

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の肝臓病|70%こわれるまで、症状は出ません」です。ではどうぞ!
健康診断の結果を受け取った——
「肝臓の数値が少し高いですね」と言われた——
けれど、本人はいたって元気。
食欲もあるし、散歩も走り回る——
「様子を見ましょう」で終わった——
そういう経験をされた方は少なくないはずです。
ここで、知っておいてほしいことがあります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。
機能の70%が失われてもはっきりした症状が出ないことがある——
つまり、元気に見えることは「大丈夫」の証明にはならないのです。
だからこそ、血液検査の数値が唯一の手がかりになります。
結論
犬の肝臓は再生能力が高い一方で、症状が出た時点で機能の70%以上が損なわれているケースが多いとされています。「沈黙の臓器」と呼ばれるのはそのためです。特有の症状としては肝臓サイズの変化、黄疸、食後の異常行動があり、そのほか食欲不振、元気がない、腹水、嘔吐、下痢、多飲多尿などが見られます。血液検査では、ALTが肝細胞の壊れたときに漏れ出る酵素でもっとも感度の高い指標となり、正常値の5倍以上なら積極的な精査が必要とされます。ALPは肝臓周辺の滞り(胆嚢・胆管の異常)を表す項目で、ALPが高い犬では食事中の脂肪が負担になりやすいとされています。治療は長期戦になりますが、食事・薬・定期的なモニタリングの3本柱で進行を抑えることができます。
この記事でわかること
- ✓70%こわれても、症状は出ません
- ✓ALTとALPは、意味が違います
- ✓数値が出たときの、考え方
- ✓見えてくる症状
- ✓肝臓で起きている病気
- ✓治療は、3本柱です
- ✓食事で、できること
70%こわれても、症状は出ません

肝臓は体のなかでとても多くの仕事をしている臓器です。
| 働き | 内容 |
|---|---|
| 解毒 | 体に有害なものを、無害に変える |
| 栄養の処理 | 吸収した栄養を、使える形に変える |
| たんぱくを作る | アルブミンや、血を固める成分など |
| 胆汁を作る | 脂肪の消化を助ける液を出す |
| ためる | 糖やビタミンを、必要なときのために蓄える |
| そして | 再生する力が、とても高い |
そして、この「再生能力が高い」という性質がこの病気を見えにくくしています。
一部が傷んでも残った部分がその分まで働いてしまう——
だから、外からは何も分からないのです。
症状が出た時点で機能の70%以上が損なわれているケースが多い——
これは、とても重い事実だと思います。
腎臓と、同じ構造をしています
同じことが腎臓病でも起こります。
腎臓の場合は75%が失われるまで血液検査の数値にも出ないとされています。
肝臓も腎臓も「予備の力が大きい臓器」——
それはふだんは頼もしいことですが気づくのが遅れるという代償を伴います。
だから、どちらも「症状ではなく数値で見つける」病気なのです。
逆に言えば——
健康診断で数値の変化に気づけたならそれはとても幸運なことです。
「元気なのに、数値だけ高い」——
その段階こそ手を打てる時期だと受け取ってください。
ALTとALPは、意味が違います

「肝臓の数値」とひとことで言われることが多いのですが実際にはいくつもの項目があります。
そして、それぞれ意味が違います。
| 項目 | 何を示すか | 考えること |
|---|---|---|
| ALT | 肝細胞が壊れるときに漏れ出る酵素 | 細胞そのものが傷んでいる |
| ALP | 肝臓周辺の滞りを映す | 胆嚢や胆管の流れの問題 |
| AST | 肝臓以外の組織でも上がる | ALTとあわせて見る |
| 総ビリルビン | 黄疸の原因になる色素 | 高ければ、黄疸が出てくる |
| アルブミン | 肝臓が作るたんぱく | 低ければ、作る力が落ちている |
| アンモニア | 解毒しきれていないと上がる | 神経症状に関わる |
ALTは肝細胞が壊れるときに血中に漏れ出る酵素でもっとも感度の高い肝臓の指標とされています。
細胞が壊れているから外に出てくる——
つまり、ALTが高いということは「いま、傷んでいる」という意味になります。
正常値の5倍以上なら積極的な精査が必要なサインだとされています。
一方、ALPは意味が違います。
肝臓周辺の滞り——胆嚢や胆管の異常を表している項目です。
流れが悪くなっていることを示しているのであって細胞が壊れているとは限りません。
そして、ALPが高い犬では食事中の「脂肪」が負担になるケースが一般的だとされています。
だから、「どの数値が高いのか」を聞いておいてください。
ALTなのかALPなのかで次にすることが変わってきます。
数値が出たときの、考え方
「肝臓の数値が高い」と言われた——
そのときに確かめてほしいことを挙げます。
- どの項目が、どれくらい高いのか
- 去年、一昨年の数値はどうだったか
- 上がってきているのか、横ばいなのか
- ほかの項目に、異常はないか
- 次はいつ、測り直すのか
- いま、飲んでいる薬はないか
いちばん大切なのは「前回と比べてどうか」です。
1回だけの数値ではそのときの状態しか分かりません。
けれど、何年か並べれば「上がってきている」のか「ずっとこの値なのか」が見えてきます。
だから、健康診断の結果は捨てずに取っておいてください。
写真に撮って残しておくだけでも十分です。受診のときに見せられる形にしておいてください。
そして薬の影響——
一部の薬では肝臓の数値が上がることがあります。
ほかの病気で薬を飲んでいるならそのことも伝えてください。
そして、「様子を見ましょう」と言われた場合——
その言葉には「いつまで、何を見るのか」という中身が必要です。
「3か月後にもう一度測りましょう」と決まっているのと何も決まっていないのではまったく違います。
次に測る時期を必ず確かめておいてください。
肝臓病はゆっくり進みます。
だからこそ、「気づいたら何年も測っていなかった」ということが起こりやすいのです。
見えてくる症状

症状が出てくる段階ではすでにかなり進んでいます。
それでも、知っておいてください。
| 症状 | 起きていること |
|---|---|
| 黄疸 | 白目・歯ぐき・耳の内側が黄色くなる |
| 食後の異常行動 | ふらつく、ぼんやりする、けいれん |
| 腹水 | お腹が張ってくる |
| 多飲多尿 | 水を飲む量、尿の量が増える |
| 嘔吐・下痢 | 消化の働きが落ちる |
| 元気・食欲 | 落ちてくる。痩せてくる |
黄疸はもっとも分かりやすい症状です。
白目のところ、歯ぐき、耳の内側の皮膚——
これらが黄色くなってきたらすぐに受診してください。
そして、「食後の異常行動」——
これは、肝臓病に特徴的な症状です。
食事のあとしばらくしてふらつく、ぼんやりする、壁に向かって立ち尽くす——
食べたものを処理しきれず、解毒されないまま全身へ回ってしまう——
それが脳に影響するのです。食事のあと1〜2時間ほどして様子がおかしくなる——そのタイミングが手がかりになります。
とくに、若い犬でこの症状が出る場合には門脈シャントという生まれつきの血管の異常が背景にあることがあります。
そして、アルブミンが作れなくなると低たんぱく血症から腹水につながります。
同じ「お腹が張る」でもネフローゼ症候群のように腎臓が原因のこともあるため血液検査で見分けることになります。
肝臓で起きている病気
「肝臓病」とひとことで言っても中身はさまざまです。
| 病気 | 特徴 |
|---|---|
| 慢性肝炎 | 炎症が長く続き、肝細胞が壊れていく |
| 銅蓄積性肝炎 | 銅がたまることで、肝臓が傷む |
| 肝硬変 | 炎症の果てに、硬く変化してしまう |
| 門脈体循環シャント | 血管の異常で、肝臓を通らずに流れてしまう |
| 胆泥症 | 胆嚢に泥のようなものがたまる |
| 肝臓の腫瘍 | できものができる |
この見分けには血液検査だけでは足りません。
超音波で肝臓の大きさや形、胆嚢の中を見る——
必要なら組織を採って調べることもあります。
「数値が高い」で止まらず「何が起きているのか」まで進んでほしいのはそのためです。
病気が特定できれば打つ手も変わります。
たとえば銅がたまるタイプなら食事から銅を減らすという対応が意味を持ちます。
けれど、それは「銅蓄積性の肝炎だと分かってはじめて選べる方法」です。
犬種による傾向もあります
肝臓の病気には犬種による傾向が知られているものがあります。
- 銅がたまりやすいとされる犬種がある
- 門脈シャントが多いとされる犬種もある
- 小型犬では、生まれつきの血管の異常が見つかりやすい
- 若いうちから数値が高いなら、先天性を疑う
- 高齢で上がってきたなら、後天性のものを考える
- いずれも、犬種と年齢を伝えることで絞り込める
「まだ若いのに肝臓の数値が高い」——
それは、生まれつきの問題を考える理由になります。
年齢によって疑う相手が変わる——
そこも、この病気の考え方のひとつです。
治療は、3本柱です

治療は長期戦になります。
けれど、食事・薬・定期モニタリングの3本柱で進行を抑制できるとされています。
| 柱 | 内容 | 続け方 |
|---|---|---|
| 食事 | 病態に合わせた内容にする | 毎日のことなので、続けられる形に |
| 薬 | 炎症を抑え、肝臓を支える | 指示された期間、きちんと続ける |
| 検査 | 数値を追い、変化を見る | 間隔を決めて、必ず受ける |
| 共通 | 元に戻すのではなく、進行を抑える | 途中でやめない |
この病気でむずかしいことは「効いているかどうかが見た目では分からない」点です。
もともと症状が出ていないのですから薬を飲ませても変化を感じられません。
だから、「やめてもいいのでは」と思ってしまう——
けれど、効いているかどうかは数値が教えてくれます。
定期的な検査が3本柱のひとつに数えられているのはそのためです。
🩺 数値が下がっても、やめないでください
数値が下がってきた——
それは、続けてきたことが効いているという証拠です。
けれど、そこでやめればまた戻ります。
「よくなったから、もう大丈夫」ではなく「この方法で、この値を保てている」——
そう受け取ってください。減らすかどうかの判断は必ず検査の結果をもとに決めてもらってください。
食事で、できること
食事は3本柱のひとつ——
そして、飼い主が毎日関われる部分です。
- ALPが高いなら、脂肪が負担になりやすい
- 病態によって、たんぱく質の量も調整する
- 銅がたまるタイプなら、銅を減らす
- 療法食が処方されることがある
- おやつも含めて、与えるものを相談する
- 自己判断でサプリメントを足さない
ALPが高い犬では食事中の「脂肪」が負担になるケースが一般的だとされています。
胆汁は脂肪の消化を助ける液です。
その流れが滞っているのなら脂肪を減らすことに意味がある——
そういう理屈です。
一方、たんぱく質については単純ではありません。
肝臓はたんぱくを作る臓器ですから材料は必要です。
けれど、処理しきれない状態なら減らす必要が出てくる——
だから、自己判断で決めず獣医師に相談してください。
そして、食べてくれることがいちばん大切です。
どれだけ理想的な内容でも本人が食べなければ意味がありません。
肝臓病の犬は食欲が落ちていることも少なくありません。
温める、少量ずつ回数を増やす、違う形状を試す——
食べてもらう工夫も治療の一部だと考えてください。
まったく食べない日が続くならそれ自体が受診の理由になります。
サプリメントについて
「肝臓によい」とされるサプリメントは数多くあります。
けれど、自己判断で足すことは避けてください。
飲んでいる薬との兼ね合いや成分によってはかえって肝臓の負担になることもあるからです。
使いたいものがあるなら製品を持っていって見てもらってください。
そして、同時にいくつも始めないことです。
数値が変わったときに何が効いたのか分からなくなります。
変えるときはひとつずつ——
そして、変えた日を記録しておく——
次の検査でその効果を確かめられるようにしておくことが大切です。
この病気は数値でしか評価できません。
だからこそ、何をしたかを残しておくことに意味があります。
よくある質問
Q. 元気なのに、肝臓の数値が高いと言われました
A. 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能の70%が失われても明確な症状が出ないことがあります。元気に見えることは「大丈夫」の証明にはなりません。むしろ、数値だけで気づけた段階こそ手を打てる時期です。
Q. ALTとALPは、何が違うのですか?
A. ALTは肝細胞が壊れるときに漏れ出る酵素で、もっとも感度の高い指標です。正常値の5倍以上なら積極的な精査が必要とされます。一方ALPは肝臓周辺の滞り(胆嚢・胆管の異常)を表す項目で、意味が違います。
Q. 数値が高いとき、まず何を確かめますか?
A. 「前回と比べてどうか」です。1回だけの数値ではそのときの状態しか分かりませんが、何年か並べれば上がってきているのか横ばいなのかが見えてきます。健康診断の結果は捨てずに残しておいてください。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 黄疸、食後の異常行動、腹水、多飲多尿、嘔吐、下痢、元気食欲の低下などです。白目や歯ぐき、耳の内側が黄色くなったらすぐ受診してください。ただし、この段階ではすでにかなり進んでいます。
Q. 食後にふらつくのですが
A. 肝臓病に特徴的な症状です。食べたものを処理しきれず、解毒されないまま全身へ回って脳に影響します。とくに若い犬では、門脈シャントという生まれつきの血管の異常が背景にあることがあります。
Q. 治療で治りますか?
A. 元に戻すというより、進行を抑えることが目標になります。食事・薬・定期的なモニタリングの3本柱で進めます。長期戦になりますが、続けることで数値を保てることがあります。
Q. 食事で気をつけることは?
A. ALPが高い犬では、食事中の脂肪が負担になりやすいとされています。たんぱく質については、材料として必要な一方で処理しきれない場合は減らす必要があり、単純ではありません。自己判断せず相談してください。
まとめ|去年の数値と、比べてください
肝臓病は症状で見つける病気ではありません。
70%が失われるまで何も出ないのですから「元気だから大丈夫」は成り立ちません。
見つけてくれるのは血液検査の数値だけ——
そして、その数値は1回では意味が半分です。
去年と比べて、一昨年と比べて——
並べてはじめて「進んでいるのか」が見えてきます。
だから、健康診断の結果を残しておいてください。
そして、「肝臓の数値」で終わらせず「どの項目が高いのか」を聞いてください。
ALTなのかALPなのかで次にすることが変わります。
細胞が壊れているのか、流れが滞っているのか——
その違いが食事の内容にも、調べる方向にも関わってきます。
沈黙の臓器だからこそこちらから見にいく必要がある——
それが、この病気との向き合い方です。
今日できる3つ
- 1去年の健康診断の結果を探して、今年と並べてみる
- 2高いのがALTかALPか、どちらなのかを確かめる
- 3白目・歯ぐき・耳の内側の色を見ておく
元気に見えることは、大丈夫の証明ではありません。数値だけで気づけた段階が、いちばん打つ手の多い時期です。

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