

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の肥大型心筋症|症状が出る前に、見つけたい病気です」です。ではどうぞ!
昨日まで、ふつうに過ごしていた。
それが今朝、口を開けて苦しそうに息をしている。
あるいは突然、後ろ足が動かなくなって鳴いている。
肥大型心筋症は、そういう出方をします。猫の心臓病でいちばん多い病気でありながら、初期には症状が出ません。だから元気なうちに見つけることに、大きな意味があります。
結論
肥大型心筋症(HCM)は猫の心臓病の中で最も多く発生する心疾患です。心臓の筋肉、とくに左心室の壁が厚くなることで、血液を十分にためられなくなり、心臓の働きが落ちていきます。発症初期には無症状なことも多く、進行してから肺水腫や血栓塞栓症など命に関わる合併症を引き起こすことがあります。心筋症によって死亡した猫のうち、突然死は15%の猫で発生していると報告されています。また大動脈血栓塞栓症(ATE)は肥大型心筋症の11.6%に発症すると報告されており、一部の報告ではその死亡率は6割程度と非常に高いとされています。血栓症を併発した猫の予後は比較的悪く、中央生存期間は184日とされています。とくにメインクーンやラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャなどの品種で発症しやすいとされていますが、ミックス猫でも発症することがあります。
この記事でわかること
- ✓猫の心臓病で、最も多いものです
- ✓初めは、無症状です
- ✓気づかれるのは、三つの形です
- ✓突然死が、起こることがあります
- ✓血栓は、後ろ足に来ます
- ✓なりやすい猫種があります
- ✓診断は、心臓の超音波です
- ✓家でできるのは、呼吸数です
猫の心臓病で、最も多いものです
まず、どんな病気なのかから。
心臓の壁が、厚くなります
心臓は、筋肉でできた袋です。
ふくらんで血をため、縮んで送り出しています。
この病気ではその壁が厚くなります。
とくに、全身へ血を送る部屋(左心室)の壁が厚くなります。
厚くなると、たまりにくくなります
壁が厚くなれば、内側の空間が狭くなります。
そして、厚い筋肉は硬くなります。
硬い袋は、うまくふくらみません。
だから、血液が十分にたまらなくなるのです。
送り出す力ではなく、ためる力の問題です
心臓が弱って、押し出せなくなる病気だと思われがちです。
けれど、この病気は違います。
ためる側が、うまくいかなくなるのです。
そして、たまらなかった血が手前でうっ滞します。
その手前にあるのが、肺です。
初めは、無症状です

この病気のいちばん厄介なところです。
元気に見えます
発症初期には無症状なことも多いとされています。
走りますし、遊びますし、よく食べます。
見た目には、健康な猫と変わりません。
その間も、心臓の壁は厚くなり続けています。
雑音がないこともあります
心臓病=聴診で雑音と思われるかもしれません。
けれどこの病気では、雑音が聞こえないことがあります。
「心音はきれいですね」と言われても、この病気がないとは限らないのです。
だから、超音波で見ることに意味があります。
だから、健診で見つけたいのです
症状が出てからでは、すでに進んでいます。
肺に水がたまってから、血栓ができてから——
そこからでは、選べることが減ります。
元気なうちに一度、心臓を見てもらう——それが、この病気に対していちばん有効な手です。
気づかれるのは、三つの形です

症状が出るとき、だいたい三つの形をとります。
肺に、水がたまります
進行してから肺水腫を引き起こすことがあります。
心臓にたまれなかった血が、肺でうっ滞します。
そして、肺の中に水がしみ出します。
急に呼吸が苦しくなるのは、このためです。
肺水腫はその日のうちの処置が要る状態です。
血の塊が、飛びます
血栓塞栓症も、この病気の合併症です。
心臓の中で血液がよどみ、塊ができます。
それが流れていって、血管に詰まります。
詰まりやすいのが、後ろ足へ向かう血管です。
何の前ぶれもなく、亡くなることがあります
心筋症によって死亡した猫のうち、突然死は15%の猫で発生していると報告されています。
症状が出る前に、亡くなってしまうということです。
厳しい数字ですが、事実として知っておいてください。
だからこそ、無症状のうちに見つけたいのです。
こんな変化にも、気づいてください
はっきりした症状の前に、小さな変化が出ることがあります。
- 高いところに、登らなくなった
- 遊びが、続かなくなった
- 寝ている時間が、増えた
- 呼吸が、前より速い気がする
- 食べる途中で、休むようになった
- 後ろ足を、引きずることがある
どれも「歳のせい」で片づけられがちです。
けれど、心臓が背景にあることがあります。
突然死が、起こることがあります
この点について、もう少し書いておきます。
心臓のリズムが、乱れます
厚くなった心臓の筋肉は、電気の通り方が変わります。
そこから、危険な不整脈が起こることがあります。
心臓が、有効に血を送れなくなる——
それが、突然死につながります。
飼い主のせいではありません
前ぶれがないから、防ぎようがない——
それが、この形の残酷なところです。
「気づいてあげられなかった」と責める必要はありません。
症状がないものは、見えません。
見つかったあとの、進み方
| 段階 | そこですること |
|---|---|
| 見つかった直後 | 厚さを測り、進み具合を評価する |
| 軽度で安定 | 半年〜1年ごとに、経過を見る |
| 進んできた | 薬を始める。間隔を詰めて見る |
| 血栓のリスクが高い | 血栓を防ぐ薬を加える |
| 合併症が出た | その治療を優先し、入院になることも |
「経過を見ましょう」も、立派な方針です。
できるのは、先回りすることだけです
健診で心臓を見てもらう。
見つかったら、そこから管理を始める。
それが、いまできる唯一の先回りです。
血栓は、後ろ足に来ます
もっとも劇的な現れ方です。
十一パーセントに、起こります
大動脈血栓塞栓症(ATE)は肥大型心筋症の11.6%に発症すると報告されており、一部の報告ではその死亡率は6割程度と非常に高いとされています。
十頭に一頭を超える割合です。
そして、その多くを失うことになります。
突然、後ろ足が動かなくなります
血栓が後ろ足への血管に詰まると、そこから先へ血が届かなくなります。
足が冷たくなり、動かなくなります。
そして、激しく痛がって鳴きます。
これは、猫がもっとも強く痛む状態のひとつです。
その場で救急へ連絡してください。
くわしくは動脈血栓塞栓症で書いています。
生存期間の数字も、知っておいてください
血栓症を併発した猫の予後は比較的悪く、中央生存期間は184日とされています。
およそ半年という数字です。
厳しい数字ですが、これは中央値です。
その猫の運命が決まっているわけではありません。
⚠ この二つは、その場で救急へ
口を開けて、苦しそうに呼吸している。
突然、後ろ足が動かなくなって鳴いている。
どちらも、この病気の合併症です。
夜間でも、待たずに連絡してください。
血栓を防ぐ薬があります
血栓のリスクが高いと判断された場合、
血の塊ができにくくする薬が使われます。
| 超音波で見つかること | どう考えるか |
|---|---|
| 左心房が大きくなっている | 血液がよどみやすい状態 |
| もやもやした影が見える | 血液のよどみ。血栓の前段階 |
| すでに血栓がある | 飛ぶ前に、対策を始める |
| 壁の厚さが増している | 進行を示す。薬の調整を考える |
| だから | 定期的に見ることに意味がある |
血栓ができてからでは、遅いのです。
なりやすい猫種があります

猫種による傾向が知られています。
四つの猫種が、挙げられます
とくにメインクーンやラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャなどの品種で発症しやすいとされています。
これらの猫種を飼っているなら、健診に心臓の超音波を加えてほしいところです。
ミックスでも、起こります
けれどミックス猫でも発症することがあります。
猫種で決まる病気ではありません。
「うちは雑種だから大丈夫」とは言えないのです。
年齢は、あまり関係しません
高齢の病気だと思われがちです。
けれど若い猫でも発症します。
- 一歳前後で見つかることもある
- 中年期に進んでくることもある
- 高齢になってから分かることもある
- 年齢で「まだ大丈夫」とは言えない
- なりやすい猫種なら、若いうちから見ておく
「まだ若いから」で先延ばしにしないでください。
迎える前に、聞けることがあります
これらの猫種を迎えるとき、
親猫の心臓の検査を受けているかを尋ねてみてください。
きちんとした繁殖者なら、答えられます。
その質問ができること自体が、選ぶ側の力になります。
診断は、心臓の超音波です
どうやって見つけるのかです。
超音波で、壁の厚さを測ります
心臓の超音波検査(心エコー)がいちばん確かな方法です。
心臓の壁の厚さを、実際に測ります。
麻酔は要りません。
横になっていられれば、その場でできます。
ほかの検査も、組み合わせます
| 検査 | 何が分かるか |
|---|---|
| 心臓の超音波 | 壁の厚さ、血液のよどみ、血栓の有無 |
| レントゲン | 心臓の大きさ、肺に水がないか |
| 血液検査 | 心臓の負担を示す数値、甲状腺の状態 |
| 血圧の測定 | 高血圧が背景にないか |
| 聴診 | 雑音や不整脈。ただし正常なこともある |
似た見え方をするものを、除きます
甲状腺機能亢進症や高血圧症でも心臓の壁は厚くなります。
そちらが原因なら、そちらを治すことで戻ることがあります。
だから、血液検査と血圧測定もあわせて行われます。
家でできるのは、呼吸数です

診断されたあと、家でできることです。
毎日、数えてください
安静時呼吸数がいちばん役に立つ指標です。
数え方は簡単で、寝ているときに胸かお腹の上下を15秒数えて4倍するだけです。
安静時で20〜30回が正常です。
増えてきたら、肺の水を疑います
ふだん25回だった猫が、40回になった——
これは、肺に水がたまり始めたサインかもしれません。
症状が出る前に気づける、数少ない方法です。
心臓病と診断されたら、毎日測る習慣をつけてください。
後ろ足も、見ておいてください
血栓は、突然起こります。
けれど足を引きずる、片方だけ冷たいといった軽い前ぶれがあることもあります。
後ろ足を触って、冷たくないか——
ときどき確かめてみてください。
記録しておいてほしいこと
- 安静時呼吸数(毎日、日付つきで)
- 体重(週に一度でよい)
- 食欲や、遊ぶ量の変化
- 薬を飲めたかどうか
- 咳のような動作があったか
- 後ろ足の様子
呼吸数の記録があれば、薬の量を調整する材料になります。
スマートフォンのメモで十分です。
薬を、切らさないでください
心臓の薬も、血栓を防ぐ薬も、飲み続けることに意味があります。
元気に見えても、やめないでください。
この病気は、進行を止めるのではなく遅らせる治療になります。
切らした期間の分だけ、リスクが戻ります。
🩺 治療を続ける意味
「元気なのに、なぜ薬が要るのか」と感じることがあると思います。
この病気は、元気なうちに手を打つものです。
症状が出てからでは、選べることが減ります。
この記事の要点
猫の心臓病の中で、最も多く発生する心疾患です。
初期は無症状で、進行してから肺水腫や血栓塞栓症など命に関わる合併症を引き起こします。
心筋症による死亡例の15%が突然死。血栓塞栓症は11.6%に発症するとされています。
メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャで多いものの、ミックスでも発症します。
Q. 肥大型心筋症とは、どんな病気ですか?
A. 心臓の筋肉、とくに左心室の壁が厚くなる病気です。猫の心臓病の中で、最も多く発生する心疾患とされています。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 発症初期には無症状なことも多いものです。進行してから、肺水腫や血栓塞栓症など命に関わる合併症として現れます。
Q. 元気に見えるのですが
A. この病気は、元気に見えたまま進みます。走りますし、遊びますし、よく食べます。その間も、心臓の壁は厚くなり続けています。
Q. 聴診で雑音がなければ大丈夫ですか?
A. そうとは限りません。この病気では、雑音が聞こえないことがあります。だから、超音波で見ることに意味があります。
Q. 突然死することがありますか?
A. 心筋症によって死亡した猫のうち、突然死は15%の猫で発生していると報告されています。危険な不整脈が背景にあると考えられています。
Q. 血栓とは何ですか?
A. 心臓の中で血液がよどんでできる、血の塊です。それが流れて血管に詰まると、その先へ血が届かなくなります。後ろ足へ向かう血管に詰まることが多いものです。
Q. 血栓は、どのくらい起こりますか?
A. 大動脈血栓塞栓症は、肥大型心筋症の11.6%に発症すると報告されています。一部の報告では、その死亡率は6割程度と非常に高いとされています。
Q. 血栓が起きたら、どうなりますか?
A. 血栓症を併発した猫の予後は比較的悪く、中央生存期間は184日とされています。ただしこれは中央値であり、その猫の運命が決まるわけではありません。
Q. なりやすい猫種はありますか?
A. メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、ペルシャなどで発症しやすいとされています。ただしミックス猫でも発症することがあります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 心臓の超音波検査で、壁の厚さを測ります。麻酔は要りません。あわせてレントゲン、血液検査、血圧測定なども行われます。
Q. ほかの病気でも、心臓は厚くなりますか?
A. なります。甲状腺機能亢進症や高血圧症でも厚くなるため、血液検査と血圧測定で確かめます。
Q. 治りますか?
A. 厚くなった心臓が元に戻ることは、多くありません。治療は進行を遅らせ、合併症を防ぐことが目的になります。
Q. 家で何をすればよいですか?
A. 安静時呼吸数を、毎日数えてください。寝ているときに胸かお腹の上下を15秒数えて4倍します。増えてきたら、肺に水がたまり始めたサインかもしれません。
Q. 元気なのに、薬が要りますか?
A. 元気なうちに手を打つ病気です。症状が出てからでは選べることが減ります。自己判断でやめないでください。
Q. 健診で調べられますか?
A. 調べられます。心臓の超音波は麻酔も要らず、その場でできます。なりやすい猫種なら、健診に加えることを相談してみてください。
まとめ|元気なうちに、一度見てもらってください
肥大型心筋症は、猫の心臓病でいちばん多い病気です。
そして初期には、何の症状も出ません。
元気に走り回っている猫の心臓が、静かに厚くなっていく——それが、この病気の姿です。
表に出るときは、肺水腫、血栓、突然死という形になります。
どれも、その日のうちに決着がつくものです。
だからこの病気では、症状が出る前に見つけることがすべてになります。
心臓の超音波は、麻酔も要らず、その場でできます。
なりやすい猫種なら、なおさらです。
そして、見つかったら呼吸数を数える習慣を持ってください。その数字が、次の合併症を先に教えてくれます。
今日できる3つ
- 1寝ている猫の呼吸数を、15秒数えて4倍する
- 2後ろ足を触って、冷たくないか確かめる
- 3次の健診で「心臓の超音波はできますか」と聞く
この病気は、静かに進みます。元気なうちの一度が、いちばん効きます。

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