく意味があります。
どうやって、人の口に入るのか
感染するのは、虫卵を口から取り込んだときです。
感染したネコの糞から排出された回虫の卵は、環境中に広がります。これらの卵は、一定の期間を経て成熟し、感染力を持つようになります。
つまり出たばかりの便には、まだ感染力がありません。時間がたって成熟したものが問題になります。
毎日トイレを掃除することが、そのまま予防になるのはこのためです。
子どもがいる家庭で気をつけること
特に子供や免疫力の低下した人々は、回虫に感染するリスクが高くなります。
理由は単純です。手を口に持っていく機会が多いからです。
- 猫のトイレは、子どもの手が届かない場所に置く
- 猫を触ったら、手を洗わせる
- 砂場や土で遊んだあとも、手を洗わせる
- トイレ掃除は、大人が行う
- 猫が寝るところで、子どもが寝ないようにする
- 子猫を迎えたら、先に駆虫を済ませる
猫の毛や爪に卵が付着している可能性があるため、ネコとの接触後は手をしっかりと洗うことがすすめられています。
⚠ こんなときは、人も受診してください
- 子猫と接触したあと、腹痛や下痢が続く
- 原因不明の発熱がある
- 咳が長く続いている
- 目に、見えにくさを感じる
- 子どもが、砂や土を口にした
- 駆虫していない子猫と、密に接触した
受診のときは「子猫を飼い始めた」と伝えてください。その情報がないと、まったく別の方向で調べられます。
卵は、環境の中で長く残ります
この寄生虫が厄介なのは、卵が丈夫であることです。
| 性質 | どういうことか |
|---|---|
| 丈夫な殻を持つ | 乾燥や消毒に、強く抵抗する |
| 土の中で長く残る | 年単位で生き続けることがある |
| 成熟に時間がかかる | 出たばかりでは、感染力がない |
| だから | 毎日片づければ、成熟前に処分できる |
| 庭や砂場では | すでに成熟したものがある可能性がある |
| 対策 | 土に触れたら手を洗う、砂場は覆っておく |
消毒で殺すのは難しい相手です。だからこそ成熟する前に片づけるという方法が有効になります。
予防は、環境の管理です
この寄生虫の卵は、環境の中でしぶとく生き残ります。
だから予防は、猫の駆虫と、環境の管理の二本立てになります。
- 定期的に駆虫薬を投与する
- トイレを毎日掃除する
- 猫トイレの周りも、清潔に保つ
- 完全室内飼育にして、ネズミを食べさせない
- 小動物が家に入らないようにする
- 猫を触ったあとは、手を洗う
ネズミを捕食することでも感染します。外に出る猫では、これを避けられません。
完全室内飼育が、この病気でもいちばん効く対策になります。
駆虫の頻度は、暮らし方で決まります
どのくらいの間隔で駆虫するかは、猫の年齢と暮らし方によって変わります。
子猫では、決められた回数を続けて行います。成猫で完全室内飼育なら、頻度はぐっと下がります。
外に出る猫、ネズミを捕る猫では、定期的に続ける必要があります。
「うちの猫にはどのくらいの間隔が必要か」を獣医師に確認しておいてください。必要以上に薬を使う必要はありませんし、逆に間隔があきすぎても意味がなくなります。
🩺 獣医療の現場では
駆虫薬には、回虫だけに効くものと、ほかの寄生虫もまとめてカバーするものがあります。
フィラリアの予防薬に、回虫の駆除効果が含まれているものもあります。いま使っている薬が何をカバーしているかを一度確かめておくと、無駄な重複を避けられます。
成猫でも、感染します
回虫は子猫の病気だと思われがちですが、成猫でも感染します。
ただ、成猫では症状が出にくいという違いがあります。体力があるぶん、寄生されても持ちこたえてしまうのです。
症状が出ないまま、便に卵を出し続ける——多頭飼いや、子どもがいる家庭では、そこが問題になります。
多頭飼いでは、まとめて考えます
一頭に見つかったら、ほかの猫も確かめてください。
同じトイレを使っていれば、すでに広がっている可能性があります。
治療もまとめて行うことが多くなります。一頭だけ治療しても、また戻ってきてしまうからです。
あわせて、トイレの数を増やし、こまめに掃除することも対策になります。
新しい猫を迎えるときも同じです。先住猫と合流させる前に、便の検査と駆虫を済ませておくだけで、家じゅうに広げずに済みます。
よくある質問
Q. 猫の回虫症とは、どんな病気ですか?
A. 猫回虫という寄生虫が、腸の中に住みつく病気です。腸で栄養を横取りするため、下痢や嘔吐、体重減少などが起こります。
Q. どうやって感染しますか?
A. 便に出てきた回虫の卵を口から摂取したり、ネズミを捕食することで感染します。子猫は、感染した母猫から胎盤や乳汁を介して感染します。
Q. 子猫はどんな症状が出ますか?
A. お腹がふくらむ、毛づやがなくなる、痩せるといった発育不良が起こります。食べものではないものを食べようとする嗜好の変化や、けいれん、ふらつきが出ることもあります。
Q. 痩せているのに、お腹だけ出ています
A. 回虫症でよく見られる形です。全体は痩せているのにお腹だけ張っている、というちぐはぐさが手がかりになります。
Q. 便に白い虫が出てきました
A. そのまま受診してください。写真を撮っておくと確実です。分かりやすい証拠になります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 糞便検査です。便の中に回虫の卵や成虫がいるかを確認します。受診のときに、その日の便を持っていくと早く進みます。
Q. 薬を一回飲ませれば、終わりですか?
A. 終わりません。薬は成虫を駆除しますが、卵には届きません。投与後2週間ほどで再検査を行い、虫卵が見られる場合は再度投薬します。
Q. 元気になったので、再診は不要では?
A. 行ってください。残っていた卵が二週間ほどで成虫になります。そこで確かめないと、また増えていきます。
Q. 人にうつりますか?
A. まれに感染します。人の体では成虫まで育たず、幼虫が筋肉や臓器に迷い込んで様々な症状を引き起こします。目に入ると視力に影響することもあります。
Q. 子どもがいます。何に気をつければよいですか?
A. 猫を触ったら手を洗わせ、トイレ掃除は大人が行ってください。猫トイレは子どもの手が届かない場所に置き、砂場や土で遊んだあとも手を洗わせてください。
Q. 成猫でも感染しますか?
A. 感染します。ただし症状が出にくく、気づかないまま便に卵を出し続けることがあります。多頭飼いや子どもがいる家庭では、そこが問題になります。
Q. 予防はどうすればよいですか?
A. 定期的な駆虫と、トイレの毎日の掃除です。便に出た卵は時間をおいて感染力を持つため、毎日片づけることがそのまま予防になります。完全室内飼育にして、ネズミを食べさせないことも有効です。
まとめ|二週間後の予定を、いま決めてください
回虫症は、めずらしい病気ではありません。子猫を迎えたら、まず考えることのひとつです。
母猫から受け継ぐ以上、持っていることは、恥ずかしいことでも珍しいことでもありません。
大事なのは、駆虫を最後まで通しきることです。
薬は卵に効きません。だから二週間後に、もう一度必要になります。
一回目で元気になった子猫を見て、そこで終わりにしないでください。次の予定を、その場で決めておいてください。
そして、この寄生虫は人にも入ります。猫を触ったら手を洗うという、ごく当たり前のことがそのまま守りになります。
駆虫を通しきり、トイレを毎日片づける。この二つができていれば、回虫はそれほどこわい相手ではありません。
今日できる3つ
- 1迎えた猫の駆虫が何回済んでいるか、記録を確かめる
- 2痩せているのにお腹だけ張っていないか、体を見てみる
- 3猫を触ったあとに手を洗う習慣を、家族で共有する
この病気は、一回の薬では終わりません。二週間後の再診まで含めて、ひとつの治療です。

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