関節が、いくつも同時に腫れる。
まれな病気ですが、発症した猫を調べると
三分の二が、猫白血病ウイルスに感染していたと報告されています。
関節の話に見えて、ウイルスの話でもあります。
結論
進行性多発性関節炎とは複数の関節に、同時に炎症が起こる病気です。猫の進行性多発性関節炎の発生はまれで、年齢に関わらず雄猫が多いといわれています。症状としては、足に負荷をかけないようにかばうように歩く(跛行)や、複数の関節での痛みや腫れが見られます。発症猫の3分の2が猫白血病ウイルスに感染していたという報告があり、猫白血病ウイルスの感染が関与している可能性があります。また、猫エイズウイルスの感染も関与している可能性があります。免疫複合体が関連しているのではないかともいわれていますが、まだ詳細は明らかになっていません。治療では、症状や炎症をやわらげる治療を行います。体重管理をすることは、関節への負担を減らす有効な方法です。進行性多発性関節炎は進行していくので治療を継続する必要があり、一旦良くなっても再発することが多く、どのような経過をたどるかについてはっきりと予測することは難しいとされています。
この記事でわかること
- ✓いくつもの関節が、腫れます
- ✓三分の二に、ウイルスがいました
- ✓雄猫に、多いとされます
- ✓かばうように、歩きます
- ✓関節とウイルスを、調べます
- ✓炎症と痛みを、やわらげます
- ✓体重管理が、効きます
- ✓再発することが、多い病気です
いくつもの関節が、腫れます
まず、何が起きているのかから。
多発性とは、複数という意味です
一か所ではなく、いくつもの関節に同時に炎症が起こります。
だから「多発性」と呼ばれます。
そこが、けがによる関節の痛みとの違いです。
進行性とは、進んでいくという意味です
進行性多発性関節炎は、進行していきます。
だから、治療を継続する必要があります。
「治して終わり」の病気ではありません。
そこが、けがとの大きな違いです。
発生は、まれです
猫の進行性多発性関節炎の発生はまれです。
多くの飼い主が、名前も聞いたことがない
くらいの病気です。
だからこそ、知っておく意味があります。
原因は、まだ分かっていません
免疫複合体が関連しているのではないかともいわれています。
けれどまだ詳細は明らかになっていません。
分かっていないことが多い病気です。
それでも、症状をやわらげる方法はあります。
原因が分からないことと、何もできないことは違います。
三分の二に、ウイルスがいました

この病気の、いちばん大事な数字です。
猫白血病ウイルスとの関係が報告されています
発症猫の3分の2が猫白血病ウイルスに感染していたという報告があります。
そこから、猫白血病ウイルスの感染が関与している可能性があるとされています。
猫エイズウイルスも、関わるかもしれません
猫エイズウイルスの感染も関与している可能性があります。
どちらも、猫から猫へうつるウイルスです。
関節の病気に見えて、感染症の話につながります。
だから、ウイルス検査を勧められます
関節が腫れているのに、血液検査を勧められることがあります。
それは、この関係があるからです。
断らずに、受けてください。
結果は、その後を左右します
ウイルスを持っているかどうかで、見ていくものが変わります。
ほかの猫と暮らしているなら、その子たちの話にもなります。
知っておくことに、意味があります。
陰性でも、この病気は起こります
三分の二という数字は、裏を返せば三分の一は感染していなかった
ということです。
ウイルスが見つからなくても、この病気ではないとは言い切れません。
関節の症状は、そのまま診てもらってください。
| 報告されていること | 内容 |
|---|---|
| 発生の頻度 | まれとされている |
| 性別 | 年齢に関わらず、雄猫が多いといわれる |
| 猫白血病ウイルス | 発症猫の3分の2が感染していたという報告 |
| 猫エイズウイルス | 感染が関与している可能性がある |
| 免疫複合体 | 関連が言われるが、詳細は明らかでない |
雄猫に、多いとされます
もう一つの特徴です。
年齢は、問いません
年齢に関わらず、雄猫が多いと
いわれています。
高齢の病気ではないということです。
若くても、起こります
若い猫が関節を腫らしているとき——
それが、この病気であることがあります。
「まだ若いから関節の病気ではない」とは言い切れません。
加齢による関節症とは、別の話です
高齢の猫の多くが持っている病気です。
けれど、この病気は年齢を問いません。
そこが、大きな違いです。
なぜ雄に多いのかは、分かっていません
報告として、そう言われているだけで
理由まで解明されているわけではありません。
この病気は、そういう段階にあります。
だから、雌なら安心とは限りません
「雄に多い」は、雌には起こらないという意味ではありません。
複数の関節が同時に腫れているなら、性別を問わず相談してください。
まれな病気ほど、疑わなければ見つかりません。
かばうように、歩きます

気づけるサインです。
足に、体重をかけなくなります
足に負荷をかけないようにかばうように歩きます。
これを、跛行といいます。
痛い側を、浮かせるように動かします。
複数の関節が、痛みます
複数の関節での痛みや腫れが見られます。
一か所だけではないところが
この病気らしい点です。
けがとの違いは、そこにあります
ぶつけたなら、痛むのは一か所です。
けれど、いくつもの関節が同時に腫れているなら
体の中で何かが起きていると考えます。
良くなったり、悪くなったりします
一旦良くなっても、再発することが多い
病気です。
だから「治った」と思っても、見ていてください。
- 足をかばうように歩いている
- 複数の関節が、腫れている
- 関節を触ると、嫌がる
- 動きたがらず、寝ていることが増えた
- 高い所へ、登らなくなった
- 良くなったのに、また悪くなった
複数の関節に同時に出ているなら、相談してください。
⚠ 相談してみてください
いくつもの関節が、同時に腫れている。
足をかばうように歩いている。
若い雄猫なのに、動きたがらない。
良くなったのに、また悪くなった。
ウイルス検査も、一緒に相談してください。
関節とウイルスを、調べます

診断の進め方です。
どの関節が腫れているかを、見ます
複数の関節に出ているかどうか——
そこが、最初の手がかりです。
左右のどちらにも出ていることがあります。
画像で、関節の状態を確かめます
関節の形や、傷み具合を見ます。
けがや、ほかの病気との区別にも使われます。
進み具合を知る手がかりにもなります。
ウイルス検査を、行います
猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスを調べます。
発症猫の3分の2が猫白血病ウイルスに感染していたという報告があるからです。
関節の病気なのに、と思うかもしれません。
けれど、大事な検査です。
ほかの病気とも、区別します
けが、感染、ほかの関節の病気——
膝蓋骨脱臼のように、
足を引きずる原因はいくつもあります。
だから、順に確かめていきます。
| 調べること | 分かること |
|---|---|
| 歩き方の観察 | かばうように歩いていないか |
| 複数の関節の触診 | 同時に腫れて、痛みがあるかどうか |
| 画像検査 | 関節の形と、傷み具合 |
| 血液検査 | 体の中の炎症や、全身の状態 |
| ウイルス検査 | 猫白血病ウイルスなどに感染していないか |
炎症と痛みを、やわらげます

治療の考え方です。
症状を抑える治療をします
症状や炎症をやわらげる治療を行います。
原因がはっきりしていないため、そこを叩く治療は難しいのです。
だから、つらさを減らすことが中心になります。
続けることが、前提です
進行していくので、治療を継続する必要があります。
途中でやめると、また悪くなります。
長くつき合う病気だと、思っておいてください。
薬は、指示どおりに使ってください
良くなったからと、勝手にやめないでください。
量を変えるのも、必ず相談してからです。
人用の痛み止めは、猫には毒になります。
少量でも命に関わるので、絶対に与えないでください。
動けることに、意味があります
痛くて動かないと、筋肉が落ちていきます。
筋肉が落ちれば、関節はさらに不安定になります。
だから、痛みを取ることには意味があります。
様子を、記録しておいてください
どの日に、どれくらい歩けたか——
それを残しておくと、薬が効いているかどうかが見えてきます。
受診のときに、そのまま材料になります。
| 治療の柱 | 内容 |
|---|---|
| 炎症をやわらげる | 症状や炎症を抑える治療を行う |
| 痛みを抑える | 動けるようにして、筋肉を落とさない |
| 体重管理 | 関節への負担を減らす、有効な方法 |
| 環境を整える | 滑らない床と、分けた段差 |
| 続けること | 進行していくので、治療の継続が必要 |
体重管理が、効きます
家でできることです。
関節への負担を、減らせます
体重管理をすることは、関節への負担を減らす有効な方法です。
薬と並んで、治療の柱になります。
飼い主にできる、確かな手です。
急に減らさないでください
猫の急な減量は、別の病気を招きます。
食べない日が続くこと自体が、危険です。
減らし方は、必ず相談して決めてください。
環境も、変えてください
- 床にマットを敷き、滑らないようにする
- 爪を短く保ち、踏ん張りやすくする
- 高い所へは、段差を分けて登れるようにする
- トイレを、またぎやすい低いものに替える
- 寝床を、暖かい場所に置く
- 体重を、月に一度はかって記録する
どれも、関節にかかる力を減らすためです。
暖かくしてあげてください
冷えると、関節の痛みは強く出ます。
寝床を暖かくするだけで、動きやすくなることがあります。
お金のかからない、確かな工夫です。
食べているかを、見ていてください
痛みが強いと、食欲も落ちます。
猫が食べない日が続くのは、それだけで危険なことです。
二日食べていないなら、連絡してください。
再発することが、多い病気です
これからのことです。
予測が、難しい病気です
一旦良くなっても再発することが多く、どのような経過をたどるかについてはっきりと予測することは難しいとされています。
「あと何年」と言えない病気です。
だから、見ていてください
良くなった時期にも、歩き方を見てください。
また悪くなったときに、早く気づけます。
動画に撮っておくと、比べられます。
半年前の歩き方と並べると、変化がはっきり見えてきます。
ウイルスを持っているなら、なおさらです
猫白血病ウイルスに感染しているなら、ほかの病気にも気をつける必要があります。
定期的に、全身を診てもらってください。
関節だけの話では、済まなくなります。
感染を防ぐことが、遠回りの予防になります
猫白血病ウイルスは、猫から猫へうつります。
外に出さないこと、新しい猫を迎えるときに検査すること——
それが、この病気から遠ざかる道でもあります。
予防接種についても、相談してみてください。
多頭飼いなら、確かめておいてください
- すべての猫が、ウイルス検査を受けているか
- 新しく迎える猫は、検査してから合わせているか
- 食器やトイレを、分けたほうがよいか相談したか
- けんかで、傷ができていないか
- 外に出る子が、いないか
- 予防接種について、獣医師と話したか
一頭の検査結果が、家じゅうの猫の話になります。
焦らずに、続けてください
予測が難しい病気だからこそ、毎日の記録が支えになります。
良い日も、悪い日もあります。
その波を知っておくことが、次の判断を助けます。
🩺 関節だけを、見ません
関節が腫れているのに、血液検査を勧めることがあります。
発症した猫の三分の二に、猫白血病ウイルスの感染が見つかった
という報告があるからです。
関節だけを見ていては、分からない病気です。
この記事の要点
発生はまれで、年齢に関わらず雄猫が多いといわれています。
発症猫の3分の2が猫白血病ウイルスに感染していたという報告があります。
治療は症状や炎症をやわらげるもので、体重管理が関節への負担を減らします。
進行していくため治療を続ける必要があり、再発することが多い病気です。
Q. 進行性多発性関節炎とは、どんな病気ですか?
A. 複数の関節に、同時に炎症が起こる病気です。進行していくため、治療を続ける必要があります。
Q. よくある病気ですか?
A. 発生はまれとされています。名前を聞いたことがない飼い主も多い病気です。
Q. どんな猫がなりやすいですか?
A. 年齢に関わらず、雄猫が多いといわれています。
Q. 若い猫でも起こりますか?
A. 年齢を問わないとされています。高齢の猫だけの病気ではありません。
Q. ウイルスと関係がありますか?
A. 発症猫の3分の2が猫白血病ウイルスに感染していたという報告があります。
Q. ほかのウイルスも関係しますか?
A. 猫エイズウイルスの感染も、関与している可能性があります。
Q. 原因は分かっているのですか?
A. 免疫複合体の関連が言われていますが、まだ詳細は明らかになっていません。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 足に負荷をかけないようにかばうように歩き、複数の関節に痛みや腫れが見られます。
Q. けがとの違いは何ですか?
A. 複数の関節に、同時に出るところです。ぶつけたけがなら、痛むのは一か所です。
Q. どうやって診断しますか?
A. 関節の状態を調べたうえで、ウイルス検査も行われます。
Q. なぜ血液検査をするのですか?
A. 猫白血病ウイルスとの関係が報告されているためです。
Q. 治療はどうしますか?
A. 症状や炎症をやわらげる治療を行います。進行していくため、継続が必要です。
Q. 家でできることはありますか?
A. 体重管理は、関節への負担を減らす有効な方法です。床を滑らなくすることも役に立ちます。
Q. 治りますか?
A. 一旦良くなっても、再発することが多い病気です。経過をはっきり予測することは難しいとされています。
Q. 予防はできますか?
A. 猫白血病ウイルスの感染を防ぐことが、遠回りの予防になります。外に出さず、予防接種についても相談してください。
まとめ|関節の話で、終わらせないでください
いくつもの関節が、同時に腫れる。
それが、この病気の姿です。
まれな病気ですが、発症した猫の三分の二に猫白血病ウイルスの感染が見つかりました。
だから、関節だけを見ていては足りません。
治療は、症状と炎症をやわらげること。
そして、体重管理です。
進行していく病気なので、治療は続きます。
良くなっても、また悪くなることがあります。
長くつき合う覚悟が、そのまま支えになります。
今日できる3つ
- 1複数の関節が同時に腫れていないか、触って確かめる
- 2歩き方を動画に撮って、良いときと比べられるようにする
- 3ウイルス検査を受けているか、かかりつけで確かめる
この病気は、感染症とつながっています。外に出さないことが、いちばん確かな遠回りの予防です。
