

こんばんは。
今回「犬猫の悩みを即解決!」が自信を持ってお届けする記事は「犬の難聴|呼んでも来ないのは、無視ではありません」です。ではどうぞ!
呼んでも、来ない。
名前を呼ぶと以前はすぐ顔を上げたのに最近は何度も呼ばないと気づかない——
寝ているとき、そばで物音がしても起きなくなった——
「言うことを聞かなくなった」と感じておられるかもしれません。
けれど、それは無視しているのではなく聞こえていない——という可能性があります。
犬の難聴は気づかれにくい変化です。
本人は「聞こえません」と言えません。そして、見た目には何も変わりません。
だから、「性格が変わった」「頑固になった」と受け取られてしまう——
そしてもうひとつ、知っておいてほしいことがあります。
難聴のなかには治療で戻るものがあります。
結論
犬の難聴にはいくつかの入口があります。生まれつきの難聴の多くは毛色を決める遺伝子と関わっているとされており、白い斑を作るパイボールド遺伝子やマール遺伝子を持つ犬種で見られやすくなります。加齢による難聴は音の振動を伝える耳小骨の動きが弱まることで起こり、高齢の犬では珍しくありません。そのほか、外耳炎・中耳炎・内耳炎などの炎症、薬の副作用、頭の外傷、神経や脳の問題も原因になります。高齢の犬に多い甲状腺機能低下症も難聴を起こすことが知られています。炎症やホルモンの病気が背景なら、治療で聞こえが戻ることもあります。
この記事でわかること
- ✓「無視している」のではありません
- ✓生まれつきの難聴は、毛色と関わります
- ✓歳を重ねて、聞こえなくなること
- ✓治せる難聴も、あります
- ✓自宅での、確かめ方
- ✓聞こえない犬との、暮らし方
- ✓受診と、検査
「無視している」のではありません

難聴が気づかれにくい理由から書きます。
犬は、音以外のものからもたくさんの情報を得ています。
| 手がかり | 説明 |
|---|---|
| 床の振動 | 足音は、床を伝わって届く |
| 空気の動き | 人が近づけば、風の変化がある |
| におい | 誰が来たかは、においで分かる |
| 視線と表情 | 飼い主の動きをよく見ている |
| 生活のリズム | 時間や、いつもの動作を覚えている |
| 結果として | 聞こえていなくても、それなりに対応できる |
だから、難聴が進んでいても「ふつうに暮らしているように見える」——
これが、気づきが遅れる最大の理由です。
「呼べば来る」と思っていても——
実際にはこちらが近づく足音の振動や視界に入った動きで気づいていたということがあります。
- 後ろから呼んでも、振り向かない
- 寝ているとき、物音で起きなくなった
- インターホンやチャイムに反応しない
- 雷や花火を、こわがらなくなった
- 吠え声が、以前より大きくなった
- 呼びかけへの反応が、遅れるようになった
「こわがらなくなった」——
これを「落ち着いてきた」と受け取ってしまうことがあります。
けれど、雷を怖がっていた犬が急に平気になったなら聞こえていない可能性を考えてみてください。
そして吠え声が大きくなる——
自分の声が聞こえにくいため声量の調節が難しくなるということが起こります。
生まれつきの難聴は、毛色と関わります
意外に思われるかもしれませんが生まれつきの難聴の多くは毛色を決める遺伝子と関わっているとされています。
音を受け取る器官が十分に育たない、あるいは早くに変性してしまう——その背景に色素に関わる遺伝子があるのです。
| 遺伝子 | 毛色の特徴 | 見られる犬種 |
|---|---|---|
| パイボールド | 濃い毛色の地に、白い斑ができる | ダルメシアン、ブル・テリア、イングリッシュ・セター、ブルドッグ |
| マール | 灰青色の地に、黒い斑が入る | コリー、シェルティー、ダップルのミニチュア・ダックスフンド |
| 共通する点 | 色素が薄い部分と関わる | 白い部分が多いほど、傾向が強いとされる |
| 現れ方 | 片耳だけのこともある | 両耳なら、より気づかれやすい |
とくにダルメシアンやブル・テリアのような白い部分の多い犬種では知られた話です。
片耳だけ聞こえないという場合もありそれは日常生活ではほとんど分かりません。
音のする方向が分かりにくくなるくらいで呼べば来るからです。
子犬のうちに気づく手がかり
兄弟のなかで、その子だけ反応が違う——
大きな音がしたときほかの子は驚いたのにその子だけ動かなかった——
そうした場面が気づく手がかりになります。
また、眠りが深く起こすのに苦労するということもあります。
気になるなら、早いうちに相談しておいてください。分かっていればしつけの伝え方も変えられます。
生まれつきの難聴は治すことはできません。
けれど、早く分かれば音ではなく手のサインで伝えるという育て方が最初から選べます。
「聞こえないから、しつけができない」のではありません。
伝え方を変えればよいだけです。
そして、この病気には繁殖の話もついてきます。
毛色を決める遺伝子と関わっているのですから組み合わせによっては難聴の子が生まれやすくなる——
とくに、マールの遺伝子を持つ犬同士をかけ合わせることには注意が必要だとされています。
白い部分がとても多い子が生まれ、難聴や目の異常を伴いやすくなるためです。
繁殖を考えているなら毛色の遺伝についてきちんと知っている人に相談してください。
歳を重ねて、聞こえなくなること
もっとも多い難聴は加齢によるものです。
人と同じように犬も歳をとると聞こえにくくなります。
音の振動を伝える耳小骨の動きが加齢で弱まっていく——それが背景にあるとされています。
- 数年かけて、少しずつ進む
- 高い音から聞こえにくくなることが多い
- 本人も飼い主も、気づきにくい
- 「頑固になった」と受け取られやすい
- 目や足腰の衰えと、同時に進むことがある
- 戻すことは難しい
ゆっくり進むため「あるとき突然」という気づき方はしません。
「そういえば、最近呼んでも来ないな」と思ったときにはかなり進んでいる——そういうものです。
そして、高齢の犬に多い甲状腺機能低下症も難聴を起こすことが知られています。
「歳だから」で片づける前に一度調べてもらう価値がここにあります。
元気がない、太ってきた、毛が薄くなった、寒がる——
そうした変化が難聴と同時に出ているなら伝えてみてください。
治せる難聴も、あります

この記事でもっとも伝えたい部分です。
「聞こえなくなった」と感じたとき——
まず、治せるものかどうかを確かめてください。
| 背景 | 起きていること | 対応 |
|---|---|---|
| 外耳炎 | 耳道が腫れて、狭くなっている | 治療で戻ることがある |
| 耳垢の蓄積 | 音の通り道が塞がっている | 洗浄で改善する |
| 中耳炎 | 中耳に液や膿がたまっている | 治療で戻ることがある |
| 甲状腺機能低下症 | ホルモンの不足 | 薬で改善することがある |
| 内耳の破壊 | 音を受け取る器官が壊れた | 戻すのは難しい |
| 神経の障害 | 音を伝える神経が傷んだ | 戻すのは難しい |
耳道が炎症で狭くなっているだけならそれは「音の通り道が塞がっている」という状態です。
塞がりが取れればまた聞こえるようになります。
だから、繰り返す外耳炎を治しきることには聞こえを守るという意味もあります。
そして中耳炎を放置して内耳まで炎症が広がれば——
そのときには戻せない難聴になってしまいます。
垂れ耳で外耳炎を繰り返しやすい犬種——たとえばアメリカン・コッカー・スパニエルのような犬ではこの道すじをとくに意識しておいてください。
薬による難聴
一部の薬には聞こえに影響する副作用が知られています。
とくに、鼓膜が破れている状態で耳に入れた薬が内耳まで届いてしまうと問題になることがあります。
市販の洗浄液を自己判断で使わないでくださいと繰り返し書かれているのはこのためです。
鼓膜の状態を確かめてから使うものを決める——その順番には理由があります。
自宅での、確かめ方

本当に聞こえていないのかを自宅で確かめるときの注意点を書きます。
いちばん多い誤りは振動で気づかせてしまうことです。
- 犬の視界に入らない位置から試す
- 床を踏む、手を叩くなど振動が伝わる音は避ける
- 離れた場所から、いつもの声で呼ぶ
- 寝ているときに、物音で起きるかを見る
- 高い音と低い音、両方で試してみる
- 何度か、日を変えて確かめる
「手を叩いたら振り向いた」——
それは、空気の動きや床の振動で気づいたのかもしれません。
だから、できるだけ離れた場所から確かめてください。
そして、反応の「遅れ」にも注目してください。
まったく反応しないのではなく何度も呼ばないと気づかない——それも、聞こえが落ちている合図です。
病院では聴力を調べる検査が行われることがあります。
脳が音に反応しているかを波形で確かめる検査で片耳だけの難聴も分かります。
聞こえない犬との、暮らし方

聞こえなくなっても暮らしは続きます。
そして、犬は驚くほどうまく順応します。
大切なのは伝え方を変えることです。
| 場面 | 工夫 |
|---|---|
| 呼ぶとき | 床を軽く踏む。近づいて、そっと触れる |
| 合図 | 手のサインを決めておく(おいで・待て) |
| 近づくとき | 後ろからではなく、視界に入ってから |
| 起こすとき | いきなり触らず、まず空気を動かす |
| 散歩 | 必ずリードをつける。車の音に気づけない |
| 留守番 | 来客や物音に気づけないことを前提に |
もっとも大切なことは驚かせないことです。
聞こえない犬は人が近づいてくることに気づけません。
眠っているところをいきなり触られれば驚いて反射的に噛んでしまうこともあります。
これは、性格が悪くなったのではなく当然の反応です。
まず視界に入る、近くの床を軽く踏んで振動で気づかせる——
そのひと手間が事故を防ぎます。
🩺 家族全員で、共有してください
小さなお子さんがいるご家庭ではとくに伝えておいてください。
「後ろから急に触らない」という一点だけでほとんどの事故が防げます。
子どもは犬が眠っているところに近づきたがります。
「この子は音が聞こえないから、先に前から見えるところに立ってね」——
そう教えておくことが犬と子どもの両方を守ります。
そして散歩では必ずリードをつけてください。
車の音、自転車のベル、近づく足音——そのすべてに気づけません。
「今まで大丈夫だったから」は通用しなくなったと考えてください。
手のサインはいくつあっても覚えられます。
「おいで」「待て」「ごはん」「散歩」——よく使うものから決めていってください。
大きく、はっきりした形で毎回同じように出すのがコツです。
そして、できたらしっかり褒めてください。声が届かなくても笑顔と、なでる手と、おやつは伝わります。
受診と、検査
受診のときに伝えてほしいことを挙げます。
- いつごろから、気づいたか
- 急に起きたのか、少しずつ進んだのか
- どんな場面で気づいたか
- 外耳炎を繰り返していないか
- 頭を打つような出来事がなかったか
- 使っている薬や、ほかの体調の変化
とくに「急に」か「少しずつ」か——
これが、疑う相手を大きく分けます。
急に起きたなら炎症や、薬、外傷が考えられます。
数年かけて少しずつなら加齢による変化がまず考えられます。
診察では耳の中を見て、耳道が塞がっていないか、鼓膜がどうなっているかを確かめてもらいます。
そこで治せるものが見つかることがあります。
耳垢が耳道をびっしり塞いでいた——それだけの理由で聞こえが落ちていたということも実際にあります。
洗浄して取り除けばその日のうちに反応が変わる——そういう場合もあるのです。
だから、「もう歳だから」と受診しないまま決めてしまわないでください。
調べて、戻せないと分かったならそのとき納得できます。調べずに諦めるのとはまったく違います。
聞こえが戻らなかったとき
調べた結果、戻せないと分かることもあります。
そのときには気持ちの整理が必要になるかもしれません。
けれど、犬にとっての難聴は人が想像するほどつらいものではないとも言われます。
においと視覚がもともととても発達しているからです。
痛みもありません。本人が苦しんでいるわけではない——そこは、覚えておいてください。
伝え方を変えればこれまでどおり暮らしていけます。
よくある質問
Q. 呼んでも来ないのは、難聴でしょうか?
A. その可能性があります。犬は床の振動や空気の動き、においでも気づくため、聞こえていなくても対応できてしまいます。視界に入らない位置から、離れて呼んで確かめてみてください。
Q. 生まれつきの難聴は、なぜ起こるのですか?
A. 多くは、毛色を決める遺伝子と関わっているとされています。白い斑を作るパイボールド遺伝子、灰青色に黒い斑が入るマール遺伝子を持つ犬種で見られやすくなります。片耳だけのこともあります。
Q. 治ることはありますか?
A. 背景によっては、戻ることがあります。外耳炎で耳道が狭くなっている、耳垢がたまっている、中耳に液がたまっている、甲状腺の働きが落ちている——こうした場合は、治療で改善することがあります。
Q. 高齢だから仕方ないのでしょうか?
A. 「歳だから」で片づける前に、一度調べてもらってください。高齢の犬に多い甲状腺機能低下症も難聴を起こすことが知られています。元気がない、太ってきた、寒がるなどの変化があれば伝えてください。
Q. 聞こえているか、自宅で確かめられますか?
A. 振動で気づかせないことが大切です。床を踏む、手を叩くといった方法は振動や空気の動きが伝わります。視界に入らない離れた場所から、いつもの声で呼んで確かめてください。
Q. 聞こえない犬と、どう暮らせばよいですか?
A. 音の代わりに、視覚と振動を使います。手のサインを決める、近づくときは視界に入ってから、呼ぶときは床を軽く踏む——伝え方を変えれば、これまでどおり暮らせます。
Q. 噛むようになりました
A. 驚かされたことへの、反射的な反応かもしれません。聞こえない犬は人が近づくことに気づけません。後ろから急に触らない、まず視界に入る——それだけで多くは防げます。
まとめ|伝え方を、変えてください
難聴は気づかれにくい変化です。
犬は音以外の手がかりでうまく対応してしまうから——
だから、「言うことを聞かなくなった」という形で受け取られてしまいます。
けれど、無視しているのではありません。
そして、難聴のなかには治せるものがあります。
外耳炎で耳道が塞がっている、耳垢がたまっている、ホルモンの病気が背景にある——
これらは、調べなければ分かりません。
「歳のせい」で終わらせないでください。
そして、戻らないと分かったとしても——
それは暮らしの終わりではありません。
音の代わりに、手のサインと、振動と、視線を使う——
伝え方を変えるだけです。
犬は、こちらが思うよりずっと早く新しい伝え方に慣れます。
戸惑っているのはたいてい人のほう——そう言われることもあるほどです。
今日できる3つ
- 1視界に入らない離れた場所から、いつもの声で呼んでみる
- 2外耳炎を繰り返しているなら、聞こえのことも次の受診で伝える
- 3後ろから急に触らない——家族全員で共有する
呼んでも来ないのは、無視ではありません。まず、治せる難聴かどうかを確かめてください。

本日の「犬猫の悩みを即解決!」の記事「犬の難聴|呼んでも来ないのは、無視ではありません」でした。
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