

おはようございます。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「猫の腎盂腎炎|これは、治せる腎臓の病気です」です。ではどうぞ!
腎臓の病気と聞くと
「治らないもの」だと思われるかもしれません。
実際、その多くはそうです。
けれど、この病気は違います。
腎盂腎炎——
細菌が下から上がってきて
腎臓で炎症を起こす病気です。
原因が細菌だということは
それを抑えれば終わるということ——
治せるのです。
けれど、この病気にはもうひとつの顔があります。
気づかれないまま慢性腎不全へ移っていく——
治せるはずのものが治せないものに変わってしまうのです。
結論
腎盂腎炎は腎臓の腎盂や尿管などを含む上部尿路に感染が認められる疾患で、一般に膀胱や尿道などの下部尿路感染症から合併します。主に細菌感染が原因で、細菌が尿道から尿管を通って腎盂に侵入し、感染が広がることがあります。急性型では発熱や食欲不振、嘔吐、腎臓の圧痛を認め、慢性型では多飲多尿以外には無症状のことも多く、徐々に慢性腎不全に移行します。尿検査で細菌感染が認められ、発熱や嘔吐などの症状と、血液検査で炎症マーカーの上昇が認められれば、腎盂腎炎が強く疑われます。治療では抗生物質を投与し、適切な抗生物質を選ぶために尿の細菌検査を実施します。抗菌剤は少なくとも10〜14日間、投与し続ける必要があります。
この記事でわかること
- ✓これは、治せる腎臓の病気です
- ✓細菌は、下から上がってきます
- ✓急性型は、熱が出ます
- ✓慢性型は、多飲多尿だけです
- ✓尿検査で、見つかります
- ✓抗菌剤は、10〜14日以上
- ✓膀胱炎を、放っておかないでください
これは、治せる腎臓の病気です

腎臓の病気を3つに並べてみます。
| 病気 | 見通し |
|---|---|
| 慢性腎臓病 | 失われた機能は戻らない |
| 急性腎不全 | 初期なら、戻る可能性がある |
| 腎盂腎炎 | 原因が細菌なので、治せる |
| なぜ違うのか | この病気だけ、原因が外から来たものだから |
| だから | それを抑えれば、終わりにできる |
| けれど | 見つからなければ、慢性へ移っていく |
慢性腎臓病では腎臓そのものが失われていきます。
けれど、この病気は細菌が入ってきたもの——
だから、その細菌を抑えれば
そこで終わりにすることができます。
失われた腎臓を取り戻すのではなく
これ以上傷めさせない——
そういう止め方ができるのです。
「治せる」ということばが
腎臓の話のなかで使えるのは
とてもめずらしいことです。
だからこそ、見つける価値が大きいのです。
腎盂とは、どこのことか
聞き慣れないことばだと思います。
腎盂(じんう)とは腎臓でつくられた尿が
いったん集まる場所——
| 場所 | 役割 |
|---|---|
| 腎臓 | 血液から尿をつくる |
| 腎盂 | つくられた尿が集まる、腎臓の出口 |
| 尿管 | 腎盂から膀胱へ、尿を運ぶ管 |
| 膀胱 | 尿をためておく袋 |
| 尿道 | 膀胱から外へ出す管 |
| この病気は | 下の3つから、上の2つへ広がったもの |
膀胱や尿道を「下部尿路」——
腎臓や腎盂、尿管を「上部尿路」と呼びます。
この病気は上部尿路に感染が認められる疾患——
つまり、腎臓側に来てしまったということです。
細菌は、下から上がってきます

この病気を理解するときの鍵は「方向」です。
腎盂腎炎は腎臓の腎盂や尿管などを含む上部尿路に感染が認められる疾患で
一般に膀胱や尿道などの下部尿路感染症から合併します。
- 始まりは、膀胱や尿道
- そこに細菌が入る
- 細菌が尿道から尿管を通って、上へ向かう
- 腎盂に侵入し、感染が広がる
- つまり、腎臓が最初ではない
- 下の問題を放っておくと、上へ来る
尿は本来上から下へ流れます。
けれど、細菌はその流れをさかのぼることがあります。
だから、膀胱の感染が腎臓まで届くのです。
そして、尿の流れが滞るようなことがあると
上がってきやすくなります。
結石があって流れが悪い我慢して尿がたまっている——
そういう状態が後押ししてしまうのです。
⚠ 膀胱炎は、腎臓の入口です
「膀胱炎くらい」と思われることがあります。
けれど、この病気はその延長線上にあります。
下部尿路感染症から合併する——
つまり、下を放っておいた結果として
上に来ることがあるのです。
「膀胱炎をしっかり治す」ことがそのまま腎臓を守ります。
急性型は、熱が出ます
この病気には2つの型があります。
まず、急性型——
急性型では発熱や食欲不振、嘔吐、腎臓の圧痛を認めます。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 発熱 | 感染が起きているしるし |
| 食欲不振 | 具合が悪く、食べられなくなる |
| 嘔吐 | 吐き気が出てくる |
| 腎臓の圧痛 | 腰のあたりを触ると痛がる |
| 元気がない | 動きたがらなくなる |
| だから | 具合が悪くて受診することになる |
「熱がある」——
猫の病気で熱が出るものは限られています。
だから、発熱は手がかりになります。
そして、腎臓の圧痛——
腰のあたりを触られるのを嫌がる——
抱き上げたときに鳴く——
そういう変化も伝えてほしい情報です。
ふだん触らせてくれる場所を急に嫌がる——
それは、そこが痛いという合図です。
急性型はつらいですが
「気づける」という点ではまだよいのです。
熱があるかどうかは、分かりにくい
「熱が出る」と書きましたが
猫の熱は家では分かりにくいものです。
- 耳や肉球が熱く感じることがある
- けれど、それだけでは判断できない
- じっとして動かなくなる
- 丸まって、寝てばかりいる
- 触られるのを嫌がる
- いちばん確かなのは、体温を測ること
「なんとなく元気がない」という感覚を
数字にできると判断が早くなります。
体温計を用意して元気なときの平熱を知っておく——
難しければ「じっとして動かない」ということだけでも
伝えてください。
慢性型は、多飲多尿だけです

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
慢性型では多飲多尿以外には無症状のことも多く
徐々に慢性腎不全に移行します。
この一文には重いことが書かれています。
- 症状が、多飲多尿しかない
- 元気も食欲もあることが多い
- だから、受診のきっかけがない
- その間に、腎臓が傷んでいく
- 徐々に慢性腎不全へ移行する
- 治せるはずのものが、治せなくなる
「水をよく飲むようになった」——
その症状でまず考えるのは慢性腎臓病です。
けれど、その裏に
治せる感染が隠れていることがあるのです。
だから、多飲多尿で受診したときには
尿検査もあわせて受けてください。
「尿検査もお願いします」の一言を
血液検査だけではこの病気は見つかりません。
尿検査で細菌感染が認められ
発熱や嘔吐などの症状と、血液検査で炎症マーカーの上昇が認められれば
腎盂腎炎が強く疑われます。
つまり、尿を見なければ始まらないのです。
「尿検査もお願いします」——
その一言が治せる病気を見つけます。
尿検査で、見つかります
診断にはいくつかの材料が組み合わされます。
| 調べること | 分かること |
|---|---|
| 尿検査 | 細菌感染が認められるか |
| 症状 | 発熱や嘔吐などがあるか |
| 血液検査 | 炎症マーカーの上昇があるか |
| この3つが揃うと | 腎盂腎炎が強く疑われる |
| 尿の細菌検査 | 適切な抗生物質を選ぶために行う |
| 画像検査 | 腎臓の状態や、結石の有無を見る |
とくに大事なのが尿の細菌検査です。
「どの菌か」が分かれば
「どの薬が効くか」も分かります。
適切な抗生物質を選ぶために尿の細菌検査を実施します。
「結果が出るまで時間がかかる」と言われることがあります。
その間も治療は始まっています。
結果が出たら薬を変えることもあります。
それは、より効くものに切り替えているということです。
尿は、どうやって採るのか
「尿検査をしてください」と言われたとき
どう採ればよいのかで困られることがあります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 家で採る | 専用の砂や、おたまのような器具を使う |
| ペットシーツ | 砂を減らし、シーツに吸わせて絞る方法も |
| 持っていく | できるだけ新しいものを、清潔な容器で |
| 病院で採る | お腹から針で直接採る方法もある |
| 細菌検査には | 病院で採ったもののほうが確かなことも |
| 迷ったら | 「どう採ればよいですか」と聞く |
細菌がいるかどうかを調べるときには
途中で汚れていない尿が必要になります。
だから、「病院で採らせてください」と言われることがあります。
それは、確かな結果を出すためです。
抗菌剤は、10〜14日以上

この病気でいちばん多いつまずきがここです。
腎盂腎炎の原因となっている細菌を抑えるために抗生物質を投与します。
そして、抗菌剤は少なくとも10〜14日間、投与し続ける必要があります。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 数日で | 熱が下がり、元気が戻ってくる |
| 1週間で | 見た目はすっかりよくなる |
| ここでやめると | 残った菌から、また増える |
| 10〜14日 | 少なくとも、この期間が必要とされる |
| なぜ長いのか | 腎臓の奥まで薬を届かせる必要がある |
| 終了の判断 | 尿検査で確かめてから決める |
「もう元気だから」と途中でやめてしまう——
それが、この病気でいちばん避けたいことです。
治せる病気を治しきれずに終わらせると
くすぶった感染が残ります。
そして、それが慢性型になっていく——
「徐々に慢性腎不全に移行する」という道に入ってしまいます。
そして、もうひとつ——
中途半端に薬を使うと
生き残った菌がその薬に強くなります。
次に同じ薬を使っても効かなくなる——
「短く、何度も」はいちばん避けたい使い方です。
決められた期間を最後まで——
それが、この先の選択肢を守ります。
🩺 飲ませられないときは、言ってください
猫に2週間薬を飲ませ続けるのは楽なことではありません。
嫌がる吐き出す逃げる——
そういうときはそのまま伝えてください。
飲ませ方を教えてもらえたり
形を変えられたりすることがあります。
「飲ませられていない」のを黙っていることがいちばんよくありません。
膀胱炎を、放っておかないでください
この病気を防ぐいちばんの方法は
下部尿路の問題をきちんと終わらせることです。
- 頻尿や血尿が続くなら、放っておかない
- 「治ったように見えた」で、通院をやめない
- すすめられた期間は、薬を続ける
- 再発を繰り返すなら、原因を調べてもらう
- 結石があるなら、そちらへの対応も必要
- 水分を増やし、尿をためすぎないようにする
膀胱や尿道の感染については下部尿路感染症にまとめています。
血尿が気になるなら血尿症もあわせてご覧ください。
そして、膀胱結石があると
感染が繰り返しやすくなります。
石がそこにあるかぎり
菌が住みつく場所が残るからです。
抗生物質でいったん抑えても
石をそのままにしていればまた戻ってきます。
そこまで含めて相談してください。
繰り返すときに、考えること
治療しても何度も起きる——
そういうときには背景を探します。
| 背景 | 確かめること |
|---|---|
| 結石 | 画像検査で、有無を確かめる |
| 腎臓の形の問題 | もともとの構造が関わることも |
| 糖尿病 | 感染しやすくなる背景になる |
| 免疫が落ちる病気 | 抵抗力が下がっていないか |
| 薬が足りていない | 期間や種類が合っているか |
| いずれも | 「なぜ繰り返すか」を調べる必要がある |
「また抗生物質をもらう」を繰り返すだけでは
いつか効かなくなります。
繰り返しているのなら
「なぜ繰り返すのか調べたい」と伝えてください。
そこから本当の解決が始まります。
水分が、いちばんの予防になります
細菌が上がってくるのを防ぐには
尿を流し続けることが効きます。
- 尿の量が多ければ、菌が洗い流されやすい
- ためこむほど、菌が増える時間ができる
- だから、水分を増やすことが予防になる
- ウェットフードで、食事から水分を摂らせる
- 水の器を増やし、飲みやすくする
- トイレを清潔にして、我慢させない
「トイレが汚れている」と猫は我慢します。
我慢すれば尿が膀胱にとどまります。
そのあいだに菌が増えていく——
掃除の回数が腎臓を守ることにつながるのです。
遠回りに見えますが
いちばん確実な予防です。
よくある質問
Q. 腎盂腎炎とは、どんな病気ですか?
A. 腎臓の腎盂や尿管などを含む上部尿路に感染が認められる疾患です。一般に、膀胱や尿道などの下部尿路感染症から合併します。
Q. 原因は何ですか?
A. 主に細菌感染です。細菌が尿道から尿管を通って腎盂に侵入し、感染が広がることがあります。
Q. 治りますか?
A. 治せる病気です。原因が細菌なので、抗生物質でそれを抑えれば終わりにできます。腎臓の病気としては、めずらしい立ち位置になります。
Q. どんな症状が出ますか?
A. 型によって、まったく違います。急性型では発熱や食欲不振、嘔吐、腎臓の圧痛を認めます。慢性型では多飲多尿以外には無症状のことも多くなります。
Q. 慢性型は、どうなりますか?
A. 徐々に慢性腎不全に移行します。症状が多飲多尿しかないため受診のきっかけがなく、その間に腎臓が傷んでいきます。治せるはずのものが、治せなくなってしまいます。
Q. どうやって診断しますか?
A. 尿検査で細菌感染が認められることが出発点です。発熱や嘔吐などの症状と、血液検査で炎症マーカーの上昇が認められれば、腎盂腎炎が強く疑われます。
Q. 薬はどのくらい飲ませますか?
A. 抗菌剤は、少なくとも10〜14日間、投与し続ける必要があります。数日で熱が下がり元気が戻りますが、そこでやめると残った菌からまた増えます。
Q. 元気になったので、やめてよいですか?
A. やめないでください。治せる病気を治しきれずに終わらせると、くすぶった感染が残り、慢性型になっていくことがあります。
Q. 尿は、どうやって採ればよいですか?
A. 採り方を聞いてから用意してください。専用の砂や器具を使う方法、ペットシーツに吸わせる方法などがあります。ただし細菌を調べるときは、途中で汚れていない尿が必要なため、病院で採らせてほしいと言われることもあります。
Q. 予防できますか?
A. 水分とトイレが、いちばんの予防になります。尿の量が多ければ菌が洗い流されやすく、ためこむほど菌が増える時間ができてしまいます。トイレを清潔に保ち、我慢させないことも大切です。
Q. 何度も繰り返します
A. 背景を調べる段階です。結石、腎臓の構造、糖尿病、免疫の状態などが関わることがあります。抗生物質を繰り返すだけでは、いつか効かなくなります。
まとめ|多飲多尿なら、尿も調べてください
この病気でいちばん伝えたかったことは
「治せるうちに見つけてほしい」ということです。
急性型なら熱が出るので気づけます。
けれど、慢性型は多飲多尿だけ——
そして、気づかれないまま徐々に慢性腎不全へ移っていきます。
「水をよく飲むようになった」ときには
血液検査だけでなく尿検査もお願いしてみてください。
そこに、治せるものが隠れていることがあります。
そして、見つかったのなら——
決められた期間を最後まで続けてください。
途中でやめることは治せる病気を手放すことになります。
今日できる3つ
- 1多飲多尿があるなら、次の受診で尿検査もお願いする
- 2膀胱炎の薬が残っているなら、指示された期間を守る
- 3血尿や頻尿を繰り返しているか、思い出してみる
腎臓の病気で「治せる」と言えるものは、多くありません。だからこそ、見逃さないでください。

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