

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の肺高血圧症|肺へ行く血管の、圧が上がります」です。ではどうぞ!
「肺高血圧症です」と言われた。
血圧が高いということだろうか——
そう思われるかもしれません。
けれどこれは、全身の高血圧とは別のものです。心臓から肺へ向かう血管の圧が高くなっている——そして、その手前には必ず原因があります。
結論
肺高血圧症とは心臓から肺へ血液を送る肺動脈の圧が高くなった状態です。猫の肺高血圧症はフィラリア症が原因でなることがあり、また心疾患が進んで肺高血圧症になることもあります。先天性の心疾患(動脈管開存症、心室中隔欠損症など)や、猫に多い肥大型心筋症などの後天性の心疾患では肺動脈圧が上昇し、肺高血圧症になります。診断は症状や身体検査、レントゲン検査、心電図検査、心臓超音波検査などから総合的に判断します。治療では肺高血圧症を引き起こした疾患があればその治療を行い、血管を拡張する作用のあるシルデナフィルという薬で症状改善の報告があり、よく使われます。予防としてはフィラリア予防をしっかり行うと、フィラリア由来の肺高血圧症を避けることができるかもしれません。また健康診断での早期発見により、肺高血圧症を遅らせられる可能性があります。
この記事でわかること
- ✓肺へ行く血管の、圧が上がります
- ✓全身の高血圧とは、別のものです
- ✓単独では、起こりません
- ✓フィラリアが、原因になります
- ✓心臓の病気からも、起こります
- ✓症状は、呼吸と運動に出ます
- ✓診断は、心臓の超音波が中心です
- ✓治療と、予防のこと
肺へ行く血管の、圧が上がります
まず、どこの話なのかから。
心臓から肺へ、血が送られています
心臓は、二つの回路に血を送っています。
ひとつは、全身へ。
もうひとつは、肺へです。
肺で酸素を受け取って、また心臓へ戻ってきます。
その、肺へ行くほうの圧です
肺高血圧症とは肺へ向かう血管(肺動脈)の圧が高くなった状態です。
肺の血管が狭くなったり、血が流れにくくなったりすると圧が上がります。
心臓の右側に、負担がかかります
肺へ血を送り出しているのは、心臓の右側です。
その先の圧が高ければ、押し出すのに強い力が要ります。
だから、心臓の右側が疲れていきます。
進めば、そこから全身に影響が出ます。
全身の高血圧とは、別のものです

ここは、混同されやすいところです。
測り方から、違います
全身の高血圧は足やしっぽにカフを巻いて測ります。
肺高血圧症は、その方法では分かりません。
心臓の超音波で、間接的に評価します。
背景にあるものも、違います
全身の高血圧では、腎臓病や甲状腺の病気が背景にあります。
肺高血圧症では、フィラリアや心臓の病気です。
探す方向が、まったく違うということです。
出る症状も、違います
全身の高血圧は、目や神経に症状が出ます。
網膜がはがれて、急に見えなくなることがあります。
肺高血圧症では、呼吸と運動に出ます。
同じ「高血圧」でも、別の病気だと考えてください。
単独では、起こりません

この病気の考え方です。
必ず、手前に何かがあります
肺高血圧症は、それ自体が独立した病気というより、何かの結果として起こるものです。
フィラリア症が原因でなることがあり、また心疾患が進んで肺高血圧症になることもあります。
だから、診断がついたらそこから原因を探します。
原因を治さなければ、続きます
圧を下げる薬だけでは、根本は変わりません。
手前にあるものを治療しなければ、圧はまた上がってきます。
これは、緑内障や胸水と同じ構造です。
結果に見えるものの、その裏を探す——
猫の病気には、この形がよく出てきます。
「肺高血圧症です」と言われたら、そこで話を終わらせないでください。
「原因は何でしょうか」——その質問から、本当の治療が始まります。
フィラリアが、原因になります

猫で知っておいてほしい原因です。
猫も、フィラリアになります
猫の肺高血圧症はフィラリア症が原因でなることがあります。
猫のフィラリア症は犬の病気だと思われがちですが、
猫にも起こります。
数が少なくても、影響します
猫では、成虫になる割合は低いとされています。
けれど少数でも、肺の血管には大きな影響を与えます。
体が小さいぶん、一匹の重みが違うのです。
犬のように、たくさん寄生しなくても影響が出ます。
血管に炎症が起こり、狭くなり、圧が上がります。
室内飼いでも、感染します
蚊は、家の中に入ってきます。
「外に出さないから大丈夫」とは言えません。
フィラリアと診断される猫の中には、室内飼育の猫も含まれます。
だから、予防に意味があります
フィラリア予防をしっかり行うと、フィラリア由来の肺高血圧症を避けることができるかもしれません。
毎月の予防薬でこの道は断てます。
予防できる原因が、ひとつある——
これは、大きなことです。
予防薬の始め方
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 始める前に | すでに感染していないか、検査で確かめる |
| 時期 | 蚊の出る時期に合わせて、地域ごとに決める |
| 形 | 飲み薬のほか、背中につけるタイプもある |
| 間隔 | 毎月一回。飛ばさないことが大事 |
| 室内飼いでも | 蚊は入るので、対象になる |
「うちは室内だから」でやめてしまわないでください。
心臓の病気からも、起こります
もうひとつの大きな原因です。
肥大型心筋症から、続きます
猫に多い肥大型心筋症などの後天性の心疾患では、肺動脈圧が上昇し、肺高血圧症になります。
肥大型心筋症は猫の心臓病でいちばん多いものです。
心臓に血がたまりにくくなれば、その手前の肺で血が滞ります。
そして、肺の血管の圧が上がります。
生まれつきの心臓病からも、起こります
先天性の心疾患(動脈管開存症、心室中隔欠損症など)でも肺動脈圧が上昇します。
動脈管開存症では肺へ流れる血の量が増えます。
流れすぎれば、血管に負担がかかります。
だから、若い猫でも起こりえます。
進むと、右の心臓が音を上げます
肺へ送り出す側は、心臓の右半分です。
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 圧が上がり始める | 右心が、強い力で押し出そうとする |
| 負担が続く | 右心の壁が厚くなり、疲れていく |
| 限界に近づく | 送り出せず、手前で血が滞る |
| 体に現れる | お腹に水がたまる、胸水がたまる |
| だから | お腹の張りも、見ておいてほしい |
「お腹が張ってきた」のは心臓からの知らせかもしれません。
肺の病気からも、起こります
肺そのものが傷めば、その中を通る血管も傷みます。
慢性の肺の病気が背景にあることもあります。
だから、心臓だけでなく肺も調べます。
レントゲンで、肺の様子もあわせて確かめることになります。
症状は、呼吸と運動に出ます

どう気づくのかです。
動いたあとに、出やすいのです
安静時には、目立たないことがあります。
けれど動くと、必要な血液の量が増えます。
そこで、限界が見えてきます。
すぐ疲れる、遊びが続かない——
それが、最初のサインになります。
呼吸が、速くなります
安静時呼吸数が増えてくることがあります。
1分間20〜30回が正常です。
寝ているときに数えて、40回を超えていたら相談してください。
失神することもあります
動いたあとに、ふらついたり倒れたりする——
脳へ十分な血が行かなくなるためです。
けいれんと間違えられることもあります。
動画を撮って、見てもらってください。
舌の色も、見てください
運動のあとに、舌や歯ぐきが紫がかることがあります。
酸素が十分に届いていない印です。
- 遊びが、すぐ終わってしまう
- 寝ているときの呼吸が、速い
- 咳が出ることがある
- 動いたあとに、ふらつく
- 舌や歯ぐきが、紫がかることがある
- お腹が張ってきた
最後のお腹の張りは、心臓の右側が弱ってきた印のことがあります。
診断は、心臓の超音波が中心です
どうやって確かめるのかです。
いくつかを、組み合わせます
症状や身体検査、レントゲン検査、心電図検査、心臓超音波検査などから総合的に判断します。
ひとつの検査で決まるものではありません。
超音波で、圧を推定します
心臓の超音波では血液の流れる速さから、圧を推定できます。
直接、針を刺して測るわけではありません。
麻酔も要らず、その場でできる検査です。
同時に、心臓の病気がないかも確かめられます。
受診のときに、伝えてほしいこと
- いつから、疲れやすくなったか
- 安静時呼吸数の記録
- ふらついたことがあるか(動画があるとよい)
- フィラリア予防をしているか
- 心臓の病気を指摘されたことがあるか
- 咳の有無
フィラリア予防の有無は必ず伝えてください。
していないなら、その可能性を先に考えます。
原因も、あわせて調べます
| 調べること | 何を確かめているか |
|---|---|
| 心臓の超音波 | 肺動脈の圧と、心臓の病気の有無 |
| レントゲン | 心臓の形、肺の血管の太さ |
| 心電図 | 心臓の右側に負担がかかっていないか |
| フィラリアの検査 | 虫が関わっていないか |
| 血液検査 | 全身の状態と、ほかの病気の有無 |
治療と、予防のこと
治療は、二本立てになります。
原因を、治療します
肺高血圧症を引き起こした疾患があれば、その治療を行います。
心臓の病気なら、そちらの治療を。
フィラリアなら、その管理を。
ここを外すと、圧は下がりません。
血管を広げる薬を、使います
血管を拡張する作用のあるシルデナフィルという薬で症状改善の報告があり、よく使われます。
狭くなった肺の血管を広げて、圧を下げるという考え方です。
続けて飲むことになります。
自己判断でやめないでください。
記録しておいてほしいこと
- 安静時呼吸数(毎日、日付つきで)
- 遊びが続く時間の変化
- ふらついたことがあるか
- 咳の有無と、回数
- 薬を飲めているか
- 体重の変化
「遊べる時間が短くなってきた」という変化も、大事な情報です。
負担を、減らしてください
興奮させない。
激しく運動させない。
暑さを避ける。
太らせない。
どれも、心臓と肺の負担を減らします。
健康診断が、効いてきます
健康診断での早期発見により、肺高血圧症を遅らせられる可能性があります。
背景にある心臓の病気を、症状が出る前に見つける——
そこが、いちばん効く手です。
心臓の超音波は、麻酔も要らずその場でできます。
とくに、心臓病になりやすい猫種では健診に加えることを相談してみてください。
⚠ こんなときは、すぐ受診してください
口を開けて呼吸している。
舌や歯ぐきが、紫や灰色に見える。
倒れた、意識がもうろうとした。
お腹が急に張ってきた。
心臓の右側が限界を超えると、全身に影響が出ます。
🩺 防げる原因が、あります
フィラリアの予防は、この病気に対して直接効く手のひとつです。
室内飼いでも、蚊は入ってきます。
毎月の一回で、防げる原因があります。
この記事の要点
心臓から肺へ向かう血管の圧が高くなる病気で、全身の高血圧とは別のものです。
フィラリア症が原因になることがあり、心疾患が進んで起こることもあります。
診断は症状、身体検査、レントゲン、心電図、心臓超音波検査などから総合的に判断します。
原因疾患の治療に加え、血管を広げるシルデナフィルがよく使われます。
Q. 肺高血圧症とは、どんな病気ですか?
A. 心臓から肺へ血液を送る肺動脈の圧が高くなった状態です。肺の血管が狭くなったり、血が流れにくくなったりして起こります。
Q. 全身の高血圧とは違うのですか?
A. 別のものです。全身の高血圧はカフを巻いて測りますが、肺高血圧症は心臓の超音波で評価します。背景にある病気も違います。
Q. 原因は何ですか?
A. フィラリア症が原因でなることがあり、心疾患が進んで起こることもあります。先天性の心疾患や、猫に多い肥大型心筋症でも肺動脈圧が上昇します。
Q. 猫もフィラリアになりますか?
A. なります。犬の病気だと思われがちですが、猫にも起こります。成虫になる割合は低いとされますが、少数でも肺の血管に影響します。
Q. 室内飼いでも感染しますか?
A. します。蚊は家の中に入ってきます。「外に出さないから大丈夫」とは言えません。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 呼吸と運動に出ます。すぐ疲れる、遊びが続かない、呼吸が速い、動いたあとにふらつくといった変化が手がかりです。
Q. 失神することがありますか?
A. あります。動いたあとにふらついたり倒れたりすることがあります。けいれんと間違えられることもあるため、動画を撮ってください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 症状や身体検査、レントゲン検査、心電図検査、心臓超音波検査などから総合的に判断します。
Q. 超音波で圧が分かるのですか?
A. 血液の流れる速さから、推定できます。麻酔も要らず、その場でできる検査です。同時に、心臓の病気がないかも確かめられます。
Q. 治療はどうしますか?
A. 原因になった病気があれば、その治療を行います。あわせて、血管を拡張する作用のあるシルデナフィルがよく使われます。
Q. 薬だけでは、だめですか?
A. 原因を治さなければ、圧はまた上がってきます。薬で下げながら、手前にあるものを治療していくことになります。
Q. 薬はいつまで続けますか?
A. 続けることになります。自己判断でやめないでください。
Q. 家でできることは?
A. 負担を減らすことです。興奮させない、激しく運動させない、暑さを避ける、太らせない。そして、安静時呼吸数を測って記録してください。
Q. 予防できますか?
A. フィラリア由来のものは、予防できる可能性があります。毎月の予防薬をしっかり行ってください。
Q. 健康診断は役に立ちますか?
A. 役に立ちます。健康診断での早期発見により、肺高血圧症を遅らせられる可能性があるとされています。
Q. お腹が張ってきました
A. 心臓の右側が弱ってきた印のことがあります。肺へ送り出せなくなると、その手前で血が滞り、お腹に水がたまることがあります。受診してください。
Q. 予防薬は、いつから始めますか?
A. 蚊の出る時期に合わせて、地域ごとに決めます。始める前に、すでに感染していないかを検査で確かめます。時期や薬の種類は、かかりつけで相談してください。
まとめ|「高血圧」という言葉に、惑わされないでください
肺高血圧症は全身の高血圧とは別のものです。
心臓から肺へ向かう血管の圧が高くなっています。
そして、この病気は単独では起こりません。
フィラリアか、心臓の病気か、肺の病気か——
必ず、手前に何かがあります。
だから「肺高血圧症です」と言われたら、「原因は何でしょうか」と聞いてください。
そして、この病気には防げる原因がひとつあります。
フィラリアです。
室内飼いでも、蚊は入ります。毎月の一回が、この道を断ちます。
今日できる3つ
- 1寝ている猫の呼吸数を、15秒数えて4倍する
- 2遊んだあと、すぐ休んでしまわないか見てみる
- 3フィラリア予防をしているか、確かめる
肺高血圧症は、結果として起こる病気です。その手前を探すことが、治療の入り口になります。

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