

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の角膜黒色壊死症|黒い斑は、壊死した角膜です」です。ではどうぞ!
黒目の真ん中に、黒い点ができている。
「黒目だから、黒くて当たり前」——そう思って見過ごしてしまう方は少なくありません。
けれど、猫の角膜そのものは透明です。
表面に黒い斑があるなら、それは異常です。そしてその黒さは色がついたのではなく、組織が死んだ色です。
結論
角膜黒色壊死症は角膜分離症、巣状表層壊死症とも呼ばれる猫特有の目の病気です。眼の表面の色素沈着が特徴的で、1〜2mmくらいの小さな黒や茶色の斑点ができたり、眼の半分くらいを覆うような大きな斑点ができる場合もあります。黒い斑点は角膜が壊死したもので、その黒い部分は厚くなっていき脱落することもあります。そして脱落すると角膜に大きな潰瘍ができたり、角膜すべての層が欠損し、眼球に穴が開く角膜穿孔という状態になったりすることもあります。症状としては眼の痛みや、瞼の痙攣、流涙がみられることがあります。ペルシャやヒマラヤン、シャムなどの猫種はなりやすいと言われており、猫ヘルペスウイルスによる慢性の角膜潰瘍・角膜炎が深く関係しているといわれますが、詳細な原因やメカニズムは分かっていません。
この記事でわかること
- ✓黒い斑の正体は、壊死した組織です
- ✓猫にしかない病気です
- ✓背景に、ヘルペスがいると考えられています
- ✓なりやすい猫種があります
- ✓大きさは、さまざまです
- ✓厚くなり、そして落ちます
- ✓落ちたあとが、危ないのです
- ✓見分けと、受診の目安
黒い斑の正体は、壊死した組織です

この病気で、まず知っておいてほしいことがあります。
色がついたのではありません
黒い斑点は、角膜が壊死したものです。
色素が乗っただけではありません。
そこにあった角膜の組織が、死んでいるということです。
「しみのようなもの」と思って様子を見る——それが、この病気でいちばん多い遅れ方です。
三つの呼び名があります
この病気は角膜分離症、巣状表層壊死症とも呼ばれます。
同じものを指しています。
動物病院や資料によって呼び方が違うので、知っておくと混乱せずに済みます。
角膜は、透明なはずです
猫の黒目が黒く見えるのは、瞳孔の奥が暗いからです。
角膜そのものは、透明です。
だから角膜の表面に色があるなら、それは何かが起きている——そう考えてください。
猫にしかない病気です
この病気は猫特有のものです。
犬では、まず問題になりません
犬にも角膜の病気はたくさんあります。
けれどこの形は、猫で見られるものです。
だから、犬の情報を探しても出てきません。
猫の目の病気として調べてください。
角膜炎の一種ですが、別扱いされます
大きく分ければ角膜炎の仲間です。
けれど見た目も経過も治療も特徴的なので、独立した病名がついています。
「角膜炎ですね」で終わらせず、この病気かどうかを確かめてもらってください。
ほかの角膜の病気とは、見え方が違います
角膜の病気はいくつもありますが、色で見分けがつくのがこの病気です。
| 見え方 | 考えられるもの |
|---|---|
| 黒や茶色の斑 | 角膜黒色壊死症 |
| 白やピンクのもや | 好酸球性角膜炎 |
| 青白い、すりガラス状 | 角膜のむくみ。緑内障でも起こる |
| 透明だが、欠けている | 角膜潰瘍。染めないと分からない |
| 赤い筋が伸びる | 血管が入ってきている。慢性の印 |
黒いのはこの病気だけ——そう覚えておくと、見つけたときに動けます。
背景に、ヘルペスがいると考えられています
では、なぜ角膜が壊死するのか。
原因は、分かっていません
正直に書きます。
詳細な原因やメカニズムは分かっていません。
「原因不明」と言われると不安になると思います。
けれど治療の方法は確立しています。分かっていないのは、なぜ起きるかのほうです。
ウイルスの関与が、指摘されています
猫ヘルペスウイルスによる慢性の角膜潰瘍・角膜炎が深く関係しているといわれています。
猫ヘルペスウイルスは、一度感染すると体から消えません。
ストレスで再燃するたびに、目に負担がかかります。
そのくり返しが、角膜のある一点を弱らせていく——そういう構図が考えられています。
乾燥や刺激も、関わります
角膜が乾きやすいことも、背景になります。
まばたきで覆いきれない部分は、いつも乾いた状態にさらされます。
まつげや顔の毛が当たり続けることも、刺激になります。
ひとつの原因ではなく、いくつもの負担が重なった結果と考えられています。
なりやすい猫種があります

この病気には、はっきりした傾向があります。
鼻の低い猫種で、多く見られます
ペルシャやヒマラヤン、シャムなどの猫種は、角膜黒色壊死症になりやすいと言われています。
いずれも目が大きく、前に出ている猫種です。
目が出ているぶん、角膜が乾きやすく、刺激も受けやすい——そのことが関わっていると考えられます。
ほかの猫でも、起こります
ただし、これらの猫種でなければ起きないということではありません。
どんな猫でも起こりえます。
とくに目の病気で長く治療している猫では、気をつけて見ておいてください。
こんな猫では、月に一度見てください
- ペルシャ、ヒマラヤン、シャムなどの猫種
- 目が大きく、前に出ている猫
- 子猫のころに猫風邪をひいた猫
- 目の治療を、長く続けている猫
- 目やにが多い、涙が多い猫
- 顔の毛が長く、目に当たりやすい猫
明るい場所で、正面から黒目を見る——それだけで見つけられる病気です。
乾きやすい猫に、できること
生まれつきの顔立ちは変えられません。
けれど負担を減らすことはできます。
| 気をつけること | なぜか |
|---|---|
| エアコンの風を、直接当てない | 風は、目の表面をそのまま乾かす |
| 冬は加湿する | 空気が乾けば、涙の膜も保ちにくい |
| 目のまわりの毛を、伸ばしすぎない | 毛が角膜に当たり続けると、刺激になる |
| 目やにを、こまめに拭く | 固まったものが、こすれて刺激になる |
| 猫風邪の治療を、途中でやめない | 慢性の角膜炎が、背景になりうる |
大きさは、さまざまです
どのくらいの大きさになるのか——これは幅があります。
小さな点から、目の半分まで
1〜2mmくらいの小さな黒や茶色の斑点でとどまることもあります。
いっぽう眼の半分くらいを覆うような大きな斑点になる場合もあります。
同じ病名でも、見た目の重さがまるで違うのです。
最初は、茶色っぽく見えます
いきなり真っ黒になるわけではありません。
はじめはうっすら茶色っぽい——その段階では、汚れのようにも見えます。
そこから、だんだん濃くなっていきます。
だから、写真を撮って日付を残してください。数週間後に見比べると、変化がはっきり分かります。
痛みも、出てきます
眼の痛みや、瞼の痙攣、流涙といった症状がみられることがあります。
まぶたがぴくぴくするのは、痛みのサインです。
涙が多い、目を細めるのも同じです。
黒い斑を見つけて、痛がってもいるなら、早めに受診してください。
厚くなり、そして落ちます

この病気の経過には、決まった流れがあります。
盛り上がってきます
その黒い部分は、厚くなっていきます。
平らな斑だったものが、だんだん盛り上がってくるのです。
死んだ組織が、そこに固まっていくと考えてください。
そして、脱落します
厚くなった黒い部分は、脱落することもあります。
かさぶたが外れるように、ぽろりと取れるのです。
「取れたなら治った」と思ってしまいそうになります。
けれど、問題はそのあとです。
進む速さは、猫によります
どのくらいで落ちるのか——これは決まっていません。
数週間で変わっていく猫もいれば、何か月も同じままの猫もいます。
- 数週間で、はっきり大きくなった
- 盛り上がりが、目立ってきた
- 周りに、赤い血管が伸びてきた
- 痛がる様子が、強くなってきた
- 目やにや涙が、増えてきた
これらが当てはまるなら、進んでいると考えてください。
「前と同じかどうか」を判断するために、写真が役に立ちます。
落ちたあとが、危ないのです

ここが、この病気でいちばん重要なところです。
穴が、残ります
脱落すると、角膜に大きな潰瘍ができたり、角膜すべての層が欠損し、眼球に穴が開く角膜穿孔という状態になったりすることもあります。
死んだ組織があった分だけ、そこが欠けているのです。
深い斑ほど、落ちたあとの穴も深くなります。
穿孔は、目を失いかねません
角膜穿孔とは、角膜に穴が開いた状態です。
目の中の水が外へ出て、そこから細菌が入ります。
この段階では、目を残せるかどうかの話になります。
だから、落ちるのを待たないという考え方があります
自然に落ちるのを待つという選択もあります。
けれどいつ、どのくらいの深さで落ちるかは分かりません。
そのあいだ、痛みは続きます。
だから先に取ってしまうという考え方があります。
治療の選び方については、角膜黒色壊死症の治療でくわしく書いています。
⚠ すぐ受診してほしいとき
黒い部分が、急に取れた。
取れたあと、目を開けられなくなった。
黒目の表面が、どろりと濁ってきた。
目から、水のようなものが出ている。
これらは深い欠損や穿孔を疑う合図です。
夜間でも、救急を探してください。
見分けと、受診の目安
最後に、家からできることをまとめます。
ほかの黒いものと、区別します
目の中や周りの黒いものは、これだけではありません。
| どこが黒いか | 考えられるもの |
|---|---|
| 角膜の表面(黒目の上) | 角膜黒色壊死症 |
| 虹彩(目の色の部分) | 色素の斑。広がるなら腫瘍も考える |
| 耳の中の黒い汚れ | 耳ヒゼンダニ症など、目とは別の話 |
| 目頭の茶色い汚れ | 涙やけ。乾いた涙の色 |
| まぶたのふち | もともとの色素のことが多い |
角膜の上にあるかどうかが、この病気を疑う分かれ目です。
受診の目安
- 黒目の上に、黒や茶色の斑を見つけたとき
- 斑が、前より大きくなってきたとき
- 目を細める、涙が増えたとき
- まぶたがぴくぴくしているとき
- 黒い部分が、盛り上がってきたとき
- 黒い部分が、取れたとき
最後の「取れたとき」は、その日のうちに連れていってください。
写真を、残しておいてください
この病気は変化のしかたが、判断の材料になります。
明るい場所で、フラッシュを使わずに正面から撮る——それだけで十分です。
いつの、どちらの目かが分かる形で残してください。
「一か月で、ここまで広がりました」という情報は、診察でとても役に立ちます。
この病気は今の大きさより、変化のしかたで方針が決まることがあります。
止まっているのか、進んでいるのか。それを示せるのは、家で撮った記録だけです。
🩺 見過ごさないために
黒目の黒い点を「しみ」と思わないでください。
猫の角膜は、透明であるのがふつうです。
そこに色があるなら、それは確かめる理由になります。
この記事の要点
黒い斑点は角膜が壊死したもので、色がついただけではありません。
角膜分離症、巣状表層壊死症とも呼ばれる猫特有の病気です。
黒い部分は厚くなっていき、脱落することもあります。
脱落すると大きな潰瘍や、眼球に穴が開く角膜穿孔になることがあります。
Q. 角膜黒色壊死症とは、どんな病気ですか?
A. 角膜分離症、巣状表層壊死症とも呼ばれる猫特有の目の病気です。眼の表面に黒や茶色の斑点ができるのが特徴で、その斑点は角膜が壊死したものです。
Q. 黒い点は、色素沈着ですか?
A. 色がついただけではありません。黒い斑点は角膜が壊死したもので、そこにあった組織が死んでいる状態です。「しみ」と思って様子を見ないでください。
Q. どのくらいの大きさになりますか?
A. 幅があります。1〜2mmくらいの小さな斑点のこともあれば、眼の半分くらいを覆うような大きな斑点になる場合もあります。
Q. 原因は何ですか?
A. 詳細な原因やメカニズムは分かっていません。ただし、猫ヘルペスウイルスによる慢性の角膜潰瘍・角膜炎が深く関係しているといわれています。
Q. なりやすい猫種はありますか?
A. ペルシャやヒマラヤン、シャムなどの猫種はなりやすいと言われています。いずれも目が大きく前に出ており、角膜が乾きやすい猫種です。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 眼の痛みや、瞼の痙攣、流涙といった症状がみられることがあります。まぶたがぴくぴくする、目を細める、涙が多いといった様子が手がかりです。
Q. 放っておくと、どうなりますか?
A. 黒い部分は厚くなっていき、脱落することもあります。そして脱落すると、角膜に大きな潰瘍ができることがあります。
Q. 落ちれば、治ったということですか?
A. そうとは限りません。脱落すると角膜すべての層が欠損し、眼球に穴が開く角膜穿孔という状態になったりすることもあります。
Q. 黒い部分が取れました
A. その日のうちに受診してください。落ちたあとに深い欠損が残っていることがあり、穿孔に至る危険もあります。
Q. 犬にも起こりますか?
A. 猫特有の病気です。犬の情報を探しても出てきませんので、猫の目の病気として調べてください。
Q. 両目に起こりますか?
A. 片目のことも、両目のこともあります。片目に出た場合も、反対の目を定期的に見ておいてください。同じ条件がかかっている可能性があります。
Q. どうやって診断しますか?
A. 目の表面を診て、染色して欠損の深さを確かめます。見た目に特徴があるため、診てもらえば分かることが多い病気です。
Q. 市販の目薬を使ってよいですか?
A. 使わないでください。とくにステロイドが入ったものは、角膜に欠損があるときに使うと状態を悪くします。
Q. 治療はどうしますか?
A. 大きさや深さによって変わります。経過を見る場合と、手術で削り取る場合があります。選び方については、治療の記事でくわしく書いています。
Q. 予防はできますか?
A. 直接の予防法はありません。ただし目の炎症を長引かせないこと、乾燥や刺激を減らすことが負担を軽くします。
Q. 再発することはありますか?
A. あります。背景にあるものが変わらなければ、同じことが起こりえます。治療が終わったあとも、しばらくは黒目を見ておいてください。
まとめ|黒目の黒い点を、見過ごさないでください
猫の黒目に黒い点を見つけたとき、「もともとこうだったかな」と思ってしまいがちです。
けれど、猫の角膜は透明であるのがふつうです。
そこにある黒さは、壊死した組織の色です。
そして、その黒い部分は厚くなり、いずれ落ちます。
落ちたあとに、大きな潰瘍が残ることがあります。穴が開いてしまうこともあります。
「落ちれば治る」ではない——ここを知っているかどうかで、動き方が変わります。
見つけたら、まず写真を撮って日付を残してください。
そして診てもらってください。小さいうちなら、選べることが多く残っています。
今日できる3つ
- 1明るい場所で、黒目の表面に黒や茶色の斑がないか見る
- 2見つけたら、写真を撮って日付を残す
- 3まぶたがぴくついていないか、しばらく観察する
黒い斑は、色ではなく壊死です。小さいうちに見つけることが、選択肢を残します。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の角膜黒色壊死症|黒い斑は、壊死した角膜です」でした。
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