

おはようございます。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の口蓋裂|ミルクが鼻から出てくる、その理由」です。ではどうぞ!
生まれたばかりの子犬がミルクを飲もうとする——
けれど、そのミルクが鼻から出てくる——
むせて、咳き込んで、量も入っていかない——
その場面を見たならすぐに受診してください。
口蓋裂——
口の天井部分に穴が空いて口と鼻がつながった状態になる病気です。
純血の短頭種に多く見られる遺伝性の疾患だとされています。
そして、この病気で命を奪うものは穴そのものではありません。
誤嚥性肺炎です。
飲んだミルクが気管から肺へ流れ込む——
だから、手術までのあいだをどう乗り切るかがこの病気では決定的に大切になります。
結論
口蓋裂は口の天井部分に穴が空いて口と鼻がつながった状態になる病気で、純血の短頭種に多く見られる遺伝性疾患です。生後まもない子犬では哺乳してもミルクが鼻から出てきてしまい上手に飲めないほか、ミルクが気管から肺に流れ込んで誤嚥を起こし、咳や呼吸困難、肺炎などの症状が見られ、死に至る場合もあります。治療は、外科的に裂けている口蓋を整復する手術です。外科治療が終了するまでは、経胃カテーテルなどを用いてミルクや栄養食などを投与することで誤嚥性肺炎を防ぐよう管理します。手術は出生後3〜4か月から6か月の間に実施するのが一般的であり、口蓋裂の存在が確認されたあと、手術可能な大きさまで発育するための栄養管理や看護が重要になります。
この記事でわかること
- ✓ミルクが、鼻から出てくる
- ✓口の天井に、穴があいている
- ✓命を奪うのは、肺炎です
- ✓すぐには、手術できません
- ✓手術までの、育て方
- ✓手術と、その後
- ✓迎えたあとに、気づいたら
ミルクが、鼻から出てくる

この病気が見つかる場面はほとんどが哺乳のときです。
| 見えること | 起きていること |
|---|---|
| ミルクが鼻から出る | 口と鼻がつながっている |
| うまく飲めない | 吸う力が、うまく働かない |
| むせる、咳をする | 気管のほうへ流れ込んでいる |
| 体重が増えない | 必要な量が、入っていかない |
| 鼻水・くしゃみ | 鼻の側に、ミルクが入り込んでいる |
| 呼吸が苦しそう | 肺炎を起こしている可能性 |
「ミルクが鼻から出る」——
これが、もっとも特徴的なサインです。
口と鼻がつながっているのですから口に入れたものがそのまま鼻へ流れる——
単純な理屈です。
そして、母犬が育てている場合にはこの病気が気づかれにくいこともあります。
ほかの子と一緒に並んで飲んでいると1頭だけうまく飲めていないことに気づけない——
だから、体重です。
同腹の子と比べて小さいまま、増え方が遅い——
そういう子がいたら口のなかを見てみてください。
そして、吸う力もうまく働きません。
口のなかを密閉して吸い込むのが哺乳の仕組みですが穴があいていれば空気が漏れて力が入らない——
だから、一生懸命吸っているのに量が入っていかないということが起こります。
口のなかを、見てもらってください
口唇裂——唇が裂けているタイプなら見た目で分かります。
けれど、口蓋裂は口を開けて上を見なければ分かりません。
外から見て何ともなさそうでも口の天井に穴があいていることがあるのです。
哺乳がうまくいかないならまず口のなかを見てもらってください。
それだけで分かることがあります。
無理に自分でこじ開けようとせず診察のときに見てもらってください。
口の天井に、穴があいている

口蓋とは口の天井——口の上側にある壁のことです。
そのすぐ上には鼻の空間があります。
つまり、口蓋は口と鼻を仕切っている壁——
その壁が生まれつききちんと閉じていない——
それが、この病気で起きていることです。
- 母胎のなかで、左右から伸びてきた組織が閉じる
- その過程で、うまく閉じないことがある
- 結果として、口と鼻がつながったまま生まれる
- 純血の短頭種に多く見られる
- 遺伝性の疾患だとされている
- 飼い方や育て方で起きるものではない
純血の短頭種に多い——
顔が短い犬種では口や鼻の周りの構造がもともと特殊なつくりをしています。
そのことと無関係ではないと考えられています。
そして、遺伝性の疾患だとされている以上繁殖にも関わってくる情報だと言えます。
同じ親から生まれた子にも同じことが起きている可能性があるからです。
先天性の病気が見つかったときの販売元への伝え方については心室中隔欠損症の記事でも触れています。
命を奪うのは、肺炎です
この病気でもっとも警戒すべきものを書きます。
誤嚥性肺炎です。
ミルクが気管から肺に流れ込んで誤嚥を起こし、咳や呼吸困難、肺炎などの症状が見られ死に至る場合もあります。
口と鼻がつながっている——
そして、鼻の奥はのどへ、そして気管へつながっています。
だから、口から入れたミルクが気管へ流れ込みやすくなる——
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| 哺乳する | ミルクが、口から鼻へ流れる |
| 鼻からのどへ | そこで、気管の入口に達する |
| 吸い込む | 一部が、気管へ入ってしまう |
| 肺へ | そこで炎症が起きる |
| 誤嚥性肺炎 | 咳、呼吸困難が現れる |
| 進むと | 命に関わる状態になる |
生まれたばかりの子犬は体力がありません。
肺炎を起こせば短い時間で重い状態になります。
だから、この病気の管理はそのまま「誤嚥をどう防ぐか」という話になります。
同じ構造は巨大食道症でも起こります。
飲み込む道すじのどこかに問題があれば肺への危険が生まれる——
そこは、共通しています。
そして、肺炎を起こしてしまった場合——
抗菌薬や酸素の投与などそちらへの治療が先になります。
手術の話はその状態が落ち着いてから——
つまり、肺炎を起こすたびに手術できる日が遠のいていくことになります。
だから、誤嚥を防ぐことがそのまま手術への近道になるのです。
すぐには、手術できません

ここが、この病気でもっとも知っておいてほしい部分です。
「穴があいているなら早く塞いでほしい」——
そう思われるのは当然です。
けれど、手術は出生後3〜4か月から6か月の間に実施するのが一般的だとされています。
生まれてすぐには行えません。
- 体が小さすぎて、手術に耐えられない
- 麻酔の負担が、大きすぎる
- 組織が未熟で、縫い合わせても保たない
- 成長にともなって、口の形も変わっていく
- だから、育つのを待つ必要がある
- その間の管理が、勝負になる
口蓋裂の存在が確認されたあと、手術可能な大きさまで発育するための栄養管理や看護が重要だとされています。
つまり——
「育てること」そのものが最初の治療なのです。
手術を待つ時間は何もしていない時間ではありません。
そこを乗り切るための看護こそこの病気の中心です。
🩺 育てることが、最初の治療です
数か月——
その期間を誤嚥させずに栄養を入れ続ける——
それは、決して楽な道ではありません。
けれど、そこを越えられれば手術という道が開けます。
「いつ手術できるのか」を最初に聞いておくとその日まで見通しを持って続けられます。
手術までの、育て方

外科治療が終了するまでは経胃カテーテルなどを用いてミルクや栄養食などを投与することで誤嚥性肺炎を防ぐよう管理します。
「経胃カテーテル」——
口やのどを通らずに直接、胃へ栄養を届ける方法です。
飲み込む過程を飛ばしてしまえば誤嚥は起きません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 誤嚥させずに、栄養を入れる |
| 方法 | 経胃カテーテルなどを用いる |
| 回数 | 子犬は、少量を何度も必要とする |
| やり方 | 必ず、獣医師に教わってから行う |
| 体重 | 毎日量り、増えているか確かめる |
| 肺炎の兆候 | 咳、呼吸の速さ、元気のなさを見る |
この方法は必ず獣医師に教わってから行ってください。
入れる場所を間違えればそれこそ肺へ入ってしまいます。
自己流で始めない——
そこは強くお願いしておきます。
そして、1回の量と回数——
子犬の胃はとても小さいので一度にたくさんは入りません。
少量を何度も——
数時間おきに与えることになります。
一度に多く入れれば吐き戻してかえって誤嚥を招くこともあります。
「量」と「間隔」も必ず確かめておいてください。
そして、毎日の体重——
増えているかどうかがうまくいっているかのいちばん確かな指標です。
横ばい、あるいは減っているならすぐに相談してください。
そして、この期間は飼い主にとってもつらい時間だと思います。
数時間おきの授乳が何週間も続く——
夜も眠れない日があるはずです。
ひとりで抱え込まないでください。
家族で分担する、分からないことはそのつど聞く——
そして、「いつまで続けるのか」という見通しを持っておくことが支えになります。
終わりのある期間だと分かっていれば続けやすくなるからです。
肺炎の兆候を、見逃さない
どれだけ気をつけていても誤嚥が起こることはあります。
- 咳をしていないか
- 呼吸が速く、浅くなっていないか
- 体が熱くないか
- 元気がなく、動かなくなっていないか
- 飲む量が急に減っていないか
- 舌や歯ぐきの色が悪くないか
子犬は短時間で状態が変わります。
「あとで様子を見よう」では間に合わないことがある——
気になったらその時点で連絡してください。
そして、体温——
生まれたばかりの子犬は自分で体温を保つ力も弱いものです。
肺炎で熱が出ることもあれば弱って体温が下がることもあります。
触って冷たいと感じたならそれも危険な合図です。
保温しながら急いで受診してください。
子犬の管理では「温める」ことがとても大切になります。
手術と、その後
治療は、外科的に裂けている口蓋を整復する手術です。
裂けている部分を周りの組織で覆い、縫い合わせる——
口と鼻をもう一度分けることが目的です。
手術のあとにも気をつけることがあります。
- 傷が落ち着くまで、食事の形に配慮する
- 硬いものを噛ませない
- おもちゃを口に入れさせない
- 指示された期間を、必ず守る
- 再び穴が開いていないか、経過を見る
- 必要なら、複数回の手術になることもある
口のなかは唾液で常に濡れ、食べるたびに動く場所です。
傷が治りにくい環境だと言えます。
だから、術後の管理が結果を左右します。
「手術して終わり」ではなく「そこから始まる」——
そう考えて臨んでください。術後の数週間が結果を決めます。
そして、むせる場面がその後も続くなら飲み込みの記事も参考にしてください。
食事の形も、変わります
手術のあとしばらくは食べるものの形に気をつけることになります。
- やわらかいものから始める
- 硬い粒や、骨のようなものは避ける
- 大きなかたまりを飲み込ませない
- おもちゃを噛ませない
- いつから戻してよいかを、必ず確認する
- 自己判断で、早く戻さない
縫い合わせた部分に硬いものが当たれば傷が開いてしまうことがあります。
そうなればもう一度手術が必要になる——
数週間の我慢がその先を守ります。
迎えたあとに、気づいたら
軽度の口蓋裂では哺乳期をなんとか越えてしまうことがあります。
そして、迎えたあとに気づかれる——
どういう場面で気づくのか——
| 見えること | 疑う理由 |
|---|---|
| 食べたあと、くしゃみをする | 鼻に食べ物が入っている |
| 鼻水が続く | 鼻の側が、慢性的に刺激されている |
| 食べ方が下手 | うまく飲み込めていない |
| 体重が増えにくい | 必要な量が入っていない |
| 繰り返す咳 | 誤嚥を繰り返している可能性 |
| 口臭 | 食べかすがたまることがある |
子犬を迎えたなら一度、口のなかを見てもらってください。
健診やワクチンのときに「口の天井も見ておいてもらえますか」と言えば十分です。
ほかの先天性の病気——水頭症なども同じように早い時期に確かめられます。
軽度の場合には手術をせずに見ていくという判断もあります。
穴が小さく、誤嚥も起きておらず、体重も順調なら急いで手術する理由がない——
ただし、その場合にも定期的に見てもらってください。
成長にともなって状態が変わることもあるからです。
そして、咳が増えた、食べ方が変わったなら予定を待たずに受診してください。
そして、歯の生え方にも目を向けてみてください。
口のなかの発育に関わる問題はほかにもあり歯の形成の異常なども知られています。
よくある質問
Q. 口蓋裂とはどんな病気ですか?
A. 口の天井部分に穴が空いて、口と鼻がつながった状態になる病気です。純血の短頭種に多く見られる遺伝性疾患だとされています。生まれつきのもので、飼い方や育て方で起きるものではありません。
Q. どんなサインで気づきますか?
A. 哺乳してもミルクが鼻から出てきてしまうことです。上手に飲めない、むせる、体重が増えないといった様子も見られます。口を開けて上を見なければ分からないため、口のなかを診てもらってください。
Q. いちばん怖いのは何ですか?
A. 誤嚥性肺炎です。ミルクが気管から肺に流れ込んで誤嚥を起こし、咳や呼吸困難、肺炎などの症状が見られ、死に至る場合もあります。
Q. すぐに手術できないのですか?
A. 手術は出生後3〜4か月から6か月の間に実施するのが一般的です。生まれてすぐでは体が小さく、麻酔の負担も大きすぎます。手術可能な大きさまで発育するための栄養管理や看護が重要になります。
Q. 手術までは、どう栄養を入れますか?
A. 経胃カテーテルなどを用いて、ミルクや栄養食を投与します。口やのどを通らずに直接胃へ届けることで、誤嚥性肺炎を防ぎます。必ず獣医師にやり方を教わってから行ってください。
Q. 手術のあとは、もう安心ですか?
A. 術後の管理が結果を左右します。口のなかは唾液で常に濡れ、食べるたびに動くため、傷が治りにくい環境です。硬いものを噛ませない、おもちゃを口に入れさせないなど、指示された期間を必ず守ってください。
Q. 迎えたあとに気づくことはありますか?
A. 軽度なら、哺乳期を越えてしまうことがあります。食べたあとにくしゃみをする、鼻水が続く、繰り返す咳——そうした様子があれば、口のなかを診てもらってください。
まとめ|育てることが、最初の治療です
この病気で知っておいてほしいことは2つです。
ひとつは、ミルクが鼻から出るという分かりやすいサインがあること。
口と鼻がつながっているのですからそうなります。
もうひとつは、すぐには手術できないということです。
手術は生後3〜4か月から6か月の間——
それまでのあいだを誤嚥させずに栄養を入れ続け、手術できる大きさまで育てる——
その期間そのものが治療です。
楽な道ではありません。
けれど、そこを越えられれば口と鼻をもう一度分けることができます。
そして、そのあとはふつうに食べられるようになる——
手術というはっきりした出口がある病気だということは支えになるはずです。
いま、数時間おきの授乳を続けておられるなら——
その一回一回が手術できる日へ近づけています。
今日できる3つ
- 1哺乳のとき、ミルクが鼻から出ていないか見る
- 2子犬を迎えたら、口の天井も診てもらう
- 3咳・速い呼吸・元気のなさがあれば、その時点で連絡する
命を奪うのは、穴そのものではありません。誤嚥をどう防ぐか——そこが分かれ目です。

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