

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の外耳炎|耳垢の色で、原因が絞れます」です。ではどうぞ!
外耳炎は、動物病院での診察の中でも最も多い病気のひとつです。
けれど「外耳炎です」と言われただけでは、まだ半分です。
外耳炎は病名というより、耳が炎症を起こしている「状態」を指す言葉だからです。
ダニなのか、カビなのか、細菌なのか。そこを確かめないかぎり、同じことがくり返されます。
結論
外耳炎は耳の入り口から鼓膜までのあいだで起こる炎症で、動物病院での診察の中でも最も多い病気のひとつです。症状は首を振ったり傾けたりする仕草、後肢で耳を引っかく仕草、耳の赤み、腫脹、悪臭、耳垢の増加などです。原因は耳道に溜まった耳垢に細菌や真菌が増殖して起こるもの、耳ダニ(耳ヒゼンダニ)によるもの、アレルギーなどがあり、特に屋外に出る猫では、耳ヒゼンダニ症により外耳炎が起こっている例もよくみられます。治療は汚れがひどい場合には耳道内の清浄を行い、その後、点耳薬などで治療します。耳ダニが原因の場合は駆虫薬を使用し、アレルギーなど基礎疾患がある場合はその治療も行います。治療期間は急性の外耳炎の場合10〜15日、慢性化した場合は2か月ほどかかってしまうことがあります。
この記事でわかること
- ✓外耳炎は、状態の名前です
- ✓頭を振っていたら、耳を見てください
- ✓耳垢の色で、原因が絞れます
- ✓猫では、耳ダニが大きな原因です
- ✓綿棒は、使わないでください
- ✓治療は、洗ってから薬です
- ✓早いほど、短く済みます
- ✓くり返すときに、考えること
外耳炎は、状態の名前です
鼻炎や皮膚炎と同じで、外耳炎も「そこが炎症を起こしている」ことを示す言葉です。
なぜ炎症が起きたのかは、そこから別に探すことになります。
原因によって治療法は異なります。だから、突き止める意味があります。
原因は、いくつもあります
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 耳ヒゼンダニ | 強いかゆみ。黒っぽい耳垢が大量に出る |
| マラセチア(酵母) | 茶褐色でべたつく耳垢。独特のにおい |
| 細菌 | 黄色っぽい、膿のような耳垢 |
| アレルギー | くり返す。ほかの場所にも症状が出ることも |
| 異物 | 片側だけ。急に始まる |
| 腫瘍やポリープ | 片側だけ、治らない。血が混じることも |
複数が重なっていることも、よくあります。
ダニが引き金になり、そこに細菌が加わる——そういう順番で悪くなっていくことがあります。その場合、両方に手を打たなければ治りません。
頭を振っていたら、耳を見てください

猫が首を振ったり傾けたりする仕草や、後肢で耳を引っかく仕草がみられます。
その他に耳の赤み、腫脹、悪臭、耳垢の増加などの症状があります。
頭を振るのは、耳のサインです
猫がぶるぶると頭を振るのは、耳の中に不快なものがあるときの反応です。
ときどきなら問題ありません。けれど頻繁になっているなら、耳を見てください。一日に何度も振っているなら、それは訴えです。
- しきりに頭を振る、傾ける
- 後ろ足で、耳のあたりを引っかく
- 耳垢の量が増えている
- 耳の中が赤い、腫れている
- においがする
- 耳を触られるのを嫌がるようになった
片側だけを気にしているなら、その情報も伝えてください。片側だけの外耳炎は、異物や腫瘍を考える理由になります。
耳垢の色で、原因が絞れます

家で確かめられることのうち、いちばん役に立つのが耳垢です。
色、湿り気、におい——この三つで、かなり絞り込めます。
黒くて乾いていたら、ダニを考えます
耳ダニが原因の場合、強い痒みが出るほか、黒っぽい水垢が大量に出る特徴があります。
コーヒーかすのような、黒くてぽろぽろした耳垢——それが耳ヒゼンダニの典型的な形です。
そしてかゆみが非常に強いのも特徴です。
茶褐色でべたついていたら、カビを考えます
マラセチアが増えている場合は、茶褐色のべたついた耳垢になります。
そして酸っぱく脂っぽい、独特の悪臭がします。
「におうかどうか」で、この二つはかなり区別できます。ダニによる耳垢は、それほどにおいません。
受診のとき、こう伝えてください
「黒くて乾いた耳垢が出ます」「茶色くてべたついています」「においがします」——
この情報があるだけで、検査の方向が絞れます。耳垢を綿棒で少し取って、持っていくのもよい方法です。
猫では、耳ダニが大きな原因です
犬の外耳炎では、細菌やマラセチアが中心になります。
けれど猫では耳ダニの存在が大きくなります。
特に屋外に出る猫では、耳ヒゼンダニ症により外耳炎が起こっている例もよくみられます。
だから、うつることがあります
耳ダニが原因の場合、ほかの猫にうつります。
外耳炎そのものはうつる病気ではありませんが、その原因がダニなら話が違います。
多頭飼いで、複数の猫が耳をかいているなら、ダニの可能性を強く考えます。
その場合は全頭をまとめて治療することになります。
保護したばかりの猫では、とくに
外で暮らしていた猫、保護されたばかりの子猫では耳ダニがいることがよくあります。
迎えたら、まず耳を見る——そして先住猫と合流させる前に確かめることをおすすめします。
黒い耳垢がびっしりということもめずらしくありません。そして、そのままにしておけば家じゅうの猫に広がってしまいます。
綿棒は、使わないでください

耳の掃除について、いちばん多い誤解がここです。
綿棒を深く耳に入れると、耳傷や感染のリスクが高まります。
猫の耳の穴は、L字に曲がっています
人の耳とは、構造が違います。
猫の耳の穴はまず縦に下り、途中で横に折れて鼓膜へ続きます。
だから外からは、奥が見えません。
綿棒を入れれば、汚れを曲がり角の先へ押し込むことになります。
取っているつもりで、詰めている——それが起きてしまいます。
見える範囲だけを、拭いてください
家でできるのは、耳をめくって見える部分をやさしく拭くことだけです。
- 綿棒を、耳の穴に入れない
- 見える範囲を、やわらかい布で拭く
- 洗浄液は、獣医師にすすめられたものを使う
- 頻度も、指示された範囲で行う
- 猫が痛がるなら、無理に続けない
- 掃除しすぎない(刺激で炎症が起きる)
洗いすぎも、炎症のもとになります。きれいにしようとして毎日こすれば、皮膚を傷つけてしまいます。
掃除より、観察のほうが大事です。健康な猫の耳は、自分できれいを保てます。毎日こすってやる必要はありません。
耳の中は、どう調べるのか
診察では、耳鏡という器具を使って耳の奥を見ます。
| 検査 | 分かること |
|---|---|
| 耳鏡での観察 | 耳道の奥、鼓膜の状態、異物の有無 |
| 耳垢の顕微鏡検査 | ダニ、マラセチア、細菌のどれがいるか |
| 培養検査 | 細菌の種類と、効く薬を調べる |
| 皮膚の検査 | 耳以外にも症状がないかを確かめる |
| 血液検査 | くり返す場合、背景の病気を探す |
| 画像検査 | 中耳まで進んでいないかを見る |
耳垢を顕微鏡で見る——この検査が、原因を分ける決め手になります。
その場で結果が出ることも多く、その日のうちに治療の方向が決まります。
治療は、洗ってから薬です
一般的に汚れがひどい場合には耳道内の清浄を行うことが多く、その後、点耳薬などで治療を行います。
汚れが残ったままでは、薬が届きません。だから、まず洗います。
洗浄は、病院で行います
耳道の洗浄は、病院で行うものです。
鼓膜の状態によっては、使えない洗浄液があります。
鼓膜が破れているときに合わない液を入れれば、中耳にまで影響が出ることがあります。
だから、自己流で洗わないのです。市販の洗浄液を買う前に、一度診てもらってください。
原因ごとに、使う薬が変わります
| 原因 | 使うもの |
|---|---|
| 耳ダニ | 駆虫薬を使用する |
| マラセチア | 抗真菌薬を使う |
| 細菌 | 抗生物質を使う |
| 炎症が強い | 炎症を抑える薬を足す |
| アレルギー | 基礎疾患のほうを治療する |
| 複数が重なる | 組み合わせて使う |
耳ダニが原因の場合は駆虫薬を使用し、アレルギーなど基礎疾患がある場合はその治療も行います。
「耳の薬をもらったのに治らない」という場合、相手が違っていた可能性があります。抗生物質は、ダニにもカビにも効きません。
早いほど、短く済みます

治療期間は急性の外耳炎の場合10〜15日、慢性化した場合は2か月ほど、完治するまでにかかってしまうことがあります。
十日と、二か月——この差は、気づくのが早いかどうかで決まります。
慢性化すると、耳の形が変わります
炎症が長く続くと、耳の穴そのものが狭くなっていくことがあります。
壁が厚くなり、通り道がふさがれていく——そうなると洗浄液も薬も届きにくくなります。
治療が難しくなるのは、この段階です。手術が必要になることさえあります。
「そのうち治るだろう」で過ごした時間が、そのまま治療期間に加算されます。そして、狭くなった耳道は元には戻りません。
放っておくと、奥へ進みます
外耳炎の合併症として最もよく知られているのは中耳炎です。
中耳炎は、外耳道から中耳に炎症が広がる病気で、耳の痛みや膿の排出、頭を傾けたり振ったりすることが症状になります。
さらに奥へ進めば、ふらつきや、顔の神経の症状が出ることもあります。
⚠ この様子なら、早めに受診してください
- 頭を、いつも傾けている
- まっすぐ歩けない、ふらつく
- 耳から、膿のようなものが出ている
- 耳を触ると、強く痛がる
- 顔の片側が、下がって見える
- 元気や食欲が落ちてきた
頭を傾けたままという様子は、炎症が奥へ進んでいる可能性を示します。外耳炎の段階を越えているかもしれません。
点耳薬の、さし方
家で点耳薬を使うことになります。正しくさせているかどうかで、効き方が変わります。
- 耳をやさしく引き上げ、穴をまっすぐにする
- 指示された量を、耳の中に落とす
- 耳の付け根を、やさしく揉んで行き渡らせる
- 猫が頭を振っても、それはふつうのこと
- あふれた分は、拭き取ってよい
- 終わったら、おやつなどでよい記憶にする
耳の付け根を揉むのは、薬を曲がった先まで届けるためです。落とすだけでは、奥に届きません。
嫌がる猫では、短く手早く済ませることが大切です。毎回長く押さえつければ、次から逃げるようになります。
くり返すときに、考えること
外耳炎で困るのは、くり返すことです。
治療すればよくなる。けれどしばらくすると、また同じになる。
そのくり返しには、理由があります。
| くり返す理由 | 確かめること |
|---|---|
| 基礎疾患がある | アレルギーなどが下にないか |
| 原因が違っていた | 耳垢の検査で、何がいるか確かめたか |
| 治療が途中で終わった | 見た目で判断していないか |
| 片側だけくり返す | 異物やポリープ、腫瘍がないか |
| 同居猫からうつっている | 耳ダニなら、全頭治療が必要 |
| 耳の構造の問題 | 通気が悪い、狭くなっていないか |
片側だけくり返す場合は、とくに調べる価値があります。
耳の中のできものやポリープがそこにある可能性があるためです。
見た目で、やめないでください
耳がきれいになると、治ったように見えます。
けれど、奥ではまだ炎症が残っていることがあります。
「あと何日ですか」を確かめて、決められた期間を続けてください。
そして治ったかどうかを、もう一度診てもらう——その一回が、くり返しを防ぎます。
再診では耳垢をもう一度顕微鏡で見て、原因がいなくなったかを確かめます。
見た目がきれいでも、まだ残っていることがあります。そこで終わりにできるかどうかを、判断してもらってください。
🩺 獣医療の現場では
「洗ってもらうと、しばらくよくなる」——この訴えを三度くり返したら、立ち止まる合図です。
洗浄は、いまの汚れを取ります。けれど汚れがたまる理由が残っていれば、また戻ります。「原因を調べる方法はありますか」と聞いてみてください。
よくある質問
Q. 外耳炎とは、どんな病気ですか?
A. 耳の入り口から鼓膜までのあいだで起こる炎症です。動物病院での診察の中でも最も多い病気のひとつですが、病名というより「状態」を指す言葉です。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 首を振ったり傾けたりする仕草、後肢で耳を引っかく仕草がみられます。そのほか、耳の赤み、腫れ、悪臭、耳垢の増加などがあります。
Q. 耳垢から、原因が分かりますか?
A. かなり絞れます。黒くて乾いていれば耳ダニ、茶褐色でべたついていればマラセチア、黄色っぽく膿のようなら細菌を考えます。
Q. 猫では、何が多い原因ですか?
A. 耳ダニ(耳ヒゼンダニ)が大きな原因になります。特に屋外に出る猫では、耳ヒゼンダニ症により外耳炎が起こっている例がよくみられます。
Q. ほかの猫にうつりますか?
A. 原因によります。外耳炎そのものはうつりませんが、耳ダニが原因ならうつります。多頭飼いで複数の猫が耳をかいているなら、全頭の治療が必要です。
Q. 綿棒で掃除してもよいですか?
A. 使わないでください。猫の耳の穴はL字に曲がっているため、綿棒では汚れを奥へ押し込んでしまいます。見える範囲を、やわらかい布で拭く程度にしてください。
Q. 家で耳を洗ってもよいですか?
A. 自己流では行わないでください。鼓膜の状態によっては使えない洗浄液があります。まず診てもらってから、指示された方法で行ってください。
Q. 治療はどうしますか?
A. 汚れがひどい場合はまず耳道内を洗浄し、その後、点耳薬で治療します。耳ダニが原因なら駆虫薬を使い、アレルギーなど基礎疾患があればその治療も行います。
Q. どのくらいで治りますか?
A. 急性の外耳炎なら10〜15日ほどです。ただし慢性化した場合は、完治まで2か月ほどかかることがあります。
Q. 放っておくと、どうなりますか?
A. 中耳炎に進むことがあります。耳の痛みや膿の排出、頭を傾けたり振ったりする症状が出ます。また、慢性化すると耳の穴そのものが狭くなっていくこともあります。
Q. 何度もくり返します
A. 背景に理由があります。アレルギーなどの基礎疾患、原因の見誤り、治療の中断、同居猫からの再感染などを確かめてください。
Q. 片側だけくり返します
A. その側に、物理的な原因があるかもしれません。異物、ポリープ、腫瘍などの可能性があるため、調べてもらう価値があります。
まとめ|「外耳炎です」の、その先へ
外耳炎は、とても多い病気です。そして、とてもくり返しやすい病気でもあります。
その理由は、外耳炎が「状態」の名前だからです。
ダニなのか、カビなのか、細菌なのか。そこを確かめないまま洗って薬をさしても、また同じところに戻ってきます。
家でできるのは、耳垢の色と、においを見ることです。
その情報を持って受診すれば、「その先」へ早くたどり着けます。
そして、この病気は早く気づけば十日で終わり、遅れれば二か月かかるものです。
頭を振る回数が増えた——その段階で耳を見るだけで、その差を埋められます。
今日できる3つ
- 1耳をめくって、耳垢の色と湿り気を見てみる
- 2耳に鼻を近づけて、においがしないか確かめる
- 3頭を振る回数が増えていないか、様子を見ておく
外耳炎は、原因を突き止めるための入り口です。そこで止まらないでください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「猫の外耳炎|耳垢の色で、原因が絞れます」でした。
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