

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の胸水|抜いた水の色が、原因を教えます」です。ではどうぞ!
呼吸が速く、浅い。
胸があまり動かず、お腹だけが波打っている。
横になれず、うずくまったまま動かない。
胸に水がたまっているとき、猫はこういう姿になります。そして「胸水」は病名ではありません。その裏に、必ず原因があります。
結論
胸水とは肺と胸壁のあいだの空間(胸腔)に液体がたまった状態です。たまった水に肺が押されるため、十分に息を吸えなくなります。猫の胸水貯留を引き起こす疾患は、胸腔内腫瘍、心原性が圧倒的に多く、その他のものとして膿胸・乳糜胸が続きます。最も一般的に関与する心臓病は、肥大型心筋症および甲状腺機能亢進症に続発する左心室肥大でした。また猫伝染性腹膜炎のウェットタイプでは、特徴的なビール色のトロトロした胸水が溜まってしまいます。乳び胸は腫瘍によるリンパ管閉塞、外傷などでも引き起こされますが、多くの原因は不明であり特発性とよばれています。診断では胸水は蛋白濃度や有核細胞数などから5つに大別することができ、性状を調べることは原因の絞り込みに役立ちます。前縦隔腫瘍や心臓腫瘍、心不全、肺葉捻転など胸水の原因を精査する必要があり、腹部の超音波検査も必ず実施します。
この記事でわかること
- ✓肺が、広がれなくなります
- ✓呼吸が、速く浅くなります
- ✓猫では、腫瘍と心臓が二大原因です
- ✓猫伝染性腹膜炎も、原因になります
- ✓膿やリンパ液が、たまることもあります
- ✓抜くことが、治療でもあり検査でもあります
- ✓水の性状が、原因を絞ります
- ✓そのあとの治療のこと
肺が、広がれなくなります

まず、何が起きているのかから。
肺の外側に、水がたまります
肺は、胸の中で自由にふくらむようになっています。
肺と胸壁のあいだには、わずかなすき間があります。
そこに水がたまるのが、胸水です。
肺の中に水が入る肺水腫とは、場所が違います。
押されて、ふくらめなくなります
たまった水は、肺を押します。
肺は、ふくらむ場所を奪われます。
だから、深く息を吸えなくなります。
一回の呼吸で入る空気が、減っていくのです。
だから、回数で補おうとします
深く吸えないぶん、回数を増やします。
速く、浅い呼吸になります。
これが、胸水のときの呼吸の特徴です。
呼吸が、速く浅くなります
気づけるサインを見ていきます。
胸が、あまり動きません
肺が広がれないので、胸の動きが小さくなります。
そのぶん、お腹を使って呼吸します。
胸は動かないのに、お腹だけ波打っている——
そう見えることがあります。
横になりたがりません
横になると、さらに肺が押されます。
だから、うずくまったまま動かなくなります。
首を前に伸ばし、肘を張った姿勢をとることもあります。
「じっとしている=落ち着いている」ではありません。
呼吸数を、数えてください
安静時呼吸数は1分間20〜30回が正常です。
胸水がたまると、これが大きく増えます。
寝ているときに40回を超えていたら、その日のうちに連絡してください。
- 寝ているのに、呼吸が速い
- 胸があまり動かず、お腹だけ動く
- 横になれず、うずくまっている
- 口を開けて呼吸している
- 食欲が落ち、動きたがらない
- 体重が減ってきた
猫では、腫瘍と心臓が二大原因です

原因の内訳を見ていきます。
胸の中の腫瘍が、多いのです
猫の胸水貯留を引き起こす疾患は、胸腔内腫瘍、心原性が圧倒的に多いとされています。
胸腔内腫瘍とは胸の中にできる腫瘍のことです。
とくに若い猫では、リンパ腫が背景にあることがあります。
心臓からも、たまります
最も一般的に関与する心臓病は、肥大型心筋症および甲状腺機能亢進症に続発する左心室肥大でした。
肥大型心筋症がここでも出てきます。
甲状腺機能亢進症から、心臓が厚くなることもあります。
だから、血液検査で甲状腺も調べます。
腫瘍のときの、ほかのサイン
胸の中の腫瘍では、ほかにも変化が出ることがあります。
体重が、じわじわ減ってきた。
食欲が落ち、元気がなくなってきた。
吐くようになった、飲み込みにくそうにする。
呼吸のことだけでなく、そうした変化も伝えてください。
肺水腫とは、別の話です
同じ心臓病でも、肺の中に水がたまるか、肺の外にたまるかで違います。
肺水腫は肺の中。
胸水は、肺の外です。
治療の進め方も、変わってきます。
猫伝染性腹膜炎も、原因になります
猫特有の原因として知っておいてほしいものです。
ビール色の水がたまります
猫伝染性腹膜炎のウェットタイプでは、
特徴的なビール色のトロトロした胸水が溜まってしまいます。
色と粘り気に、特徴があるのです。
抜いた瞬間に、疑いが強まることがあります。
お腹にたまることもあります
ウェットタイプでは、腹水がたまることもあります。
胸とお腹の両方にたまることもあります。
だから、腹部の超音波検査も必ず実施します。
治療できる病気になりました
かつては、絶望的とされた病気です。
けれど近年、有効な治療薬が登場しています。
だからこそ、原因を突き止めることに意味があります。
古い情報を読んで、あきらめないでください。
膿やリンパ液が、たまることもあります
そのほかの原因です。
膿がたまる、膿胸
各種の細菌感染により、胸腔内に膿が貯留される膿胸でも胸水はみられます。
けんかの傷から、細菌が入ることがきっかけになります。
抜いた水が濁り、においがあるのが特徴です。
くわしくは膿胸で書いています。
リンパ液がたまる、乳び胸
乳び胸とはリンパ液が胸にたまった状態です。
抜いた水が、白く濁って見えます。
乳び胸は腫瘍によるリンパ管閉塞、外傷などでも引き起こされますが、多くの原因は不明であり特発性とよばれています。
原因が分からないことが多い——そこが、この形の難しいところです。
年齢で、疑うものが変わります
| 年齢 | とくに考えるもの |
|---|---|
| 若い猫(1〜3歳) | 猫伝染性腹膜炎、縦隔型リンパ腫 |
| 中年期 | 心臓の病気、膿胸、乳び胸 |
| 高齢の猫 | 心臓の病気、腫瘍 |
| 外に出る猫 | けんかの傷からの膿胸 |
| どの年齢でも | まず抜いて、水を調べることは同じ |
外に出す暮らしをしているかは、必ず伝えてください。
抜くことが、治療でもあり検査でもあります

胸水がたまっているとき、まず抜きます。
抜けば、その場で楽になります
胸に細い針を刺して、水を抜く処置です。
肺が広がれるようになるので、呼吸が楽になります。
その場で、目に見えて変わることがあります。
命をつなぐ処置でもあります。
同時に、調べる材料になります
抜いた水は、そのまま検査に回されます。
色、濁り、粘り気をその場で見て、
顕微鏡で細胞を調べ、細菌の有無も確かめます。
だから、抜くことには二重の意味があります。
処置そのものは、短時間です
- 横向きか、座った姿勢で行う
- 毛を刈って、消毒する
- 細い針を、そっと入れる
- 多くは、鎮静なしでできる
- 抜きながら、呼吸の変化を見る
- 抜いた水は、そのまま検査へ回す
呼吸が苦しい猫では、酸素を吸わせながら行うこともあります。
思っているより、負担の少ない処置です。
また たまることがあります
抜いても、原因が残っていればまた たまります。
だから、抜いて終わりではありません。
「なぜたまったのか」を探すことがこの病気の本題です。
抜いた翌日にはもう戻っていた——
そういう場合は、原因がかなり強く働いていると考えます。
⚠ この四つは、その場で連絡を
呼吸が速く、浅い。
口を開けて呼吸している。
横になれず、うずくまったまま動かない。
舌や歯ぐきが、紫や灰色に見える。
胸水は、抜けばその場で楽になります。だから、早く着くことに意味があります。
レントゲンは、抜いてから撮ることがあります
「まず撮影しないのか」と思われるかもしれません。
けれど水がたまった状態では、その奥が見えません。
水に隠れて、腫瘍や心臓の形が写らないのです。
抜いてから撮ると、隠れていたものが見えてきます。
だから、抜くことが診断の一歩にもなります。
水の性状が、原因を絞ります

ここが、この病気の面白いところです。
五つに、分けられます
胸水は蛋白濃度や有核細胞数などから5つに大別することができ、性状を調べることは原因の絞り込みに役立ちます。
たまった水そのものが、原因を語っているのです。
見た目でも、見当がつきます
| 水の見た目 | 疑うもの |
|---|---|
| ビール色でとろみがある | 猫伝染性腹膜炎 |
| 白く濁っている | 乳び胸。リンパ液がたまっている |
| 濁って、においがある | 膿胸。細菌感染 |
| 薄い黄色でさらさら | 心臓が背景のことが多い |
| 血が混じっている | 腫瘍や、出血を考える |
結果は、すぐ出るものと時間がかかるものがあります
色や濁りは、その場で分かります。
顕微鏡で細胞を見る検査も、その日のうちにできることがあります。
いっぽう細菌の培養や、外部に出す検査は数日かかります。
だから、方針が段階的に決まっていくことがあります。
「結果が出たら連絡します」と言われたら、そういう検査だと思ってください。
原因も、あわせて調べます
前縦隔腫瘍や心臓腫瘍、心不全、肺葉捻転など胸水の原因を精査する必要があります。
そして腹部の超音波検査も必ず実施します。
胸だけでなく、お腹も見るのは、全身の病気が背景にあることがあるからです。
そのあとの治療のこと
原因によって、進み方が変わります。
原因を、治療していきます
| 原因 | 治療の方向 |
|---|---|
| 心臓の病気 | 利尿薬など、心臓の治療を続ける |
| 腫瘍 | 種類を確かめ、抗がん剤などを検討する |
| 膿胸 | 抗生物質と、胸の洗浄が必要になることも |
| 猫伝染性腹膜炎 | 抗ウイルス薬による治療を行う |
| 乳び胸 | 原因があれば治療。特発性なら管理を続ける |
くり返し抜くこともあります
原因の治療に時間がかかるあいだ、
くり返し抜いて、呼吸を保つことがあります。
そのたびに通院が必要になります。
負担は大きいのですが、そのあいだに治療の効果を待つという考え方です。
記録しておいてほしいこと
- 安静時呼吸数(毎日、日付つきで)
- 抜いた日と、そのあとの経過
- 食欲と、元気
- 体重(週に一度でよい)
- 薬を飲めたかどうか
- 横になれているかどうか
抜いてから何日で戻ってきたかは、治療の効果を測る材料になります。
家では、呼吸数を見てください
また たまってきたかどうかは呼吸数がいちばん早く教えてくれます。
毎日、寝ているときに数えて記録してください。
増えてきたら、その時点で連絡できます。
苦しくなってからでは、また救急になります。
次に抜く日を、数字で決められるようになることもあります。
🩺 聞いておいてほしいこと
「水を抜いたら元気になりました」で終わらせないでください。
胸水は、原因があってたまったものです。
抜いた水の検査結果を、必ず聞いてください。
この記事の要点
猫の胸水では、胸腔内腫瘍と心原性が圧倒的に多く、次いで膿胸・乳び胸が続きます。
心臓では、肥大型心筋症や甲状腺機能亢進症に続発する左心室肥大が最も一般的です。
猫伝染性腹膜炎では、ビール色のトロトロした胸水が特徴的です。
胸水は蛋白濃度や有核細胞数から5つに大別でき、性状を調べることが原因の絞り込みに役立ちます。
Q. 胸水とは、どんな状態ですか?
A. 肺と胸壁のあいだの空間に、液体がたまった状態です。たまった水に肺が押されるため、十分に息を吸えなくなります。
Q. 肺水腫とは違うのですか?
A. 場所が違います。肺水腫は肺の中に水がしみ出す状態で、胸水は肺の外側にたまる状態です。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 速く浅い呼吸になります。胸があまり動かず、お腹だけが波打つように見えることがあります。横になれず、うずくまったまま動かなくなります。
Q. 原因は何が多いのですか?
A. 胸腔内腫瘍と、心原性が圧倒的に多いとされています。その他のものとして、膿胸・乳び胸が続きます。
Q. どんな心臓病が関係しますか?
A. 肥大型心筋症および甲状腺機能亢進症に続発する左心室肥大が、最も一般的です。拡張型心筋症や先天性の心臓の異常も関係します。
Q. 猫伝染性腹膜炎でも起こりますか?
A. 起こります。ウェットタイプでは、特徴的なビール色のトロトロした胸水が溜まります。お腹にたまることもあります。
Q. 乳び胸とは何ですか?
A. リンパ液が胸にたまった状態です。抜いた水が白く濁って見えます。腫瘍や外傷でも起こりますが、多くの原因は不明で特発性とよばれます。
Q. 水を抜くと、治りますか?
A. その場で呼吸は楽になりますが、治療は終わりません。原因が残っていれば、また たまります。
Q. 抜くこと自体が、検査になるのですか?
A. なります。色や濁りをその場で見て、蛋白濃度や細胞数を調べ、細菌や腫瘍細胞の有無も確かめます。
Q. 水の色で、原因が分かりますか?
A. ある程度は絞れます。胸水は蛋白濃度や有核細胞数などから5つに大別でき、性状を調べることが原因の絞り込みに役立ちます。
Q. なぜお腹まで調べるのですか?
A. 腹部の超音波検査も必ず実施することになっています。全身の病気が背景にあることがあるためです。
Q. 何度も抜くことになりますか?
A. 原因の治療に時間がかかるあいだ、くり返し抜くことがあります。そのあいだに、治療の効果を待つという考え方です。
Q. 家では何を見ればよいですか?
A. 安静時呼吸数です。毎日、寝ているときに数えて記録してください。増えてきたら、その時点で連絡できます。
Q. どのくらい急ぎますか?
A. 呼吸が苦しそうなら、その場で連絡してください。胸水は抜けばその場で楽になるため、早く着くことに意味があります。
Q. 治りますか?
A. 原因によります。だからこそ、抜いた水の検査結果を必ず聞いてください。そこから、その後の見通しが決まります。
Q. なぜ先にレントゲンを撮らないのですか?
A. 水がたまった状態では、その奥が見えないためです。水に隠れて腫瘍や心臓の形が写らないため、抜いてから撮ると隠れていたものが見えてきます。
Q. 検査結果は、すぐ出ますか?
A. ものによります。色や濁り、顕微鏡で細胞を見る検査はその日のうちに分かることがありますが、細菌の培養などは数日かかります。
まとめ|抜いた水の結果を、必ず聞いてください
胸水がたまると、猫は速く浅い呼吸になります。
胸が動かず、お腹だけが波打つ——
横になれず、うずくまったまま動かない——
この姿を見たら、その場で連絡してください。
抜けば、その場で楽になります。
けれど、それで終わりではありません。
猫では、腫瘍と心臓が二大原因です。
そして、抜いた水そのものが原因を語っています。
「何が原因でしたか」——その質問から、本当の治療が始まります。
今日できる3つ
- 1寝ている猫の呼吸数を、15秒数えて4倍する
- 2胸とお腹、どちらが動いているかを見る
- 3水を抜いたなら、検査結果を必ず聞く
胸水は、病名ではなく所見です。その裏に、必ず原因があります。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の胸水|抜いた水の色が、原因を教えます」でした。
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