

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の甲状腺機能亢進症|元気になったように、見えます」です。ではどうぞ!
「うちの猫、最近
元気になったんです」——
よく食べ
よく動き
よく鳴く——
高齢の猫でそう感じたとき
ひとつ確かめてほしいことがあります。
体重です。
よく食べているのに
痩せているのなら
それは若返りではありません。
甲状腺機能亢進症という病気の可能性があります。
結論
甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが出すぎて、体の代謝が過剰になる病気です。10歳以上の猫のおよそ10%が発症するという報告があり、高齢の猫では決して珍しくありません。特徴は食欲があるのに痩せていく、多飲多尿、落ち着きのなさ、夜鳴き——つまり「元気になった」ように見えるのに、体は削られていることです。治療は内服薬、ヨウ素を制限した食事療法、外科手術、放射性ヨウ素の4つがあります。そして、この病気でいちばん注意したいのは治療によって、隠れていた慢性腎臓病が表に出てくることがある点です。ホルモンが多いあいだは腎臓を流れる血の量が増えており、腎機能の低下が隠れてしまうためです。
この記事でわかること
- ✓犬ではまれ、猫ではありふれています
- ✓「元気になった」ように見えます
- ✓体の中では、何が起きているのか
- ✓見つけるのは、血液検査です
- ✓治療は、4つあります
- ✓治療すると、腎臓が出てくることがあります
- ✓心臓と血圧にも、負担がかかります
- ✓見つかったあと、見ていくこと
犬ではまれ、猫ではありふれています
同じ病名でも
犬と猫では
まったく重みが違います。
| 犬 | 猫 | |
|---|---|---|
| 頻度 | まれ | 高齢では ありふれている |
| どのくらい | ほとんど見かけない | 10歳以上のおよそ10% |
| 多いのは | むしろ機能が「低下」するほう | 機能が「亢進」するほう |
| 見え方 | — | 元気になったように見える |
| 見つかり方 | — | 健康診断で見つかることが多い |
犬で問題になりやすいのは
甲状腺の働きが「落ちる」ほう——
猫で多いのは
「上がりすぎる」ほうです。
ちょうど逆になっています。
10歳を過ぎたら、候補に入ります
アメリカの報告では
10歳以上の猫の
およそ10%が発症するとされています。
10頭に1頭——
これは「珍しい病気」の数字ではありません。
ですから
高齢の猫で
「よく食べるのに痩せる」とあれば
まっさきに候補に入ります。
健康診断の項目に、入っていますか
甲状腺ホルモンは
基本の血液検査には
含まれていないことがあります。
高齢の猫なら
「甲状腺も調べてください」と
お願いしてみてください。
その一項目で
見つかることがあります。
「元気になった」ように見えます

この病気が見逃されやすいのは
症状が「良いこと」に見えるからです。
食欲が増える——
動きが活発になる——
高齢の猫でそれを見たら
誰でも喜びます。
- 食欲が旺盛になった
- それなのに、体重は落ちている
- じっとしていられず、うろうろする
- 夜中に、大きな声で鳴く
- 水を飲む量と、尿の量が増えた
- 毛づやが落ち、ぱさついてきた
- 吐くことが増えた、便がゆるい
- 触ると、脈が速い気がする
並べてみると
「元気」と呼べるものは
ひとつもありません。
夜鳴きは、性格の変化ではありません
「歳を取って
夜鳴きするようになった」——
よく聞く話です。
認知の変化だと
受け止められることも多いのですが
甲状腺が背景にあることがあります。
ホルモンが多すぎると
神経が高ぶり
落ち着いて眠れなくなります。
興奮や不安というかたちで
出てくることもあります。
だから
「歳のせい」と決める前に
一度調べてみてください。
体重を量ると、すぐに分かります
いちばん確かな見分け方は
体重です。
本当に元気なら
よく食べれば体重は増えます。
けれどこの病気では
食べても食べても
減っていきます。
燃やす速さが
入ってくる量を超えているから——
月に一度量るだけで
このちぐはぐさは
すぐ見えます。
⚠ こう伝えると、検査につながります
- 「食欲はあるのに、半年で0.7キロ減りました」
- 「夜中に、大きな声で鳴くようになりました」
- 「じっとしていられず、うろうろします」
- 「水入れの減りが、明らかに早いです」
- 「毛づやが落ちて、ぱさついています」
「元気です」とだけ伝えると
その先へ進みません。
数字をそえてください。
体の中では、何が起きているのか
甲状腺は
のどのあたりにある小さな臓器です。
ここから出るホルモンが
体の代謝を調節しています。
それが出すぎると
体じゅうが「全力」で動き続けます。
| 場所 | 起きること |
|---|---|
| 代謝 | 常に燃やし続け、消耗していく |
| 体重 | 食べても追いつかず、落ちていく |
| 心臓 | 脈が速くなり、負担がかかり続ける |
| 血圧 | 高くなりやすい |
| 神経 | 高ぶり、落ち着けず、夜も鳴く |
| 消化管 | 吐く、便がゆるくなる |
| 腎臓 | 流れる血の量が増え、悪さが隠れる |
原因は、甲状腺そのものにあります
多くは
甲状腺の細胞が
異常に増えることで起こります。
腫れやできものが
ホルモンを出し続ける——
その多くは
良性のものだとされています。
ただし
まれに悪性の場合もあります。
また
免疫が甲状腺を攻撃することで
起こることもあります。
なぜそうなるのかは
まだはっきりしていません。
見つけるのは、血液検査です
診断は難しくありません。
血液を調べ
甲状腺ホルモンの値を見ます。
高ければ
この病気の可能性が高くなります。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 甲状腺ホルモンの測定 | 出すぎていないかどうか |
| 一般的な血液検査 | 肝臓や腎臓の状態をあわせて確かめる |
| 尿検査 | 尿の濃さ、たんぱくの漏れを見る |
| 血圧測定 | 高血圧を起こしていないか |
| 超音波検査 | 甲状腺の大きさ、心臓への影響を見る |
| 触診 | のどのあたりに、腫れが触れることがある |
大事なのは
甲状腺だけを見ないことです。
この病気は
心臓血圧腎臓に
同時に影響を与えています。
ほかの病気と、まぎらわしいことがあります
「よく食べるのに痩せる」という症状は
この病気だけのものではありません。
| 病気 | 見分けの手がかり |
|---|---|
| 甲状腺機能亢進症 | 落ち着きがない、夜鳴き、脈が速い |
| 糖尿病 | 尿に糖が出る、歩き方が変わることがある |
| 慢性腎臓病 | むしろ食欲が落ちていく |
| 消化管の病気 | 吐く、下痢が続く、食べても吸収されない |
| 腫瘍 | 食欲が落ち、じわじわ痩せていく |
糖尿病も
「食べているのに痩せる」病気です。
けれど
こちらは落ち着きのなさや
夜鳴きが加わります。
そして
両方をもっていることもあります。
血液検査で分けられますので
迷わず調べてください。
治療は、4つあります

治療の選択肢は
大きく4つです。
内服薬——いちばん多く選ばれます
甲状腺ホルモンの
合成を抑える薬を飲みます。
少ない量から始め
およそ1〜3週で
効果が出てきます。
- 低い量から始め、様子を見ながら調整する
- 飲み始めてから1〜3週で、効果が見えてくる
- 甲状腺そのものを治すわけではない
- だから、飲み続けることになる
- 副作用の確認のため、定期的な検査がいる
副作用としては
食欲不振や嘔吐など
消化器の症状がしばしばみられます。
より重大なものとしては
白血球の一種である顆粒球や
血小板の減少など
血球の異常があげられます。
だから
飲み始めたあとの
血液検査は欠かせません。
食事療法——ほかを一切与えられません
ヨウ素を制限した療法食で
この病気を抑えるという方法もあります。
ホルモンをつくる材料を
減らすという考え方です。
ただし
条件がひとつあります。
その療法食以外の
すべてのフード
おやつ
人の食べ物を
避ける必要があります。
ひとくちでもほかのものを食べれば
効果は崩れます。
多頭飼いで
ごはんを分けられないお宅では
選びにくい方法です。
手術と放射性ヨウ素——根本に届く方法
甲状腺の一部あるいは全部を
摘出するという方法があります。
効果ははっきりしていますが
麻酔と術後の回復に
リスクが伴います。
高齢で
心臓や腎臓に不安がある猫では
選びにくいこともあります。
放射性ヨウ素を使う方法は
根治が期待できるものの
高度な専門知識と設備が必要で
受けられる施設は限られます。
🩺 獣医療の現場では
「どれがいちばんいいですか」と
よく聞かれます。
けれど
この病気で決め手になるのは
「猫が受けられるか」
「家で続けられるか」——
薬が飲めない猫
ごはんを分けられない家
麻酔に耐えられない体——
そこから逆算して決まります。
治療すると、腎臓が出てくることがあります

ここが
この病気でいちばん分かりにくいところです。
治療を始めたとたん
腎臓の数値が上がる——
そういうことが起こります。
「治療で腎臓を悪くした」と
感じられるかもしれません。
けれどそうではありません。
隠れていたものが、見えただけです
甲状腺機能亢進症の猫では
腎血流量の増加により
腎機能不全が隠れていることがあります。
言いかえれば——
代謝が上がっているあいだは
腎臓にもたくさん血が流れます。
流れる量が多いぶん
数値はよく見えてしまいます。
治療でホルモンが戻ると
流れる量も戻り
本当の腎臓の姿が
表に出てきます。
ですから
治療が悪くしたのではなく
もともとあったものが
見えるようになったのです。
だから、両方をあわせて見ていきます
高齢の猫では
あわせ持っていることが珍しくありません。
治療の目標は
ホルモンを下げきることではありません。
- 甲状腺ホルモンと、腎臓の数値を同時に測る
- 下げすぎると、腎臓に負担がかかることがある
- だから「どこで止めるか」を決めていく
- 体重と食欲も、あわせて見ていく
- 血圧も、定期的に測っておく
この病気の治療は
綱引きに似ています。
甲状腺を抑えすぎず
けれど抑えなさすぎず——
そのちょうどよい点を
検査で探していきます。
心臓と血圧にも、負担がかかります
代謝が上がると
心臓は速く打ち続けます。
それが長く続くと
心臓の筋肉が厚くなり
働きが落ちていきます。
血圧も高くなりやすく
高血圧が
重なることがあります。
| どこに | 起きること |
|---|---|
| 心臓 | 脈が速くなり、筋肉が厚くなっていく |
| 血圧 | 高くなり、細い血管に負担がかかる |
| 目 | 網膜が傷み、急に見えなくなることがある |
| 腎臓 | 高い圧が、腎臓をさらに削っていく |
| 脳 | ふらつき、けいれんが出ることもある |
甲状腺を治療することで
これらも落ち着くことが多いものです。
けれど
すでに傷んだものは
戻らないこともあります。
とくに目は
見えなくなってしまうと
取り返しがつきません。
そこも「早いほうがよい」理由です。
見つかったあと、見ていくこと

治療が始まったあと
家で見ていくものは
むずかしくありません。
| 見ること | どう役立つか |
|---|---|
| 体重(月に一度) | 効いていれば、減りが止まり戻っていく |
| 食欲 | 異常な旺盛さが落ち着いてくる |
| 夜の様子 | 鳴かずに眠れるようになったか |
| 水を飲む量 | 減っていれば、落ち着いてきた合図 |
| 毛づや | 整ってくれば、代謝が戻っている |
| 吐く回数 | 薬の副作用が出ていないかの手がかり |
「食欲が落ちた」は、良い変化のこともあります
治療を始めたあと
「食欲が減った」と
心配されることがあります。
けれど
もともとの旺盛さは
病気がつくっていたものです。
それが普通に戻っただけ——
ということもあります。
見分けは体重です。
食欲が落ち着いて
体重が戻っているのなら
良い方向です。
けれど
食欲も体重も落ちているのなら
薬の副作用や
腎臓が関わっているかもしれません。
そこは受診で確かめてください。
薬を、勝手にやめないでください
症状が落ち着くと
「もう治った」と
思われることがあります。
けれど
内服薬は
ホルモンを抑えているだけで
甲状腺そのものを
治しているわけではありません。
やめれば
また出すぎるようになります。
量を変えるときは
必ず検査の結果を見てから——
自己判断では決めないでください。
よくある質問
Q. 甲状腺機能亢進症とは、どんな病気ですか?
A. 甲状腺ホルモンが出すぎて、体の代謝が過剰になる病気です。常に全力で燃やし続けている状態になるため、食べていても体が削られていきます。
Q. どのくらいの猫がなりますか?
A. アメリカの報告では、10歳以上の猫のおよそ10%が発症するとされています。中高齢の猫では、決して珍しい病気ではありません。
Q. 犬でも起こりますか?
A. 犬ではまれです。犬ではむしろ甲状腺の働きが「低下」するほうが問題になりやすく、猫とはちょうど逆になっています。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 食欲があるのに痩せる、多飲多尿、夜鳴き、落ち着きのなさが特徴です。活発になるため「元気になった」ように見えることが、この病気の見つけにくさです。
Q. 夜鳴きは、歳のせいではないのですか?
A. 甲状腺が背景にあることがあります。ホルモンが多すぎると神経が高ぶり、興奮や不安を引き起こすためです。認知の変化と決めつける前に、一度調べてみてください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 血液検査で甲状腺ホルモンの値を測ります。あわせて超音波検査や血圧測定を行い、心臓・腎臓への影響も確かめます。基本の血液検査に含まれていないことがあるため、高齢の猫では「甲状腺も」と伝えておくと確実です。
Q. 治療にはどんな方法がありますか?
A. 内服薬、ヨウ素を制限した食事療法、外科手術、放射性ヨウ素の4つです。どれを選ぶかは、猫の状態と、家で続けられるかどうかで決まります。
Q. 薬の副作用が心配です
A. 食欲不振や嘔吐などの消化器症状がしばしばみられます。より重大なものとしては、白血球の一種である顆粒球や血小板の減少など、血球の異常があげられます。そのため、飲み始めたあとの定期的な血液検査が欠かせません。
Q. 食事療法だけで、治せますか?
A. ヨウ素を制限した療法食で管理するという選択肢はあります。ただし、その療法食以外のすべてのフード・おやつ・人の食べ物を避ける必要があります。多頭飼いでごはんを分けられない場合は、選びにくい方法です。
Q. 治療を始めたら、腎臓の数値が上がりました
A. 治療が悪くしたのではなく、隠れていたものが見えた可能性があります。甲状腺機能亢進症の猫では腎血流量が増えており、腎機能の低下が隠れていることがあるためです。甲状腺と腎臓の両方を見ながら、下げどころを決めていきます。
Q. 放っておくと、どうなりますか?
A. 心臓と血圧に負担がかかり続けます。脈が速い状態が続いて心臓の筋肉が厚くなり、高血圧から網膜が傷んで急に見えなくなることもあります。体重の減少も進んでいきます。
Q. 症状が落ち着いたら、薬はやめられますか?
A. 自己判断でやめないでください。内服薬はホルモンを抑えているだけで、甲状腺そのものを治すものではありません。やめれば、また出すぎるようになります。
まとめ|「元気になった」と感じたら、体重を量ってください
この病気で
いちばん伝えたいことは
ひとつです。
高齢の猫が
「元気になった」と感じたら
喜ぶ前に体重を量ってください。
本当の元気なら
体重は増えます。
減っているのなら
それは燃やしているだけです。
10歳を過ぎた猫の
およそ10頭に1頭——
それだけ多い病気で
しかも治療の手段が4つもあります。
見つけさえすれば
できることは多いのです。
今日できる3つ
- 1体重を量り、半年前・1年前と比べてみる
- 2夜の鳴き方、日中の落ち着きのなさを書き留めておく
- 310歳を過ぎているなら、健康診断で甲状腺も頼んでおく
この病気は、良い変化のふりをして始まります。だから、感覚ではなく数字で確かめてください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の甲状腺機能亢進症|元気になったように、見えます」でした。
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