

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の腎周囲偽嚢胞|腎臓の中ではなく、周りにたまります」です。ではどうぞ!
猫を撫でていて
お腹に何か触れた——
大きなしこりのようなものがある——
そういうときに考えられる病気のひとつが
腎周囲偽嚢胞です。
いろんな原因で
腎臓の周りに水のような物質が溜まる病気——
名前が多発性嚢胞腎とよく似ていますが
まったく別のものです。
あちらは腎臓の「中」——
こちらは腎臓の「周り」です。
結論
腎周囲偽嚢胞はいろんな原因で腎臓の周りに水のような物質が溜まる病気です。腎臓の周りに硬いゼリー状の物質が溜まることで、腎臓が押し潰されるという例が報告されており、お腹に大きなしこりが触れるなどの症状がみられることもあります。再発させない治療法は、手術で腎臓の被膜を切除することです。しかし腎不全を併発している場合には麻酔自体がハイリスクとなる場合もあるため、治療の選択には全身状態や年齢などを考慮したうえで、よく検討する必要があります。高齢のオスの猫の場合は、とくに全身状態や年齢を考慮して治療法を選択することが重要となります。
この記事でわかること
- ✓「腎臓の中」ではなく、「周り」です
- ✓お腹に、触れることがあります
- ✓腎臓が、押し潰されていきます
- ✓どうやって見つけるのか
- ✓手術という方法があります
- ✓けれど、受けられるとは限りません
- ✓抜くだけでは、またたまります
- ✓見つかったあと、見ていくこと
「腎臓の中」ではなく、「周り」です

まず、ここを整理させてください。
| 多発性嚢胞腎 | 腎周囲偽嚢胞 | |
|---|---|---|
| どこにできるか | 腎臓の中 | 腎臓の周り |
| 中身 | 液体のたまった袋(嚢胞) | 水のような物質 |
| 原因 | 遺伝(常染色体優性) | いろんな原因で起こる |
| いつから | 生まれたときから決まっている | あとから起こる |
| 腎臓への影響 | 内側から押しのけられる | 外から押し潰される |
| 見つけ方 | 遺伝子検査、画像検査 | 画像検査、触診 |
「嚢胞」ということばが両方に入っているため
混同されやすいのですが
この2つは別の病気です。
多発性嚢胞腎は生まれつき——
けれど、こちらは
あとから起こります。
「偽」という字が入っているのは
本当の嚢胞とは構造が違うから——
袋のような形をしていますが
腎臓の周りにたまっているものです。
ですから、遺伝とは関係がありません。
「うちの猫種は大丈夫」という考え方も
当てはまりません。
どの猫にも起こりうるものです。
お腹に、触れることがあります

この病気には
ほかの腎臓病にはない特徴があります。
触れるのです。
- お腹に、大きなしこりが触れる
- 片側だけが張っていることもある
- お腹全体が、大きくなったように見える
- 「太った」と思われることもある
- 撫でているときに、気づかれることが多い
- 猫自身は、痛がらないこともある
腎臓の病気の多くは
家では気づけません。
慢性腎臓病も数値が動くまで分かりません。
けれど、この病気は
手で触れる——
それは、見つけられる可能性があるということです。
ただし、触れたものが
何なのかは手では分かりません。
腎臓そのものが腫れているのか
周りにたまっているのか
別のできものなのか——
そこは画像で確かめることになります。
撫でるとき、お腹も触ってみてください
背中や頭だけでなく
お腹にも手を当ててみてください。
嫌がらない猫なら
左右を比べてみると
違いに気づけることがあります。
ただし、強く押さないこと——
そっと撫でる程度でじゅうぶんです。
腎臓が、押し潰されていきます

問題は「たまること」そのものではありません。
たまったものが腎臓を押すことです。
腎臓の周りに硬いゼリー状の物質が溜まることで
腎臓が押し潰されるという例が報告されています。
| 段階 | 起きていること |
|---|---|
| たまり始める | 腎臓の周りに、液が集まる |
| 増えていく | 袋のような形になっていく |
| 圧がかかる | 外から、腎臓を押していく |
| 押し潰される | 腎臓の組織が、圧迫される |
| 働けなくなる | その腎臓の機能が落ちていく |
| だから | 腎臓の数値も、あわせて確かめる |
「硬いゼリー状」という表現が
そのたまり方をよく表しています。
水のように流れるのではなく
そこにとどまり続ける——
だから、圧がかかり続けます。
そして、押し潰された腎臓は
元には戻りません。
だから、早く気づきたいのです。
そして、厄介なことに
押し潰されているあいだ
猫はあまり痛がりません。
ゆっくりたまっていくため
体が慣れてしまうのです。
だから、「元気だから大丈夫」とは
言えません。
どうやって見つけるのか
触れるとはいえ
それが何なのかは触っただけでは分かりません。
| 調べること | 分かること |
|---|---|
| 触診 | お腹にしこりがあるか、大きさはどうか |
| 超音波検査 | 腎臓の周りに、液がたまっているか |
| その位置 | 腎臓の中か、周りかを見分けられる |
| 血液検査 | 腎臓の数値がどうなっているか |
| 尿検査 | 尿を濃くできているかを確かめる |
| あわせて | 原因になっているものがないかも探す |
とくに大事なのが超音波検査です。
「腎臓の中」なのか
「腎臓の周り」なのか——
それは画像ではっきり分かります。
そして、腎臓の数値——
押し潰された結果
どこまで働けているかを
確かめる必要があります。
そこがそのあとの判断に関わってきます。
何が原因でたまるのか
「いろんな原因でたまる」とされています。
つまり、ひとつに決まらないということです。
- 腎臓そのものの病気が、背景にあることがある
- 慢性腎臓病を抱えている猫で見つかることも
- 外傷が、きっかけになることもある
- 腎臓の周りの、液の流れが滞ることも関わる
- はっきりしないまま見つかることもある
- だから、あわせて腎臓全体を調べる
「なぜたまったのですか」と
聞かれるかもしれません。
けれど、はっきり答えられないこともあります。
大事なのは原因より
「いま腎臓がどうなっているか」です。
そこを確かめることから始まります。
手術という方法があります
この病気には
根本的な方法があります。
再発させない治療法は
手術で腎臓の被膜を切除することです。
- 腎臓を包んでいる膜を、取り除く
- たまる場所そのものを、なくしてしまう
- だから、再発しにくくなる
- 腎臓への圧も、取り除かれる
- 根本的な解決になりうる
- ただし、全身麻酔が必要になる
「たまるなら、たまる場所をなくす」——
そういう考え方です。
水を抜くだけでは
またたまってしまいます。
けれど、被膜そのものを取ってしまえば
たまる空間がなくなります。
それが、この手術の意味です。
手術のときに、聞いておきたいこと
「手術をしましょう」と言われたとき——
| 聞くこと | なぜ大事か |
|---|---|
| 麻酔のリスク | 腎臓の状態から見て、どうか |
| 腎臓は残せるか | 被膜だけか、腎臓ごとかで変わる |
| もう片方の腎臓 | そちらが働けているかが前提になる |
| 術後の生活 | どんな管理が必要になるか |
| しない場合 | どう進んでいくのか |
| ほかの方法 | 抜く処置で、どこまで対応できるか |
とくに、「もう片方の腎臓」——
腎臓は2つあります。
片方が傷んでいるとしても
もう片方が働けていれば
選べる方法が増えます。
そこもあわせて確かめてもらってください。
迷ったときにはその場で決めなくてかまいません。
持ち帰って家族と話してから答えてもよいのです。
けれど、受けられるとは限りません

ここが、この病気の難しいところです。
腎不全を併発している場合には
麻酔自体がハイリスクとなる場合もあります。
| 考えること | 内容 |
|---|---|
| 腎臓の状態 | 腎不全があるかどうか |
| 麻酔のリスク | 腎不全があると、ハイリスクになりうる |
| 年齢 | 高齢のオス猫で報告が多い |
| 全身状態 | ほかに病気を抱えていないか |
| 症状の程度 | いま、どれだけ困っているか |
| そのうえで | よく検討して選ぶことになる |
治療の選択には
全身状態や年齢などを考慮したうえで
よく検討する必要があります。
とくに、高齢のオスの猫の場合は
全身状態や年齢を考慮して治療法を選択することが
重要になります。
「手術で治せる」ことと
「その猫が手術を受けられる」ことは
別の話なのです。
このジレンマがこの病気の難しさです。
治せる方法があるのに
それを選べる時期が限られている——
⚠ だから、早く見つける意味があります
腎臓がまだ元気なうちなら
麻酔のリスクも低くなります。
けれど、押し潰されて腎不全になってからでは
手術そのものが難しくなります。
「治せる方法」を選べるうちに
見つけたい——そういう病気です。
抜くだけでは、またたまります
手術が難しいときには
別の方法がとられることもあります。
たまった液を針で抜く——
- 圧を減らし、腎臓を楽にできる
- 麻酔の負担が、手術より小さい
- お腹の張りも、いったん軽くなる
- けれど、たまる場所は残っている
- だから、また たまってくる
- 繰り返すことになる
「抜けば楽になる」のは本当です。
けれど、根本的な解決にはなりません。
再発させない治療法が手術だとされているのは
そのためです。
どちらを選ぶかは
猫の状態と年齢で決まってきます。
そして、抜くことにも限度があります。
何度も針を刺すことは
猫にとって負担ですし
感染の心配も出てきます。
「どのくらいの間隔で必要になりそうか」を
聞いておくと判断しやすくなります。
🩺 抜くという選択にも、理由があります
「手術は難しいので、抜いて様子を見ましょう」と
言われることがあります。
それは諦めたのではありません。
いまの状態でいちばん負担が少ない方法を
選んでいるということです。
「どのくらいの間隔で抜くことになりますか」と聞いておくと見通しが立ちます。
見つかったあと、見ていくこと
この病気と付き合っていくときには
2つを見ていきます。
| 見ること | なぜ |
|---|---|
| お腹の張り | たまり方が変わっていないか |
| 腎臓の数値 | 押し潰されて、落ちてきていないか |
| 尿の量 | 増えていないか(多飲多尿) |
| 食欲と体重 | 腎機能が落ちると、影響が出る |
| 元気 | 動きたがらなくなっていないか |
| 写真 | お腹の見た目を、月に一度残しておく |
とくに、腎臓の数値——
この病気は放っておけば
腎機能を削っていきます。
だから、定期的に測ることが
判断の材料になります。
「まだ大丈夫か」
「そろそろ手を打つべきか」——
それを決めるのが数値です。
「まだ様子を見ましょう」と言われたときには
「次はいつ測りますか」を
あわせて聞いておいてください。
様子を見ることと放っておくことは
違います。
期限を決めておくことで
「見ている」状態を保てます。
水分と食事は、腎臓病と同じ考え方で
腎臓が押し潰されているのなら
守り方も腎臓病と同じです。
- 脱水させない。水を飲みやすくする
- ウェットフードで、食事から水分を入れる
- 腎臓の数値によっては、療法食を考える
- 血圧も、あわせて測ってもらう
- 定期的に、数値を確かめる
- 始める時期は、相談して決める
残っている腎臓を大事に使う——
その考え方は慢性腎臓病と変わりません。
違うのは「押しているものがある」ということです。
それを取り除けるなら
腎臓は楽になります。
お腹の大きさを、記録してください
この病気では
「大きくなっているか」がいちばん分かりやすい変化です。
- 月に一度、同じ角度から写真を撮る
- 横から見た輪郭を、残しておく
- 体重も、あわせて量る
- 背中の骨の触れ方も、確かめる
- 「太った」のか「たまった」のかを分ける
- その記録を、受診のときに見せる
お腹が大きくなっているのに
背中の骨がはっきり触れる——
それは太ったのではありません。
そのちぐはぐさを見てください。
写真があれば変化の速さも分かります。
「急に大きくなっている」のか
「ほとんど変わっていない」のか——
その差で急ぎ方が変わります。
毎日見ていると変化に気づけません。
けれど、1か月前の写真と並べれば
はっきり分かります。
よくある質問
Q. 腎周囲偽嚢胞とは、どんな病気ですか?
A. いろんな原因で、腎臓の周りに水のような物質が溜まる病気です。腎臓の中に袋ができる多発性嚢胞腎とは、たまる場所が違います。
Q. 多発性嚢胞腎とは、違うのですか?
A. まったく別の病気です。多発性嚢胞腎は腎臓の「中」に袋ができる遺伝疾患ですが、腎周囲偽嚢胞は腎臓の「周り」に液がたまり、あとから起こります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. お腹に大きなしこりが触れることがあります。腎臓の周りに硬いゼリー状の物質が溜まることで腎臓が押し潰される、という例が報告されています。
Q. 家で気づけますか?
A. 触れて気づかれることがあります。腎臓の病気の多くは家では気づけませんが、この病気はお腹のしこりとして触れることがあります。撫でるときに、左右を比べてみてください。
Q. どうやって診断しますか?
A. 超音波検査が中心になります。腎臓の「中」なのか「周り」なのかは、画像ではっきり分かります。あわせて、腎臓の数値も確かめます。
Q. 治りますか?
A. 再発させない治療法は、手術で腎臓の被膜を切除することです。たまる場所そのものをなくしてしまう、という考え方になります。
Q. 手術は、必ず受けられますか?
A. 受けられるとは限りません。腎不全を併発している場合には、麻酔自体がハイリスクとなる場合もあります。治療の選択には、全身状態や年齢などを考慮したうえで、よく検討する必要があります。
Q. 水を抜くだけでは、だめですか?
A. 圧は減りますが、また たまってきます。たまる場所が残っているためです。ただし、手術が難しい状態では、負担の少ない方法として選ばれることがあります。
Q. 原因は何ですか?
A. いろんな原因で起こるとされ、ひとつに決まりません。腎臓そのものの病気が背景にあることも、外傷がきっかけになることもあります。はっきりしないまま見つかることもあるため、大事なのは「いま腎臓がどうなっているか」を確かめることです。
Q. 手術の前に、何を聞いておけばよいですか?
A. 麻酔のリスクと、もう片方の腎臓の状態です。腎臓は2つあるため、もう片方が働けていれば選べる方法が増えます。しない場合どう進んでいくのか、術後どんな管理が必要かも聞いておいてください。
Q. 見つかったあと、何を見ていけばよいですか?
A. お腹の張りと、腎臓の数値です。この病気は放っておけば腎機能を削っていきます。定期的に測ることが、そのあとの判断材料になります。
まとめ|撫でるとき、お腹も触ってください
この病気でいちばん伝えたかったことは
「触れて気づける」ということです。
腎臓の病気でこれが言えるものは
多くありません。
そして、早く見つかるほど
選べる治療が増えます。
腎臓が押し潰されてしまってからでは
麻酔さえ難しくなる——
だから、撫でるときに
お腹にも手を当ててみてください。
そして、何か触れたのなら
「お腹にしこりのようなものがあります」と
伝えてください。
その一言からエコーへつながります。
今日できる3つ
- 1撫でるとき、お腹の左右を比べて触ってみる
- 2「太ったかな」と思ったら、背中の骨も触って確かめる
- 3高齢なら、健康診断で腎臓のエコーもお願いする
腎臓の病気は、たいてい触れません。けれどこれは、手で気づける数少ないひとつです。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の腎周囲偽嚢胞|腎臓の中ではなく、周りにたまります」でした。
下記の#タグキーワードからも、関連記事を検索できます。
Others 同じカテゴリの記事 |

猫の眼球摘出|見た目より、痛みを見てあげてください |
猫のブドウ膜炎|目なのに、血液検査をする理由 |
猫の角膜黒色壊死症|待つか、削るかの選び方 |
猫のコクシジウム症|消毒液では、死にません |
猫の膝蓋骨脱臼|スキップするような歩き方をしませんか |
猫の股関節形成不全|症状が出るのは、三割ほどです |




