

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の膵炎|症状が出ないまま、進むことがあります」です。ではどうぞ!
なんとなく、食べない日がある。
たまに吐くけれど、続かない。
元気がないような気もするけれど、はっきりしない。
猫の膵炎は、そういう顔をしています。犬のように、激しく吐いてお腹を痛がる——という出方をしません。そして、肝臓と腸を巻き込みます。
結論
膵炎とは膵臓に炎症が起きている状態です。猫は膵臓・肝臓・腸がつながりやすく、トライアド(胆管炎+膵炎+腸炎)を同時に発症することが少なくありません。膵炎の半数が三臓器炎を併発していたという報告もあります。慢性膵炎では、激しい嘔吐や下痢の症状が出ないのが特徴で、食欲低下や嘔吐、下痢、元気消失が時々起こることが一般的ですが、はっきりした症状がほとんどない場合もあります。診断には身体検査、血液検査、猫膵特異的リパーゼ検査、超音波検査、レントゲン検査が用いられ、最も感度と特異度の高い検査が猫膵特異的リパーゼ検査です。超音波検査では、膵臓の肥大、周囲の腸間膜の高エコー、限局性の腹部滲出液などを認める場合があります。慢性膵炎の猫には、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制薬が使用されます。重度の慢性膵炎の場合、食欲廃絶となり、肝リピドーシスを併発していることもあり、予後が悪いといわれています。
この記事でわかること
- ✓膵臓は、二つの仕事をしています
- ✓猫では、三つが一緒に起こります
- ✓はっきりした症状が、出ません
- ✓犬の膵炎とは、別の顔をしています
- ✓食べない日が、危険をつくります
- ✓血液と超音波で、確かめます
- ✓治療は、炎症を抑えることから
- ✓家で見ておいてほしいこと
膵臓は、二つの仕事をしています
まず、どんな臓器なのかから。
消化する液を、作っています
膵臓は、食べたものを分解する液を作ります。
それを腸へ送り出して、消化を助けています。
とても強い液です。
血糖を、調整しています
もうひとつの仕事が、ホルモンを作ることです。
血糖を下げるインスリンも、ここで作られます。
だから、膵臓が傷めば糖尿病につながることもあります。
炎症とは、自分を消化してしまうこと
膵炎では、消化する液が膵臓そのものに働いてしまいます。
食べ物を溶かすための液が、自分の組織を溶かし始めるのです。
だから、炎症が強くなります。
そして、まわりの脂肪にも広がっていきます。
膵臓そのものより広い範囲が、傷んでいくことがあります。
猫では、三つが一緒に起こります

ここが、猫の膵炎でいちばん大事なところです。
膵臓・肝臓・腸が、つながっています
猫は膵臓・肝臓・腸がつながりやすく、トライアド(胆管炎+膵炎+腸炎)を同時に発症することが少なくありません。
膵臓からの管と、肝臓からの管が合流してから腸へ入る——
その構造が、猫では炎症を広げやすくしています。
半数で、併発しています
膵炎の半数が三臓器炎を併発していたという報告があります。
二頭に一頭ということです。
膵炎が見つかったら、肝臓と腸も調べる理由がここにあります。
だから、検査が広がります
「膵炎なのに、なぜ肝臓の検査も」——
そう思われることがあります。
けれど猫では、それが標準的な進め方です。
治療も、まとめて考えます
三つが一緒なら、治療もひとつでは足りません。
どれが主なのかを見ながら、組み立てていくことになります。
時間がかかるのは、そのためです。
どれが主役かは、猫によって違います
| どこの炎症か | 現れやすい様子 |
|---|---|
| 膵炎 | 時々食べない、時々吐く、元気がない |
| 胆管炎 | 黄疸が出ることがある、熱が出る |
| 腸炎 | 下痢や軟便が続く、体重が減る |
| 三つが重なると | 症状が混ざり、絞りにくくなる |
| だから | まとめて調べ、まとめて治療を組み立てる |
「どれか一つ」と決めつけずに進めるのが、猫の消化器の診かたです。
はっきりした症状が、出ません

気づきにくさについて。
時々、というのが特徴です
慢性膵炎では、激しい嘔吐や下痢の症状が出ないのが特徴で、食欲低下や嘔吐、下痢、元気消失が時々起こることが一般的です。
毎日ではありません。
思い出したように起こって、また戻る——
だから、様子を見てしまいます。
何も出ないこともあります
はっきりした症状がほとんどない場合もあります。
別の理由で検査をして、見つかることもあります。
猫が痛みを隠す動物であることも重なっています。
だから、記録が役に立ちます
- 食べなかった日に、しるしをつける
- 吐いた日を、記録する
- 月に一度、体重をはかる
- 便のようすを、見ておく
- 寝ている時間が増えていないか
- 毛づくろいが減っていないか
「時々」が積み重なっていることは、記録しないと見えません。
犬の膵炎とは、別の顔をしています

ここを混同しないでください。
激しい症状を、待たないでください
犬の膵炎では激しい嘔吐と下痢がよく知られています。
けれど猫では、激しい嘔吐や下痢の症状が出ないのが特徴です。
「そこまでひどくないから、膵炎ではない」——
その判断が、遅れをつくります。
痛がる姿も、見えにくいのです
犬は、お腹を痛がる姿勢をとることがあります。
猫は、そういう分かりやすい姿を見せません。
じっと丸くなって、動かなくなるだけのことがあります。
それを「よく寝ている」と受け取ってしまいます。
引き金も、はっきりしません
犬では、脂っこい食事が引き金として語られます。
猫では、原因がはっきりしないことが多いものです。
だから、予防のしようがない面もあります。
そのぶん、早く見つけることが大事になります。
食べない日が、危険をつくります
ここが、猫でいちばん怖いところです。
食欲廃絶から、脂肪肝へ
重度の慢性膵炎の場合、食欲廃絶となり、肝リピドーシスを併発していることもあり、予後が悪いといわれています。
膵炎で食べられなくなる——
すると、肝リピドーシスが起こる——
それが重なると、見通しが悪くなります。
猫は、食べない時間に弱い動物です
食べない日が続くと、体は自分の脂肪を使い始めます。
その脂肪が、肝臓に溜まってしまうのが肝リピドーシスです。
猫では、これが起こりやすいのです。
だから、食欲不振は待てません
「そのうち食べるだろう」——
犬ではそう言えても、猫では言えません。
まる一日食べていないなら、それは受診の理由です。
二日続いたら、急いでください。
| 食べない期間 | 考え方 |
|---|---|
| 一食抜いた | 様子を見つつ、次の食事を確かめる |
| まる一日食べない | 受診の理由になる |
| 二日食べない | 急いでください。脂肪肝の危険が高まる |
| 水も飲まない | その日のうちに受診する |
| 吐いて食べない | 脱水が進む。早めに受診する |
⚠ こんなときは、受診してください
まる一日、食べていない。
吐く日が、増えてきた。
体重が、減ってきた。
ぐったりして、動かない。
猫では、食べない時間そのものが危険をつくります。
血液と超音波で、確かめます

どうやって調べるのかです。
猫膵特異的リパーゼ検査が中心です
診断には、身体検査、血液検査、猫膵特異的リパーゼ検査、超音波検査、レントゲン検査が用いられます。
猫の膵炎を診断するための最も感度と特異度の高い検査が、猫膵特異的リパーゼ検査です。
膵臓から出る酵素を、猫に合わせて測る検査です。
超音波で、膵臓を見ます
超音波検査では、膵臓の肥大、周囲の腸間膜の高エコー、限局性の腹部滲出液などを認める場合があります。
膵臓が腫れているか、
まわりの脂肪が炎症を起こしているか——
それが、画面に現れます。
一度で決まらないこともあります
猫の膵炎は、検査で見つけにくい病気です。
数値が正常でも、否定はできません。
時間をおいて、もう一度調べることもあります。
疑わしいまま、治療を始めることもあります。
「はっきりしないから、様子を見ましょう」より
「疑わしいので、治療してみましょう」が
猫では選ばれることがあります。
肝臓と腸も、あわせて調べます
三臓器炎を併発していることが多いため、
肝臓の値や、腸の厚みも見ていきます。
検査の範囲が広がるのは、そのためです。
急に悪くなることもあります
| 経過 | 起きていること |
|---|---|
| 慢性のまま続く | 時々の症状をくり返しながら進む |
| 急に強く出る | 食べられなくなり、ぐったりする |
| 脱水が進む | 吐いて飲めないと、一気に悪くなる |
| 脂肪肝を併発 | 食欲廃絶が続くと起こる。予後が悪くなる |
| 糖尿病を伴う | インスリンを作る部分も傷むことがある |
いつもの「時々」と違うと感じたら、その感覚を信じてください。
治療は、炎症を抑えることから
どう治していくのかです。
免疫抑制薬が使われます
慢性膵炎の猫には、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制薬が使用されます。
炎症そのものを抑えていく治療です。
長く続けることになることがあります。
痛みを、取ります
猫は痛みを見せませんが、痛くないわけではありません。
痛みを抑えることが、食欲を戻す助けになります。
「痛み止めは要らないのでは」と思わないでください。
食べさせることが、治療です
食べない状態を、そのままにしない——
それ自体が、大事な治療です。
食欲を出す薬や、チューブから栄養を入れる方法もあります。
脂肪肝を防ぐために、そこまでします。
「無理に食べさせなくても」と思われるかもしれません。
けれど猫では、そこが分かれ目になります。
治療で、目指すこと
- 炎症を抑えて、進みを止める
- 痛みを取って、食べられるようにする
- 脱水を補って、体を支える
- 食べない時間を、できるだけ短くする
- 肝臓と腸の炎症も、あわせて抑える
- 体重を、減らさないようにする
「膵炎を治す薬」があるわけではありません。
支えながら、落ち着かせていく治療です。
点滴で、支えます
吐いて水が飲めなければ、脱水が進みます。
点滴で水分を補い、体を支えます。
入院になることもあります。
家で見ておいてほしいこと
長くつきあう病気です。
体重を、はかってください
体重は、いちばん正直な数字です。
月に一度でかまいません。
減り続けているなら、落ち着いていないということです。
食べた量を、覚えておいてください
「よく食べています」では、変化が伝わりません。
いつもの何割か——
そのくらいの目安で十分です。
診察のときに、そのまま役に立ちます。
こんな変化を、伝えてください
- 食べない日が、増えていないか
- 吐く回数が、増えていないか
- 体重が、減っていないか
- 下痢や軟便が、続いていないか
- 水を飲む量が、変わっていないか
- 寝ている時間が、増えていないか
どれも、小さな変化です。
けれど、この病気では小さな変化しか出ません。
糖尿病にも、気をつけてください
膵臓は、インスリンを作る場所でもあります。
炎症が続けば、そこも傷んでいきます。
水をたくさん飲むようになったなら、
それも伝えてください。
膵炎と糖尿病が、同じ猫で並んで進むことがあります。
おしっこの量や、水を飲む音の回数——
そんな些細なことが、手がかりになります。
🩺 犬の常識を、持ち込まないこと
猫の膵炎は、犬とは別の病気だと思っておいてください。
激しく吐かないから軽い、ということはありません。
そして、膵臓だけを見ても終わりません。
肝臓と腸も、一緒に起きていることが多いのです。
この記事の要点
猫は膵臓・肝臓・腸がつながりやすく、胆管炎・膵炎・腸炎を同時に発症することが少なくありません。
膵炎の半数が三臓器炎を併発していたという報告があります。
慢性膵炎では激しい嘔吐や下痢が出ず、はっきりした症状がほとんどない場合もあります。
最も感度と特異度が高い検査は、猫膵特異的リパーゼ検査です。
Q. 猫の膵炎は、どんな症状が出ますか?
A. 慢性膵炎では、激しい嘔吐や下痢の症状が出ないのが特徴です。食欲低下や嘔吐、下痢、元気消失が時々起こることが一般的です。
Q. 症状が出ないこともありますか?
A. はっきりした症状がほとんどない場合もあります。別の理由で検査をして見つかることもあります。
Q. 犬の膵炎と、同じですか?
A. 違います。犬では激しい嘔吐と下痢が知られていますが、猫ではそうした症状が出ないのが特徴です。
Q. トライアドとは何ですか?
A. 胆管炎、膵炎、腸炎が同時に起こることです。猫は膵臓・肝臓・腸がつながりやすく、この三臓器炎を発症することが少なくありません。
Q. どのくらいの割合で併発しますか?
A. 膵炎の半数が三臓器炎を併発していたという報告があります。
Q. なぜ肝臓の検査もするのですか?
A. 三臓器炎の可能性があるためです。猫では、膵臓だけを調べても全体が分からないことがあります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 身体検査、血液検査、猫膵特異的リパーゼ検査、超音波検査、レントゲン検査が用いられます。
Q. いちばん確かな検査は?
A. 猫膵特異的リパーゼ検査です。猫の膵炎を診断するための、最も感度と特異度の高い検査とされています。
Q. 超音波では何が分かりますか?
A. 膵臓の肥大、周囲の腸間膜の高エコー、限局性の腹部滲出液などを認める場合があります。
Q. 治療はどうしますか?
A. 慢性膵炎の猫には、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制薬が使用されます。あわせて、痛みを抑え、食べられるように支えます。
Q. 食べないときは、どうすればよいですか?
A. まる一日食べていないなら、受診の理由になります。猫は食べない時間が続くと、肝リピドーシスを起こしやすいためです。
Q. 予後はどうですか?
A. 重度の慢性膵炎では、食欲廃絶となり、肝リピドーシスを併発していることもあり、予後が悪いといわれています。
Q. 原因は何ですか?
A. 猫でははっきりしないことが多いとされています。犬のように、脂っこい食事が引き金と言い切れる病気ではありません。
Q. 糖尿病になりますか?
A. 膵臓はインスリンを作る場所でもあります。炎症が続けば、その働きにも影響することがあります。水を飲む量が増えたら、伝えてください。
Q. 家で何を見ておけばよいですか?
A. 食べない日、吐いた日、体重です。この病気は小さな変化しか出ないため、記録が診断の助けになります。
まとめ|「時々」が続いていたら、それは合図です
猫の膵炎は、静かに進みます。
激しい嘔吐も、痛がる姿も出ません。
時々食べない、時々吐く——
それが、この病気の顔です。
そして膵臓だけの話では終わりません。
膵炎の半数で、肝臓と腸も一緒に炎症を起こしています。
だから、検査も治療も広がります。
まる一日食べない日があったら、それは受診の理由です。
猫では、食べない時間そのものが病気をつくります。
今日できる3つ
- 1食べなかった日と吐いた日に、カレンダーへしるしをつける
- 2月に一度、体重をはかって記録する
- 3まる一日食べていないなら、その日のうちに相談する
この病気は、小さな変化しか見せません。記録が、そのまま診断の材料になります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の膵炎|症状が出ないまま、進むことがあります」でした。
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