

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の膀胱腫瘍|治らない膀胱炎は、疑う理由になります」です。ではどうぞ!
何度もトイレへ行く。
血が混じっている——
いきんでいる——
「また膀胱炎か」と
思われるかもしれません。
実際、その多くは膀胱炎です。
けれど、まれに
まったく同じ症状で現れる病気があります。
膀胱の腫瘍——
症状は頻尿、血尿、しぶりなど
膀胱炎の症状と同じです。
だから、膀胱炎と症状が似ているために発見が遅れることが
多々あります。
結論
下部尿路移行上皮癌は猫にとって重要な疾患ですが、報告は稀です。移行上皮癌は獣医領域では犬でよく見られ、猫ではそこまで頻度は多くありません。症状は、頻尿、血尿、しぶりなどの膀胱炎の症状と同じですが、進行すると尿道閉塞や尿管閉塞を起こし、尿が出なくなる急性腎不全になることもあります。膀胱炎と症状が似ているために発見が遅れることが多々あります。診断では血液検査と尿検査は必須で、腫瘍細胞が尿沈渣中に認められることがありますが、検出率は30%以下であり、診断的でない場合が多いとされます。超音波検査、細胞診を行い、がんの診断をつけていきます。治療は原則、腫瘍が取りきれる場合は手術が優先され、がんの広がり具合によって膀胱の一部だけを摘出する場合と、膀胱のすべてを摘出する場合があります。
この記事でわかること
- ✓症状は、膀胱炎とまったく同じです
- ✓だから、経過で見分けます
- ✓尿検査では、七割が見逃されます
- ✓超音波で、形として見えます
- ✓進むと、詰まってしまいます
- ✓治療は、取りきれるかどうかで変わります
- ✓予後について、正直に書きます
症状は、膀胱炎とまったく同じです
この病気が見つかりにくい理由は
ここに尽きます。
| 症状 | 膀胱炎 | 膀胱腫瘍 |
|---|---|---|
| 頻尿 | 出る | 出る |
| 血尿 | 出る | 出る |
| しぶり(いきむ) | 出る | 出る |
| 粗相 | 出ることがある | 出ることがある |
| 陰部を舐める | 出ることがある | 出ることがある |
| つまり | 見た目では区別できない | 見た目では区別できない |
「膀胱炎の症状と同じ」——
これはとてもやっかいなことです。
飼い主にも分かりません。
そして、最初の診察でも
「膀胱炎でしょう」となることが自然です。
なぜなら、実際にその多くは膀胱炎だからです。
最初から腫瘍を疑って検査を重ねることは
猫にとっても負担です。
だから、まず膀胱炎として治療する——
その順番は間違いではありません。
問題になるのは
「治らない」まま同じ治療を続けてしまうことです。
下部尿路移行上皮癌は猫にとって重要な疾患ですが
報告は稀です。
犬でよく見られるのに対し
猫ではそこまで頻度は多くありません。
だから、経過で見分けます

症状で分けられないのなら
時間の経ち方で分けるしかありません。
- 治療しても、すっきり治らない
- 薬をやめると、すぐ戻ってくる
- だらだらと、症状が続いている
- だんだん、悪くなってきている
- 何度も繰り返し、間隔が短くなっている
- とくに、高齢の猫でそうなっている
ふつうの膀胱炎なら
治療で落ち着き薬をやめてもそのまま治まります。
けれど、腫瘍があれば
そこに原因が残り続けます。
だから、抑えても戻ってくる——
その繰り返し方が手がかりです。
そして、年齢——
若い猫で繰り返すのは
特発性膀胱炎のことが多くなります。
けれど、10歳を超えた猫で
同じことが起きているなら
疑う順番が変わります。
その考え方は下部尿路感染症に書いています。
「治らない」と、はっきり伝えてください
受診のたびに「今回の症状」を説明していると
「治っていない」といういちばん大事な情報が
抜け落ちます。
「薬をやめると戻ります」
「これで4回目です」——
その一言が調べる範囲を変えます。
尿検査では、七割が見逃されます

ここは、知っておいてほしい数字です。
腫瘍細胞が尿沈渣中に認められることがありますが
検出率は30%以下であり
診断的でない場合が多いとされます。
| 調べ方 | 分かること |
|---|---|
| 尿検査 | 腫瘍細胞が出ることもあるが、30%以下 |
| つまり | 7割以上は、尿では見つからない |
| 血液検査 | 全身の状態、腎臓への影響を見る |
| 超音波検査 | 膀胱の壁や、できものを形として見る |
| 細胞診 | 細胞を採って、確かめる |
| 組み合わせて | がんの診断をつけていく |
「尿検査では問題ありませんでした」——
その言葉は
この病気を否定するものではありません。
血液検査と尿検査は必須です。
けれど、それだけでは足りない——
だから、超音波検査、細胞診を行い
がんの診断をつけていきます。
⚠ 繰り返すなら、画像をお願いしてください
尿検査だけを何度も繰り返している——
そういう状態が続いているのなら
「エコーも見てもらえますか」と
言ってみてください。
形として見る検査を入れなければ
7割はすり抜けてしまうのです。
超音波で、形として見えます
この病気を見つけるのは
「見ること」です。
超音波検査では
膀胱の壁やそこにできたものを
形として確かめられます。
- 膀胱の壁が、部分的に厚くなっていないか
- 内側に、盛り上がったものがないか
- 大きさはどのくらいか
- できている場所はどこか
- 尿の出口に近いかどうか
- 周りへ広がっていないか
とくに大事なのが「場所」です。
尿の出口に近いほど
詰まりやすくそして手術も難しくなります。
だから、「どこにできていますか」と
聞いてみてください。
そこでその後の見通しが変わってきます。
エコーは、負担の少ない検査です
「検査を増やす」と聞くと
猫への負担を心配されるかもしれません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 痛みは | 基本的にない |
| 時間 | そう長くはかからない |
| 準備 | お腹の毛を刈ることがある |
| 体勢 | 仰向けなどで、押さえてもらう |
| 麻酔 | ふつうは要らない |
| 分かること | 膀胱だけでなく、腎臓や周りも見える |
お腹の毛を刈られることはありますが
それ以外には大きな負担がありません。
そして、膀胱だけでなく
腎臓やそのまわりもあわせて見てもらえます。
受ける価値はじゅうぶんにあります。
進むと、詰まってしまいます

この病気でいちばん危ない場面がこれです。
進行すると尿道閉塞や尿管閉塞を起こし
尿が出なくなる急性腎不全になることもあります。
| 塞がる場所 | 起きること |
|---|---|
| 尿道 | 膀胱から外へ出せなくなる |
| そのとき | まったく尿が出なくなる |
| 尿管 | 腎臓から膀胱へ、流れなくなる |
| そのとき | 片側なら、尿は出続けることも |
| いずれも | 腎臓が働けなくなっていく |
| その先 | 急性腎不全になることがある |
「まったく尿が出ていない」——
その状態は尿道閉塞と同じ緊急事態です。
治療しなければ1〜2日で命に関わります。
そして、尿管が塞がれたときには
尿管結石と同じように
片側なら尿は出続けます。
だから、気づけないまま
その腎臓が失われていくこともあります。
「膀胱だけの話」だと思っていたものが腎臓まで及んでいく——
それが、この病気のこわいところです。
詰まりを防ぐことが、治療の一部になります
腫瘍そのものをすぐには取れないときにも
できることがあります。
- 尿路を確保する処置を、あらかじめ考えておく
- 水分を増やし、尿の流れをよくする
- 詰まる前に、定期的に見てもらう
- 「出ていない」に、早く気づけるようにする
- 夜間の連絡先を、控えておく
- いざというときの動き方を、決めておく
この病気で急に命に関わるのは
腫瘍そのものより「詰まったとき」です。
だから、そこに備えておくことが
時間をつくります。
「詰まったらどうすればよいですか」と
あらかじめ聞いておいてください。
治療は、取りきれるかどうかで変わります

治療は原則
腫瘍が取りきれる場合は手術が優先されます。
がんの広がり具合によって
膀胱の一部だけを摘出する場合と
膀胱のすべてを摘出する場合があります。
- 取りきれるなら、手術が優先される
- 一部だけ取る方法がある
- 広がっていれば、全部を取ることもある
- 取りきれない場合は、症状をやわらげる治療へ
- 詰まっているなら、尿路を確保する処置が要る
- いずれも、広がり具合を調べたうえで決まる
「どこまで広がっているか」——
それがすべてを決めます。
そして、その広がりは
早く見つけるほど小さいのです。
「治らない膀胱炎」を
早く疑うことが
そのまま選択肢を増やします。
セカンドオピニオンという選択
この病気の手術は
どこでもできるものではありません。
| 場面 | 考えられること |
|---|---|
| 「うちでは難しい」 | 紹介という形になることがある |
| それは | 見放されたのではない |
| 腫瘍科のある病院 | より詳しく調べられることがある |
| 迷ったとき | 別の意見を聞いてよい |
| そのとき | これまでの検査結果を持っていく |
| 大事なのは | 納得して決めること |
「ほかの先生にも聞いてみたい」と
言うことは失礼ではありません。
むしろ、検査結果をまとめて渡してもらえることが多いのです。
そのほうが同じ検査を繰り返さずに済みます。
猫にとってもそのほうが楽です。
「紹介状を書いていただけますか」と
そのまま言ってみてください。
🩺 そのあとの生活まで、聞いてください
膀胱をすべて取ると聞くと
驚かれると思います。
そのあとどう暮らすのか——
その説明まで聞いたうえで
判断してください。
「その手術のあと、どんな生活になりますか」と聞いてよいのです。
予後について、正直に書きます
ここは、書くのがつらいところです。
けれど、知らないまま決断を迫られるほうが
つらいと思うので書いておきます。
| 項目 | 報告されている数字 |
|---|---|
| 生存期間 | 治療法によって異なる |
| 平均 | 6か月〜1年程度とされる |
| 無進行生存期間 | 中央値は113日という報告 |
| 全生存期間 | 中央値は155日という報告 |
| ただし | 広がり方や治療法で、大きく変わる |
| だから | 目の前の子については、獣医師に聞いてください |
厳しい数字です。
けれど、「中央値」ということばには
意味があります。
真ん中の値ということですから
それより短い子も長い子もいます。
どこにできたかどこまで広がっているか
どんな治療を選べるかで
経過は変わってきます。
統計の数字は目の前の子を説明するものではありません。
「うちの子の場合はどうですか」と
聞いてみてください。
その答えのほうがずっと確かです。
知ることで、変えられること
この数字を読んで
絶望してほしいわけではありません。
- 残された時間を、どう過ごすか考えられる
- 治療をどこまでするか、納得して決められる
- 痛みや苦しさを、減らす方向を選べる
- 家族と、あらかじめ話し合える
- 後悔の少ない選択に、近づける
- そして、早く見つければ選択肢が増える
「治らない」と「何もできない」は
別のことです。
詰まりを防ぐこと
痛みをやわらげること
食べられるようにすること——
できることはいくつもあります。
家で見ておいてほしいこと
診断がついたあと
家で見ておくべきことがあります。
| 見ること | 気づけること |
|---|---|
| 尿が出ているか | 詰まりの、いちばん早いサイン |
| 固まりの数と大きさ | 量が減っていないか |
| 血の混じり方 | 増えていないか |
| 食欲 | 落ちてきていないか |
| 体重 | 月に一度は量って記録する |
| 元気 | 動きたがらなくなっていないか |
いちばん急ぐのはやはり
「尿が出ていない」という場面です。
腫瘍があると分かっているのなら
詰まる可能性もあわせて考えておいてください。
夜間対応の病院を調べておくことも
備えになります。
そして、痛みやつらさがあるかも
見ておいてください。
じっとして動かない丸まっている——
それも、伝えるべき情報です。
よくある質問
Q. 膀胱腫瘍は、猫でも多いのですか?
A. 報告は稀です。移行上皮癌は獣医領域では犬でよく見られ、猫ではそこまで頻度は多くありません。ただし、猫にとって重要な疾患であることに変わりはありません。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 頻尿、血尿、しぶりなど、膀胱炎の症状と同じです。だから、膀胱炎と症状が似ているために発見が遅れることが多々あります。
Q. 膀胱炎との見分け方はありますか?
A. 経過で見分けます。治療してもすっきり治らない、薬をやめるとすぐ戻る、だらだら続く、だんだん悪くなる——そういう繰り返し方が手がかりになります。
Q. 尿検査で分かりますか?
A. 7割以上は、尿では見つかりません。腫瘍細胞が尿沈渣中に認められることがありますが、検出率は30%以下であり、診断的でない場合が多いとされます。
Q. では、どうやって診断するのですか?
A. 超音波検査と細胞診を組み合わせます。血液検査と尿検査は必須ですが、それだけでは足りません。膀胱の壁やできものを、形として見る必要があります。
Q. 進むと、どうなりますか?
A. 尿道閉塞や尿管閉塞を起こすことがあります。尿が出なくなる急性腎不全になることもあり、「まったく尿が出ていない」なら緊急事態です。
Q. 治療では何をしますか?
A. 原則、腫瘍が取りきれる場合は手術が優先されます。がんの広がり具合によって、膀胱の一部だけを摘出する場合と、膀胱のすべてを摘出する場合があります。
Q. 予後はどうなのでしょうか?
A. 生存期間は治療法によって異なりますが、平均で6か月〜1年程度とされています。無進行生存期間の中央値は113日、全生存期間の中央値は155日という報告があります。ただし中央値は目安で、広がり方や治療法によって大きく変わります。
Q. エコーは、猫の負担になりませんか?
A. 基本的に痛みはなく、麻酔もふつうは要りません。お腹の毛を刈られることはありますが、それ以外に大きな負担はありません。膀胱だけでなく腎臓やそのまわりも、あわせて見てもらえます。
Q. 「うちでは難しい」と言われました
A. 見放されたのではありません。この病気の手術は、どこでもできるものではないため、紹介という形になることがあります。これまでの検査結果をまとめて渡してもらえることが多く、同じ検査を繰り返さずに済みます。
Q. 早く見つける方法はありますか?
A. 「治らない膀胱炎」を疑うことです。とくに高齢の猫で、繰り返し治療しても戻ってくるなら、「エコーも見てもらえますか」と伝えてみてください。
まとめ|「エコーも見てください」と言ってください
この病気でいちばん伝えたかったことは
「症状では分けられない」ということです。
頻尿も血尿もしぶりも——
膀胱炎とまったく同じです。
分けられるのは経過だけ——
治らないやめると戻るだんだん悪くなる——
そのときには
「エコーも見てもらえますか」と伝えてください。
とくに、10歳を超えているのなら
その一言には大きな意味があります。
早く見つかるほど選べる道は多くなります。
そして、調べた結果
やはり膀胱炎だったのなら
それがいちばんよい知らせです。
尿検査だけでは7割がすり抜けます。
そして、調べた結果
何もなかったのなら
それがいちばんよい結果です。
「調べたうえで膀胱炎だった」と
「調べずに膀胱炎だと思った」——
この2つはまったく違います。
今日できる3つ
- 1膀胱炎が「これで何回目か」を数えてみる
- 2薬をやめたあと、何日で戻ったかを記録する
- 3繰り返しているなら「エコーもお願いします」と伝える
症状が同じなら、経過で見分けるしかありません。「治らない」ことが、いちばんの手がかりです。

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