

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬に体罰を使ってはいけない理由|失うもののほうが大きい」です。ではどうぞ!
何をしても言うことを聞かない。
そんなとき「一度きつく叱ったほうがいいのでは」と考えてしまうことがあるかもしれません。
しかしたたく・押さえつけるといった方法で得られるのは「その場で動きが止まる」ことだけです。
そして引き換えに人の手への信頼を失います。これは爪切り・歯みがき・診察といった生涯にわたって必要なことを困難にしてしまいます。
結論
体罰で得られるのはその場で動きが止まることだけで、何が正解かは伝わりません。一方で人の手への信頼を失い、爪切り・歯みがき・診察が困難になります。恐怖からの攻撃を招くこともあり、失うもののほうがはるかに大きいのです。
この記事でわかること
- ✓体罰で得られるものは、ひとつだけ
- ✓失われるもの|人の手への信頼
- ✓恐怖は、攻撃に変わることがある
- ✓かつて勧められた方法が見直されている
- ✓代わりに、何ができるか
体罰で得られるものは、ひとつだけ

「効果がある」と感じられるのはなぜでしょうか。
それはその場で動きが止まるからです。
しかし止まった理由は「何がまずいか理解したから」ではなく「驚いた・怖かったから」です。
| 飼い主の意図 | 実際に伝わること |
|---|---|
| これをやめなさい | 今、怖いことが起きた |
| 次からはやめなさい | 伝わっていない |
| 代わりにこうしなさい | 伝わっていない |
| 反省しなさい | この人は怖い |
| 立場を分からせたい | 近づかないほうがいい |
「してはいけないこと」の数は無限にあります。
ひとつずつ恐怖で消していくという方法は、効率が悪いだけでなく関係を削り続けることになります。
くり返すほど、効かなくなる
さらに慣れという問題があります。
同じ強さの刺激はくり返すうちに反応しなくなります。
- 最初は驚いて止まる
- くり返すうちに慣れる
- 止まらなくなる
- もっと強くしなければと感じる
- それにも慣れる
- 際限がなくなっていく
「もっと強くしなければ」という感覚は、この慣れから生まれます。
しかし強さを上げても伝わる情報は増えません。
増えるのは恐怖と、関係のひずみだけです。
失われるもの|人の手への信頼

最も大きな損失が人の手を怖がるようになることです。
手は、犬にとって生涯つきあうものです。
| 場面 | 手を怖がると起きること |
|---|---|
| 爪切り | 足を触らせず、できなくなる |
| 歯みがき | 口を触らせない |
| 投薬・点眼 | 処置ができない |
| 動物病院の診察 | 暴れる・噛む |
| ブラッシング | 毛玉ができても手入れできない |
| ケガの手当て | 緊急時に対応できない |
| 体を触っての健康チェック | しこりや痛みに気づけない |
特に深刻なのが緊急時です。
ケガをしたとき、急に体調を崩したとき——
触らせてもらえないとできる処置が限られてしまいます。
健康なうちに触られることに慣らしておくことがどれだけ大切か、こうした場面で実感することになります。
歯みがきの慣らし方は犬の歯みがきは1日1本からで解説しています。
特定の人だけを怖がるようになることも
体罰を使った人が特定の家族だけの場合、その人にだけ反応が変わることがあります。
- その人が近づくと逃げる
- その人が呼んでも来ない
- その人の前では動きが固くなる
- その人にだけ唸る・噛もうとする
- 他の家族には普通に接する
「自分にだけなつかない」という悩みの背景に過去の関わり方があることは少なくありません。
犬は、誰が何をしたかをよく覚えています。
この場合、その人が「良いことをする人」になるところからやり直す必要があります。
食事を与える・おやつをあげる・散歩に連れて行く——
嫌なことは別の人が担当し、良いことだけを担当するという期間をつくると回復が早まります。
恐怖は、攻撃に変わることがある
見落とされがちですが安全に直結する問題です。
怖がっている犬はまず逃げようとします。
しかし逃げられないとき——押さえつけられている、追い詰められている——残る選択肢は戦うことだけになります。
| 段階 | 犬の行動 |
|---|---|
| 1 | 逃げようとする |
| 2 | 身を縮める・固まる |
| 3 | 低く唸る(最後の警告) |
| 4 | 歯を見せる |
| 5 | 噛む |
⚠ 唸りを罰すると、警告なしで噛むようになる
唸ったときに罰を与えられた犬は、唸るという段階を学習で消してしまいます。
しかし不快な気持ちまでは消えません。
結果として前触れなく噛む犬になってしまいます。
これが「突然噛んだ」と言われる事故の正体です。唸りは外してはいけない安全装置だと考えてください。
唸りへの対応は犬が低く唸るのは最後の警告で詳しく解説しています。
押さえつける方法が特に危険な理由
仰向けに押さえつける、マズルをつかむ——
これらは犬にとって逃げ場が完全にない状態です。
- 逃げられないため、恐怖が最大になる
- 抵抗するしかなくなる
- 顔の近くに手があるため、噛まれやすい
- 子どもが真似をすると、非常に危険
- 力が強い犬では、飼い主がけがをすることも
- 信頼を大きく損なう
抵抗しなくなったのを「受け入れた」と受け取られることがありますが——
抵抗をあきらめた状態と安心している状態はまったく違います。
体は固く、耳は後ろに張りつき、白目が見えている——
これは強い恐怖のサインです。
おとなしくなったから成功したという解釈は、危険な誤りになりえます。
かつて勧められた方法が見直されている

「昔はこう教わった」——
そう感じる方も多いはずです。
実際、かつては犬の行動を順位づけで説明する見方が広く紹介されていました。
| 従来の解釈 | 現在の見方 |
|---|---|
| 言うことを聞かない=なめている | 指示が伝わっていない・学習不足 |
| 唸る=反抗している | 「嫌だ」という意思表示 |
| 先に歩く=主導権を取っている | 単に歩くのが速い・興奮している |
| ソファに乗せると偉くなる | 場所と序列は無関係とされる |
| 押さえつけて上下関係を教える | 恐怖を与えるだけ |
| 食事は人が先 | 順序に意味があるとは限らない |
現在では状況ごとの感情や学習で説明されることが増えています。
「なめられている」という発想は対応を厳しくする方向にしか働きません。
しかし実際には単に伝わっていないか環境に原因があることがほとんどです。
罰を与える道具についても同じ
首を絞めるタイプの首輪、電気ショックの首輪——
こうした道具にも同じ問題があります。
- 何が正解かは伝わらない
- 不快な気持ちは消えない
- 装着中しか効かない
- 不安や攻撃が悪化することがある
- 首や気道を痛める危険
- 犬がその場所や人を怖がるようになる
音は消えても問題は残っている——
これは吠え防止の首輪にも共通する構造です。
使用を検討する場合でも必ず先に獣医師やトレーナーに相談してください。
感情的になってしまう自分を、責めない
正論として「体罰はいけない」と分かっていても——
疲れているとき、何度も同じことが起きたとき、感情を抑えるのは簡単ではありません。
大切なのは感情を持たないようにすることではなく、手が出ない仕組みをつくることです。
- その場を離れて、一度深呼吸する
- 犬を別の部屋に移してから片づける
- 手が出そうなときは、手をポケットに入れる
- 時間に余裕のあるときに世話をする
- 疲れている日は練習をしない
- 家族で分担して、負担を偏らせない
飼い主が余裕を失っているときに手は出やすくなります。
犬の問題というより、状況の問題であることが少なくありません。
そして負担が大きすぎると感じたらひとりで抱えないでください。
ドッグトレーナー・獣医師・家庭訪問型の指導——
相談することは、逃げではありません。むしろ犬を守るための行動です。
代わりに、何ができるか

「では、どうすればいいのか」——
これが最も重要な問いです。
| やること | 内容 |
|---|---|
| 環境を変えて、起きなくする | いちばん確実で、今日からできる |
| 代わりの行動を教えて褒める | 正解が具体的に伝わる |
| 刺激から物理的に離す | その場の対処 |
| 興奮する前に動く | 早い段階なら止められる |
| 生活を整える(運動・睡眠) | 土台をつくる |
| 専門家に相談する | ひとりで抱えない |
いちばん確実なのは「環境を変える」
叱る場面そのものを減らす——
これが最も確実で、今日からできる方法です。
- 壊されて困る物を、届く場所に置かない
- 入ってほしくない部屋はゲートで仕切る
- ゴミ箱はふた付きにするか別室へ
- 電気コードはカバーで覆う
- 窓に目隠しを貼る(吠え対策)
- 散歩は苦手なものを避けるルートに
「叱ってやめさせる」より「そもそも起きない状況にする」ほうが確実で、早く、お互いに負担がありません。
叱る回数が減れば、関係も守られます。
1日に何度も止めているなら、それは環境を見直すべきサインです。
止める必要がある場面はある
危険を回避する場面はもちろんあります。
道路への飛び出し、危険な物の誤飲——
こうした場面ではその場で止めて構いません。
ただしこれは「罰する」のではなく「止める」行為です。
体に痛みを与える必要はありません。短く鋭い声や体で間に入ることで十分に対応できます。
そして止めたあとにしてほしい行動を褒める——
止める+褒めるをセットにしてください。
褒めて教える方法は犬は褒めて教えるほうが早いで解説しています。
子どもがいる家庭では、特に重要
体罰を避けるべき理由がもうひとつあります。
子どもが真似をするということです。
大人が犬をたたく姿を見た子どもはそれを「してよいこと」だと学びます。
| 起きうること | 危険性 |
|---|---|
| 子どもが犬をたたく | 力加減が分からず強く当たる |
| 犬が子どもを噛む | 恐怖からの反撃。重大事故に |
| 犬が子どもを避けるようになる | 関係が築けなくなる |
| 子どもが押さえつけようとする | 顔の近くで噛まれる危険 |
| 犬が子どもの接近に緊張する | 常にストレス状態になる |
咬傷事故で最も多いのが家庭内で子どもが噛まれるケースだといわれています。
体格差があるため、同じ強さでも被害は大きくなります。
- 大人が体罰を使わない(見せない)
- 犬にも休む権利があると教える
- 寝ているとき・食べているときは近づかせない
- 抱きつく・馬乗りになる遊びは禁止
- 小さな子どもと犬を二人きりにしない
- 犬が離れたら追いかけない、と教える
子どもに教えるいちばんの方法は大人が手本を見せることです。
穏やかに接する姿を見せ続けることが、結果的に子どもと犬の双方を守ります。
罰ではなく「無視」も、使い方次第
体罰の代わりに無視すればいいのか——
これも場面によります。
要求して騒ぐような行動には有効ですが、不安から出ている行動に無視を使うと状況は悪化します。
| 行動の背景 | 無視の効果 |
|---|---|
| 要求(かまってほしい) | 有効。静かになってから応じる |
| 不安・恐怖 | 逆効果。不安が深まる |
| 興奮 | 刺激を減らすほうが早い |
| 痛み・不調 | 受診が必要 |
| 退屈 | 運動と刺激を増やす |
留守番中に鳴き続けるのを「わがまま」と判断して無視し続ける——
これは典型的な取り違えです。
背景に不安がある場合、無視しても不安は深まるだけです。
まず「なぜその行動が出ているか」を見極めてから対応を選んでください。
すでに使ってしまった場合
これまで手を上げてしまっていた——
過去を責める必要はありません。
かつてはそう教えられていた時代があり、知る機会がなかっただけです。
大切なのはこれからどうするかです。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 今日からやめる |
| 2 | その人が「良いことをする人」になる |
| 3 | 嫌なことは、別の人が担当する |
| 4 | 手からおやつを与える機会を増やす |
| 5 | 触られることに、少しずつ慣らし直す |
| 6 | 環境を整えて、叱る場面を減らす |
手=良いことをするものという経験を積み直すことが回復の基本です。
- 手からおやつを与える
- 手で優しく撫でて、すぐ離す
- 嫌がる前にやめる
- 無理に触らない
- 犬から近づいてくるのを待つ
- 数週間〜数か月かけて進める
時間はかかりますが、犬は変わっていきます。
怖がっていた犬が、自分から手に鼻を寄せてくる——そこまで戻せるケースは決して珍しくありません。
うまくいかない場合やすでに噛んだことがある場合は、行動診療科のある動物病院やドッグトレーナーへの相談をおすすめします。
相談するときはこれまでの経緯を正直に伝えてください。
過去の関わり方は現在の行動を理解するうえで重要な情報になります。
責められるのではないかと心配する必要はありません。改善したいという気持ちがあることが何より大切です。
よくある質問
Q. たたくと止まるので、効いていると思うのですが。
A. 驚いて止まっているだけです。何がまずかったかは伝わっていません。しかもくり返すうちに慣れて、もっと強くしなければ効かなくなります。
Q. 押さえつけて上下関係を教えるべきでは?
A. その考え方は現在では主流ではありません。犬の行動は状況ごとの感情や学習で説明されることが増えています。押さえつけても伝わるのは「この人は怖い」ということだけです。
Q. 抵抗しなくなったのは、受け入れたということでは?
A. 抵抗をあきらめた状態と安心している状態は違います。体が固く、耳が後ろに張りつき、白目が見えているならそれは強い恐怖のサインです。
Q. 体罰で、具体的に何を失いますか?
A. 人の手への信頼です。手を怖がるようになると爪切り・歯みがき・投薬・診察が困難になります。これらは生涯にわたって必要なことです。
Q. 唸ったときは、罰を与えるべきですか?
A. 絶対に避けてください。唸りは噛む前の最後の警告です。罰で消してしまうと前触れなく噛む犬になります。唸る理由のほうを取り除いてください。
Q. では、危険なときはどうすればいいですか?
A. 止めて構いません。ただし痛みを与える必要はありません。短く鋭い声や、体で間に入ることで対応できます。そして止めたあとに褒めることをセットに。
Q. これまで手を上げてしまっていました。
A. 過去を責める必要はありません。大切なのはこれからです。手からおやつを与えるなど、「手=良いことをするもの」という経験を積み直してください。数週間〜数か月かけて、犬は変わっていきます。
まとめ|得るものと、失うものを比べる
体罰で得られるのはその場で動きが止まることだけです。
何が正解かは伝わらず、くり返すうちに効かなくなり、もっと強くしなければならなくなります。
一方で失われるのは人の手への信頼。爪切り・歯みがき・診察といった生涯にわたって必要なことが困難になります。
そして恐怖は攻撃に変わることがあります。
叱る場面を減らすには、環境を変える。教えるには、褒める。遠回りに見えて、これがいちばん確実で、いちばん早い方法です。
今日から試してみたい3つのこと
- 1叱る場面が多い状況を、環境の工夫で減らせないか考える
- 2手からおやつを与える機会を、意識して増やす
- 3唸られても罰さず、唸る理由のほうを探す
犬にとって、人の手は生涯つきあうものです。その手を、怖いものにしないでください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬に体罰を使ってはいけない理由|失うもののほうが大きい」でした。
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