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犬の鉤虫症|腸にかみついて、血を吸う寄生虫
犬の鉤虫症
モフ@ペット好き

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の鉤虫症|腸にかみついて、血を吸う寄生虫」です。ではどうぞ!

同じ「腸の寄生虫」でも、回虫と鉤虫ではやっていることが違います。

回虫腸の中の栄養を横取りします。

鉤虫は違います。

小腸の壁にかみついて、血を吸います。

だから起こるのが貧血——そして、黒いタール状の便です。

さらに、この寄生虫にはもうひとつ特徴があります。

皮膚から入ってくる——

口に入れなくても、汚染された土の上を歩いただけで感染が成立することがあるのです。

この記事では、血を吸うという性質と、年齢によって変わる現れ方を整理していきます。

結論

鉤虫は小腸の壁にかみついて血を吸う寄生虫です。そのため鉄欠乏性の貧血が起こり、黒いタール状の便が見られることがあります。感染経路は口から・皮膚から・母乳からの3つ——皮膚から入る経路があるのがこの寄生虫の特徴です。年齢によって現れ方が変わり、生後2週間ごろの子犬では、急激に進んで命に関わることがあります。歯ぐきの色が白っぽい——それは、その日のうちに受診すべきサインです。

この記事でわかること

  • 血を吸う、という性質
  • 皮膚から入るという経路
  • 年齢で変わる、3つの型
  • 便の色が教えてくれること
  • 治療と、予防

血を吸う、という性質

鉤虫が起こすこと
栄養を奪うのではなく、血を吸うのがこの寄生虫です。

犬鉤虫は、小腸に住む細長い寄生虫です。

この寄生虫が特徴的なのは、腸の壁にかみついて血を吸うという点です。

回虫と鉤虫の違い
回虫 鉤虫
やること 腸の中の栄養を奪う 腸の壁にかみつき、血を吸う
起こること 栄養不足、成長への影響 貧血、出血
便の特徴 白く細長い虫が出ることも 黒いタール状、または血便
見た目 お腹だけが膨らむ 歯ぐきが白っぽくなる
子犬での危険 成長が遅れる 急激に命に関わることがある

「かみついて血を吸う」——

この違いが、危険の性質をまったく変えます。

栄養が奪われるのは時間をかけて効いてくる問題です。

けれど、血を失うのは急速に効いてくる——

とくに体の小さな子犬では、失える血の量がもともと少ないのです。

成犬なら少しずつの出血に体が対応できます。

骨髄が血を作って補う——そうやってバランスを取っているのです。

けれど、生まれたばかりの子犬にはその余裕がありません。

作るより早く失われれば、あっという間に危険な状態になります。

そして、血を作るには鉄が要ります。

出血が続けば鉄そのものが足りなくなっていく——

これが鉄欠乏性貧血と呼ばれる状態です。

だから治療では、虫を駆除するだけでなく鉄や栄養を補うことも必要になります。

⚠ 歯ぐきの色を見てください

貧血のサイン歯ぐきの色に出ます。

健康な犬の歯ぐきはピンク色です。

白っぽい、血の気がない——そう見えたらその日のうちに受診してください。

まぶたの内側や舌の色も手がかりになります。

皮膚から入るという経路

3つの感染経路
皮膚から入る経路があるのがこの寄生虫の特徴です。

鉤虫の感染経路は3つあります。

  • 経口感染——汚染された土や便をなめる
  • 経皮感染——幼虫が皮膚から入り込む
  • 母子感染——母乳を通じて子犬に移る
  • 足の裏やお腹の皮膚が、入口になる
  • 湿った土の上で幼虫が待っている
  • 「口に入れないから安全」とはならない

経皮感染——これが、この寄生虫のやっかいなところです。

汚染された土の上を歩くだけで幼虫が皮膚を破って体内に入り込むことがあります。

犬が地面に寝そべればお腹の皮膚も接触します。

つまり、拾い食いをさせなければ大丈夫という対策では足りないということです。

そして、幼虫が好むのは湿った土です。

日当たりが悪く、いつもじめじめしている場所——

庭にそうした一角があるなら、そこは幼虫にとって都合のよい環境だと考えてください。

散歩から帰ったら足の裏を拭く——

これは口から入る経路皮膚から入る経路の両方に効く数少ない対策です。

犬は自分の足をなめますから、足の裏を清潔にしておくことには二重の意味があります。

母乳からも移ります

そして、母子感染

鉤虫も母乳を通じて子犬に移ることが知られています。

これは回虫と同じ構図です。

「外に出していないのに」という理屈が通じない——子犬では、そう考えておいてください。

だからこそ、子犬を迎えたら早い段階で便検査と駆虫を行います。

駆虫の全体的な考え方については犬の寄生虫の記事でまとめています。

年齢で変わる、3つの型

年齢による3つの型
年齢によって、現れ方がまったく違います。

鉤虫症は、年齢によって現れ方が大きく変わります。

3つの型
対象 現れ方
甚急性型 生後2週間ごろの子犬 急激に進み、命に関わる
急性型 幼齢の犬 貧血、血便、体重減少、食欲不振
慢性型 成犬 症状が出にくい。健診で見つかることも

甚急性型——生後2週間ごろという非常に早い時期に起こります。

母乳から移った鉤虫がまだ体の小さな子犬の血を吸う——

ほんの少しの失血でも致命的になる時期です。

急性型では、貧血、粘り気のある血便、食欲不振、腹痛、体重減少——こうした症状が現れます。

そして慢性型

成犬では症状が出にくく健康診断の便検査で初めて見つかることもあります。

「症状がない=いない」ではない——ここでも、その原則が当てはまります。

そして、症状の出ていない成犬便から卵を出し続けているなら、

その庭や散歩道は少しずつ汚染されていきます。

やがて、そこに子犬が来たとき——

幼虫が待っているということになります。

成犬の便検査に意味があるのは、そのためです。

自分の犬のためだけでなく、次に来る犬のためでもあります。

便の色が教えてくれること

便の色で分かること
便の色は、出血の場所を教えてくれます。

鉤虫症では、便の色が重要な情報になります。

便の色と、出血の場所
便の様子 考えられること
黒く、タール状 小腸など、上のほうからの出血
赤い血がついている 大腸や肛門に近いところからの出血
粘り気のある血便 腸の炎症を伴っている
下痢が続く 腸が荒れている
色に変化がない それでも感染していることがある

黒いタール状の便——

これは、血が消化管を通るあいだに変色したものです。

つまり、出血が腸の上のほうで起きていることを示しています。

鉤虫が住むのは小腸ですから、この所見は鉤虫を疑う理由になります。

一方、赤い血がついた便肛門に近いところからの出血を示します。

けれど、この見分けを飼い主がする必要はありません。

写真を撮って持参する——それだけで十分です。

撮るときは、白いペットシーツや紙の上だと色が分かりやすくなります。

そして、便の色は食べたものでも変わります。薬やサプリメント、食材の種類によって黒っぽくなることもあります。

だからこそ、「最近、いつもと違うものを食べたか」もあわせて伝えてください。便の色だけで決めつけない——それも大切な姿勢です。

貧血のサインを、家で見る

貧血がどれくらい進んでいるかは、家庭でもある程度分かります。

  • 歯ぐきの色——ピンクか、白っぽいか
  • まぶたの内側の色
  • 舌の色
  • すぐ疲れる、散歩を嫌がる
  • 呼吸が速い
  • ぐったりして動かない

「歯ぐきの色を見る」——

これは、ふだんから見ておくと変化に気づきやすくなります。

健康なときの色を知らなければ、変化にも気づけない——

歯みがきのときに一緒に色も見ておくと習慣にしやすくなります。

そして、貧血が進んだ状態は緊急事態です。

ぐったりしている、呼吸が速い、歯ぐきが真っ白——その日のうちに受診してください。

治療と、予防

治療は駆虫薬が中心になります。

行われる治療
治療 目的
駆虫薬 鉤虫を駆除する
再投与 数週間あけて、もう一度
鉄剤・栄養の補給 貧血の回復を助ける
点滴 脱水や全身状態への対応
輸血 重い貧血で検討されることがある
便検査での確認 効いたかどうかを見る

「1回で終わらない」のは回虫と同じです。

多くの駆虫薬は成虫には効いても卵や、体内の幼虫には届きにくいためです。

数週間あけて、もう一度——そして便検査で確認するところまでがひとつの流れになります。

そして、貧血が重い場合は駆虫だけでは足りません。

失った血を取り戻すための治療が同時に必要になります。

そして、治療の見通し貧血がどれだけ進んでいるかで変わります。

早い段階で見つかれば、駆虫と栄養の補給で順調に回復することが多い病気です。

逆に、ぐったりするまで気づかれなかった場合——

輸血が必要になることもあります。

この差を分けるのが「歯ぐきの色を見ていたかどうか」——

そう言っても言いすぎではありません。

予防としてできること

鉤虫は湿った土の中で幼虫が待っている寄生虫です。

  • 便は、その場ですぐ片づける
  • 庭に便を残さない。土が汚染される
  • 湿った土の上に長く寝そべらせない
  • 散歩後は、足の裏を拭く
  • 子犬を迎えたら、便検査と駆虫を早めに
  • 年1回の健康診断に便検査を含める

「湿った土」幼虫にとっての好条件です。

日当たりが悪く、いつも湿っている場所——庭にそうした一角があるなら、そこで長く過ごさせないことを考えてみてください。

そして、庭に便を残さないこと。

便から出た卵が土の中で幼虫になり、そこで待ち構える——

片づけることが、そのまま予防になります。

診断は、どう行われるか

鉤虫症の診断は便検査が中心です。

行われる検査
検査 何が分かるか
便検査 顕微鏡で虫の卵を見つける
血液検査 貧血の程度、鉄の状態
身体検査 歯ぐきの色、体重、脱水
問診 年齢、来歴、生活環境
必要に応じて 他の出血の原因を除外する

鉤虫は目に見えません。

回虫のように便に虫が出てくることはほとんどないため、顕微鏡での検査が必要になります。

だからこそ、「便に何も見えないから大丈夫」とは言えないのです。

そして、血液検査で貧血の程度を確認することも重要になります。

どれくらい血が失われているか治療の急ぎ方が変わるためです。

便を持参するときのこと

  • できるだけ新しい便を持って行く
  • 乾かさないよう、ラップや袋に包む
  • 暑い時期は保冷する
  • 血が混じっていたら、その部分も含める
  • 黒いタール状なら、写真も撮っておく
  • 1回で見つからないこともある

「1回で見つからないこともある」——

虫の卵は毎日同じように出るわけではありません。

症状から強く疑われる場合は、日を変えて再検査することがあります。

「1回の検査で陰性だったから安心」と決めつけないでください。

とくに甚急性型の子犬では、虫がまだ卵を産む段階に達していないことがあります。

症状が出ているのに便から卵が出ない——そうした状況もありうるのです。

だからこそ、検査結果だけでなく症状と経過をあわせて判断されます。

人にも感染することがあります

鉤虫の幼虫は人の皮膚からも入り込むことがあります。

人の体内では成虫になれず、皮膚の下を移動する——

皮膚に線状の赤い盛り上がりが現れ、かゆみを伴うことが知られています。

  • 庭や土の上で、素足にならない
  • 犬の便を素手で触らない
  • 片づけたあとは、石けんで手を洗う
  • 子どもが土で遊んだあとも、手を洗う
  • 皮膚に線状の赤みとかゆみが出たら、医師に相談する
  • そのとき「犬を飼っている」ことを伝える

「犬を飼っている」と伝える——これが、人の側の診断を助けます。

そして、犬の定期的な駆虫は家族の健康にもつながります。

犬の体の中の虫が減れば、環境に出る卵も減るからです。

庭で家庭菜園をしている、子どもが裸足で遊ぶ——

そうした家庭では、犬のトイレの場所を分けておくことも考えてみてください。

土は、いちど汚染されると元に戻すのが難しい——

だからこそ、最初から分けておくほうが現実的です。

多頭飼いと、繁殖を考える家庭で

鉤虫は便を介して広がり、土の中で幼虫が待ちます。

そのため、同じ庭、同じトイレを使っている犬のあいだでは広がりやすくなります。

多頭飼いでの対応
場面 考えること
1頭に見つかった 全頭の便検査を相談する
庭で飼っている 土の汚染が続いていないか
新しい犬を迎える 合わせる前に便検査を
繁殖を考えている 母犬の駆虫について相談する
子犬が生まれた 早い段階で便検査と駆虫を
共通 1頭だけ治しても、また戻る

繁殖を考えている場合——

鉤虫は母乳を通じて子犬に移ります。

そして生後2週間ごろの子犬では命に関わることがある——

母犬の状態を妊娠前から整えておくことには大きな意味があります。

具体的にどう進めるかは獣医師と相談して決めてください。

そして、子犬が生まれたら早い段階で便検査を。

症状が出てからでは遅いことがあるのがこの寄生虫です。

よくある質問

Q. 鉤虫と回虫は何が違うのですか?

A. やっていることが違います。回虫は腸の中の栄養を奪いますが、鉤虫は腸の壁にかみついて血を吸います。そのため鉤虫では貧血が起こり、黒いタール状の便が見られることがあります。

Q. 皮膚から感染するのですか?

A. します。汚染された土の上を歩くだけで、幼虫が皮膚を破って体内に入り込むことがあります。「拾い食いをさせなければ大丈夫」という対策では足りません。

Q. 黒い便が出ました

A. 黒くタール状の便は、腸の上のほうからの出血を示します。鉤虫が住むのは小腸ですから、疑う理由になります。写真を撮って、その日のうちに動物病院に連絡してください。

Q. 貧血かどうか、家で分かりますか?

A. 歯ぐきの色で、ある程度分かります。健康な犬の歯ぐきはピンク色です。白っぽい、血の気がないと感じたら、その日のうちに受診してください。

Q. 子犬でとくに危険なのですか?

A. 生後2週間ごろに起こる甚急性型は、急激に進んで命に関わることがあります。体が小さい時期は、失える血の量がもともと少ないためです。

Q. 成犬なら安心ですか?

A. 成犬では症状が出にくいだけで、感染していないわけではありません。健康診断の便検査で初めて見つかることもあります。そして、便から卵を出し続けていれば環境を汚染します。

Q. 人にもうつりますか?

A. 幼虫が人の皮膚から入り込むことがあります。皮膚の下を移動し、線状の赤い盛り上がりとかゆみが出ることが知られています。庭や土の上で素足にならない、手を洗う——それが基本の対策です。

まとめ|歯ぐきの色を、見る習慣を

鉤虫は、腸にかみついて血を吸う寄生虫です。

だから、この寄生虫で問われるのは貧血に気づけるかどうか——

歯ぐきの色。

便の色。

この2つを見る習慣があれば、早い段階で気づけます。

そして、皮膚からも入ってくる——

拾い食いだけを警戒しても足りません。

庭に便を残さない。湿った土に長く寝そべらせない。

そして、子犬を迎えたら早い段階で便検査と駆虫を。

生後2週間で命に関わることもある寄生虫だからこそ、早さに意味があります。

けれど、早く見つかれば駆虫と栄養の補給で順調に回復することが多い病気でもあります。

怖い相手ではありますが、打つ手のはっきりしている相手——そう考えて、見る習慣だけ持っておいてください。

今日できる3つ

  • 1犬の歯ぐきの色を見て、健康なときの色を覚えておく
  • 2庭や散歩先に便を残さない——土の汚染を防ぐ
  • 3次の健康診断に、便検査を含めてもらうよう伝える

この寄生虫は、血を奪っていきます。歯ぐきの色を見る数秒が、早期発見につながります。

モフ@ペット好き

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の鉤虫症|腸にかみついて、血を吸う寄生虫」でした。
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