犬の病気    犬伝染性肝炎|ブルーアイという、回復期のサイン

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犬伝染性肝炎|ブルーアイという、回復期のサイン
犬伝染性肝炎
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬伝染性肝炎|ブルーアイという、回復期のサイン」です。ではどうぞ!

朝は少し元気がないだけだった。熱があるようだけれど、鼻水が出ているくらい——

それが夕方には、ぐったりして動かなくなっている。

犬伝染性肝炎という病気には、そういう経過をたどることがあります。

重症例では半日から1日以内に命を落とすことがある——とくに1歳未満の子犬で致死率が高いと知られています。

そして、この病気にはもうひとつ特徴的な所見があります。

ブルーアイ——回復期に、目が青白く濁って見えるという現象です。

この記事では、病気の急激さと、ブルーアイの正体、そして防ぎ方を整理していきます。

結論

犬伝染性肝炎は犬アデノウイルス1型による感染症で、重症例では半日から1日以内に死亡することもある急激な病気です。1歳未満の子犬でとくに致死率が高い——発熱・嘔吐・下痢・腹痛が主な症状で、回復期に目が青白く濁るブルーアイが現れることがあります。その正体は角膜のむくみ(角膜浮腫)です。早期に治療を始めれば回復する可能性は十分にあります。そしてコアワクチンで防げます——ワクチンに含まれるのは2型ですが、1型にも効く免疫ができます。

この記事でわかること

  • 半日で状態が変わる病気
  • 現れる症状と、受診の目安
  • ブルーアイとは何か
  • 治療は、早さがすべて
  • ワクチンで防げます

半日で状態が変わる病気

経過の速さ
この病気の怖さは、進行の速さにあります。

犬伝染性肝炎は、犬アデノウイルス1型による感染症です。

ウイルスは主に肝臓を傷つけますが、腎臓や目、血管の内側など全身に影響が及びます。

経過の幅
段階 見えるもの
軽症の場合 発熱、鼻水だけで済むこともある
進行すると 嘔吐、下痢、腹痛
さらに進む ぐったりして動かなくなる
重症例 半日から1日以内に死亡することも
回復期 ブルーアイが現れることがある

この病気のやっかいなところは、経過に大きな幅があることです。

発熱と鼻水だけで済む犬もいれば、半日でぐったりしてしまう犬もいる。

そして、その差が年齢によって大きく変わります。

⚠ 1歳未満の子犬では、致死率が高くなります

1歳未満の子犬が感染すると致死率が高くなると知られています。

体力がなく、肝臓の障害に耐えられないためです。

ワクチンが完了していない子犬発熱・嘔吐・下痢・ぐったり——

このどれかがあれば、その日のうちに受診してください。様子を見る時間がありません。

どうやってうつるのか

感染経路は、感染した犬の尿・便・唾液です。

とくに尿——このウイルスは、回復したあともしばらく尿から排出され続けることが知られています。

  • 感染した犬の尿・便・唾液に触れる
  • 汚染された環境をなめる
  • 回復した犬の尿からも、しばらく排出される
  • 食器や玩具を介してうつることもある
  • 人の手や靴が運ぶこともある
  • ワクチン未完了の子犬がとくに危険

「見た目には元気な犬」がウイルスを排出していることがある——

これが、この病気の広がり方を分かりにくくしています。

だからこそ、接触を避けるという対策には限界があり、ワクチンが決定的に重要になります。

また、このウイルスは環境中でも比較的長く残るとされています。

感染した犬が尿をした場所、使っていた食器や寝床——そこから次の犬に届くことがあります。

散歩中に他の犬の尿のにおいを嗅ぐ、地面をなめる——

犬にとっては自然な行動ですが、ワクチンが完了していない子犬ではそこが感染の機会になります。

「散歩をいつから始めていいか」を獣医師に確認してから動く——この一手間には、はっきりした意味があります。

現れる症状と、受診の目安

見ておきたい症状
消化器と、全身の状態を同時に見てください。

症状は全身に及びます。

現れる症状
部位 症状
全身 発熱、元気消失、震え
消化器 嘔吐、下痢、食欲不振
お腹 腹痛。触られるのを嫌がる
粘膜 歯ぐきの出血。血が止まりにくい
回復期に青白く濁る(ブルーアイ)
鼻水。軽症ではこれだけのことも

見落とされやすいのが腹痛です。

肝臓が腫れることでお腹が痛くなり、抱き上げようとすると嫌がる、背中を丸めて動かない——そうした様子で現れます。

そして、血が止まりにくくなることもあります。肝臓は血を固める成分を作る場所ですから、そこが傷つけば歯ぐきから出血する、皮膚に点状の出血が出る——といったことが起こります。

「発熱+嘔吐+ぐったり」がそろったら、その日のうちに受診してください。

なお、軽症の場合は発熱と鼻水だけで経過することもあります。

「ただの風邪だと思っていた」というケースが実際にあるということです。

だからこそ、ワクチンが完了していない犬で熱が出たときは軽く見ないでください。

ブルーアイとは何か

ブルーアイとは何か
回復期に現れる、この病気に特徴的な所見です。

この病気でもっとも知られている所見がブルーアイです。

目が青白く濁って見える——その正体は角膜のむくみ(角膜浮腫)です。

ブルーアイについて
項目 内容
何が起きているか 角膜に水がたまってむくむ
なぜ青白いのか むくんだ角膜が光を散らすため
いつ現れるか 主に回復期
伴うことがあるもの ブドウ膜炎(目の中の炎症)
痛みは まぶしがる、目を気にすることがある
経過 多くは改善するが、必ず診てもらう

「治ってきたのに、目が濁ってきた」——これがブルーアイの現れ方です。

回復期に出てくるため、「良くなったと思ったのに」と驚かれることが多い所見です。

そして重要なのが、ブドウ膜炎を伴うことがあるという点。これは目の中で起きている炎症で、放置すれば視力に影響することもあります。

目が青白い、まぶしがる、目を気にしている——そうした様子があれば必ず診てもらってください。

なお、目が白く濁る原因はほかにもいくつかあります。角膜のむくみそのものについては角膜浮腫の記事で詳しく解説しています。

「目が白い」は、いくつもの意味を持ちます

飼い主が「目が白くなった」と感じたとき、その中身はいくつもの可能性があります。

「目が白い」の中身
見え方 考えられるもの
青白く、表面が曇る 角膜浮腫(ブルーアイなど)
目の奥が白い 白内障
灰色がかって見える 核硬化症(加齢の変化)
白い斑点 角膜の傷や炎症
充血を伴う 緑内障、ブドウ膜炎など

見分けるのは飼い主の仕事ではありません。

大切なのは「いつから」「どこが」「痛がっているか」を伝えられるようにしておくことです。

スマートフォンで目の写真を撮っておくと変化が分かりやすくなります。

撮るときは、明るい場所で、正面と横から——そして左右の目を並べて比べられるようにしておくと役に立ちます。

片方だけが濁っているのか、両方なのか。その情報だけでも、疑う原因は絞られます。

そして、目を痛がっているかどうか

まぶしがって目を細める、前足でこすろうとする、涙が増える——痛みのサインがあれば、受診を急いでください。

目の病気では、数日の遅れが視力の差になることがあります。

治療は、早さがすべて

ウイルスに直接効く薬はありません。

治療は、肝臓の負担を減らしながら全身状態を支えることが中心になります。

行われる治療
治療 目的
点滴 脱水を補い、循環を保つ
肝臓を支える薬 肝機能の回復を助ける
制吐剤 嘔吐による消耗を減らす
抗菌薬 細菌の二次感染を防ぐ
輸血・血漿 出血傾向がある場合に検討される
目の治療 ブルーアイやブドウ膜炎に対して

そして、この病気でもっとも重要なのが治療を始める早さです。

早期に治療を始めて適切な対症療法を行えば、回復する可能性は十分にあります。

逆に言えば、「様子を見よう」と半日待つことそのまま結果を分ける——そういう病気です。

とくにワクチンが完了していない子犬で上の症状が出たときは、迷わず連絡してください。

入院になることも少なくありません。

点滴を続けながら肝臓の値の変化を追う——そうした管理が必要な段階では、自宅での看護では追いつかないためです。

そして、治療の見通しは肝臓がどれだけ傷んでいるかで変わります。

数日で持ち直す犬もいれば、何週間もかかる犬もいる。そのつど、「今どの段階にいるのか」を獣医師に聞いておいてください。

先の見通しが立てば、家族としての準備もできます。

回復したあとに、見ておきたいこと

急性期を乗り越えたあとにも、しばらく配慮が必要です。

  • 肝臓の値が戻るまで、定期的に検査を受ける
  • 指示された食事を守る
  • 目に変化が出ていないか、毎日見る
  • 体重が戻るまで、無理をさせない
  • 尿からの排出が続く期間を確認する
  • 他の犬と会わせてよい時期を、獣医師に聞く

「目に変化が出ていないか」——ブルーアイは回復期に現れます。

元気になってきた頃こそ、目を見ておいてください。

診断は、どう行われるか

この病気では、血液検査で肝臓の値を見ることが重要な手がかりになります。

行われる検査
検査 何を見るか
問診 いつから、ワクチンの状況、来歴
身体検査 熱、お腹の痛み、粘膜の色
血液検査 肝臓の値、白血球、血が固まる能力
超音波検査 肝臓の腫れ、腹水の有無
目の検査 角膜の状態、目の中の炎症
ウイルスの検査 必要に応じて行われる

受診の際は接種証明書を持参してください。

「ワクチンが完了していない」という情報だけで、疑う病気の順番が変わります。

  • いつから、どんな症状が出たか
  • ワクチンの接種状況(証明書を持参)
  • 嘔吐・下痢の回数と、血が混じっているか
  • 食欲と飲水の変化
  • 直近で行った場所、会った犬
  • 他に飼っている犬の様子

そして、症状のある犬を連れて行くときは事前に電話をしてください。

尿や便から広がる病気ですから、待合室で他の犬にうつしてしまう可能性があります。

同居犬がいる家庭では

1頭が感染していた場合、同居犬にも広がっている可能性があります。

  • 他の犬のワクチン状況を確認する
  • 体調に変化がないか、毎日見る
  • トイレをこまめに清潔にする
  • 食器と水入れを分ける
  • 回復後も、尿からの排出が続くことを知っておく
  • 環境の消毒について、獣医師に確認する

「回復後も尿から出続ける」——ここが、この病気の見落とされやすい点です。

元気になったからといってすぐにドッグランへ、というわけにはいきません。

いつから他の犬と会わせてよいかは獣医師に確認してから決めてください。

ワクチンで防げます

予防のしかた
2型のワクチンで、この病気も防げます。

この病気はコアワクチンで防げます。

ただし、少し変わったしくみになっています。

ワクチンに含まれているのはアデノウイルス2型——つまり、この病気を起こす1型ではありません。

それでも防げるのは、1型と2型が共通した性質を持つためです。2型で作られた免疫が、1型にも効きます。

詳しいしくみはアデノウイルス2型の記事で解説しています。

  • コアワクチンを、最後まで打ち切る
  • 最終接種は16週齢以降に
  • 接種証明書を保管し、内容を確認しておく
  • 完了するまで、多頭の場を避ける
  • 他の犬の尿や便に近づけない
  • 拾い食い・地面をなめる行動に注意する

最終接種が16週齢以降だったか——ここを確認してください。母犬からもらった抗体がワクチンの効果を打ち消すため、早い時期の接種だけでは免疫がついていない可能性があります。

接種のスケジュールについては混合ワクチンの記事で詳しく解説しています。

感染症の全体像は犬の感染症の記事で経路ごとに整理しています。

この病気は、ワクチンの普及によって目にする機会が減った病気だと言われます。

けれど、なくなったわけではありません。接種していない犬がいれば、そこで再び広がりうる——

「見かけないから打たなくていい」ではなく「打っているから見かけない」——そう考えておいてください。

肝臓を傷めるということ

この病気が「肝炎」と呼ばれるのは、ウイルスが主に肝臓を攻撃するからです。

肝臓は、犬の体でもとくに多くの仕事を抱えている臓器です。

肝臓の役割と、傷んだときの影響
肝臓の役割 傷むと起きること
栄養を作り変える 体力が落ちる、痩せる
毒素を分解する ぼんやりする、けいれん
血を固める成分を作る 出血しやすくなる
胆汁を作る 消化がうまくいかない
予備の力が大きい 症状が出た時点で、かなり進んでいる

「予備の力が大きい」——これが、肝臓という臓器の特徴であり、同時に厄介な点でもあります。

肝臓は多少傷んでも残った部分が仕事を引き受けるため、症状として現れにくいのです。

裏を返せば、目に見える症状が出た時点でかなり進んでいるということ。

この病気で「様子を見る時間がない」と言われるのは、そうした背景もあります。

そして、肝臓には再生する力があることも知っておいてください。

急性期を乗り越えられれば、肝機能が回復していくことは十分にあります。だからこそ、そこまで支えきることに意味があります。

よくある質問

Q. 犬伝染性肝炎とは何ですか?

A. 犬アデノウイルス1型による感染症で、主に肝臓を傷つけます。重症例では半日から1日以内に死亡することもある急激な病気です。1歳未満の子犬でとくに致死率が高いとされています。

Q. ブルーアイとは何ですか?

A. 目が青白く濁って見える状態で、その正体は角膜のむくみ(角膜浮腫)です。主に回復期に現れます。ブドウ膜炎を伴うことがあるため、必ず診てもらってください。

Q. どうやってうつりますか?

A. 感染した犬の尿・便・唾液からうつります。とくに尿——回復したあともしばらく尿から排出され続けることが知られています。見た目には元気な犬がウイルスを出していることがあります。

Q. どんな症状が出ますか?

A. 発熱・嘔吐・下痢・腹痛が主な症状です。肝臓が腫れて抱き上げると嫌がる、歯ぐきから出血する、といったこともあります。軽症では発熱と鼻水だけで済むこともあります。

Q. 治る病気ですか?

A. 早期に治療を始めれば、回復する可能性は十分にあります。ウイルスに直接効く薬はありませんが、点滴で全身状態を支え、肝臓の負担を減らす治療が行われます。

Q. ワクチンで防げますか?

A. コアワクチンで防げます。ただしワクチンに含まれているのはアデノウイルス2型です。1型と2型が共通した性質を持つため、2型のワクチンで1型も防げます。

Q. 接種証明書に肝炎と書いてありますが

A. 2型の成分で、喉頭気管炎と伝染性肝炎の2つを防いでいるという意味です。別々のワクチンを2本打ったわけではありません。

まとめ|半日を、待たない

犬伝染性肝炎で覚えておいてほしいのは、進行の速さです。

朝は発熱と鼻水だけだったのに、夕方にはぐったりしている——そういう経過をたどることがあります。

とくに1歳未満の子犬では致死率が高くなります。

けれど、早期に治療を始めれば回復する可能性は十分にあります。

だから、この病気で問われるのは「半日を待たないかどうか」——それだけです。

そして、コアワクチンで防げる病気でもあります。

接種証明書に「アデノウイルス2型」と書かれているなら、この病気への備えもできているということです。

今日できる3つ

  • 1接種証明書を出して、アデノウイルスの項目を確認する
  • 2最終接種が16週齢以降だったかを確かめる
  • 3「発熱+嘔吐+ぐったり」がそろったら即受診、と家族で共有する

この病気は、半日の差が結果を分けます。迷ったときは、待たずに連絡してください。

モフ@ペット好き

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