犬の低血糖症|歯ぐきに塗り込む、その一手を覚えてください

犬の低血糖症

この記事には覚えて帰ってほしい一手あります。

ぐったりして食べられないけいれんを起こしている——

そういうとき砂糖水かガムシロップ

歯ぐきや粘膜に塗り込む——

それだけ時間がつくれることがあります。

低血糖症——

血糖値が下がり体が動けなくなる状態です。

とくに、生後3か月まで子犬多く見られます。

ただし、忘れないでほしいことひとつ——

元気になったとしても必ず病院へ行ってください。

1時間もするとまた戻ってしまうからです。

結論

低血糖症とは何らかの原因によって血糖値が低下し、それにより特徴的な様々な症状を起こす症状のことです。活動性が低下することがまず挙げられ、ぐったりして元気がなくなるといった症状が見られたら低血糖を疑います。さらに後ろ足部分の麻痺やけいれん発作、嘔吐、失禁、震え、下痢などの症状が起こる場合もあります。子犬の低血糖症は、生後3か月までに多く見られ主な原因は空腹や身体の冷え、内臓障害があるため栄養を吸収する機能が不全であることなどです。生後3か月未満の子犬は肝機能が弱く、肝臓に糖を貯蔵する能力が十分ではありません。応急処置は糖分を与えることで、けいれんや発作が起きている場合は、歯茎や粘膜に塗り込みます。

この記事でわかること

  • 家でできることが、ある病気です
  • まず、ぐったりに気づいてください
  • 生後3か月までの子犬には、蓄えがありません
  • 応急処置——歯ぐきに塗り込みます
  • 「元気になった」は、治ったではありません
  • 大人の犬で起きるときは、背景を探します
  • 起こさないための、暮らし方

家でできることが、ある病気です

多くの病気飼い主にできること「早く気づいて病院へ運ぶ」ことです。

けれど、この病気少し違います。

足りないもの——

そして、糖家にあります。

状況ごとの対応
状況 できること
自力で食事がとれる 少量の食事を、複数回に分けて与える
食事が食べられない 砂糖水かガムシロップを舐めさせる
けいれん・発作がある 歯茎や粘膜に塗り込む
そのあと 必ず病院へ連れて行く
理由 1時間もすると、再び低血糖になることが多い
だから 応急処置は、時間を稼ぐためのもの

「家にあるものでできる」——

それは、とても心強いことです。

けれど、同時に「知らなければできない」ということでもあります。

だから、この記事読んでいるいま覚えておいてください。

実際に起きたときには調べている余裕ありません。

あわてているうえに相手は動けない——

そのなか手が動くのは

前もって知っていた人だけです。

まず、ぐったりに気づいてください

症状の進み方
ぐったりが、いちばん最初の合図です。

症状段階を追って進みます。

活動性が低下することまず挙げられ

ぐったりして元気がなくなるといった症状が見られたら低血糖を疑ってみましょう。

  • ぐったりして、動かなくなる
  • ふらつく、よろける
  • 震えている
  • 後ろ足が動かなくなる(麻痺)
  • 嘔吐、下痢
  • 失禁する
  • けいれん発作を起こす

いちばん最初出てくるのが「ぐったり」です。

ここで気づけるならいちばん楽に済みます。

そして、けいれん——

けいれん聞くとてんかんを思い浮かべるかもしれません。

けれど、けいれんの原因ひとつではありません。

低血糖そのひとつです。

そして、この場合には糖分を与えることでおさまります。

だから、見分けがつくこともあるのです。

ただし、自己判断はしないでください。

「糖分で戻りました」という情報ごと伝えることが大事です。

受診のとき、直前の食事を伝えてください

けいれんを起こしたとき獣医師が知りたいことひとつ

「最後に食べたのはいつか」です。

長く食べていないのなら低血糖まず考えます。

食べた直後なら別の可能性探します。

この一言調べる順番変わります。

思い出せる範囲伝えてください。

生後3か月までの子犬には、蓄えがありません

子犬が危ない理由
蓄えが、まだつくれていません。

子犬の低血糖症生後3か月までに多く見られます。

その理由はっきりしています。

生後3か月未満の子犬肝機能が弱く肝臓に糖を貯蔵する能力が十分ではありません。

子犬で起きる理由
原因 起きること
空腹 食事の間隔が空くだけで、下がる
身体の冷え 体温が下がることも引き金になる
内臓障害 栄養を吸収する機能が不全なことも
肝臓の未熟さ 糖を貯めておけない
結果として すぐに底をついてしまう
だから 短時間で、重い状態になりうる

大人の犬なら肝臓に蓄えがあります。

少しくらい食べなくてもそこから出してこられる——

けれど、子犬にはその蓄えがまだありません。

使い切ればそこで止まってしまうのです。

だから、半日食べていないだけでも起きうる——

大人の犬とのいちばん大きな違いここにあります。

迎えたばかりの時期——

環境が変わって食べないこともあります。

そういうとき起きやすい知っておいてください。

応急処置——歯ぐきに塗り込みます

応急処置の手順
食べられるかどうかで、やり方が変わります。

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

応急処置の方法糖分を与えることです。

ただし、状態によってやり方が変わります。

応急処置のやり方
状態 やり方
自力で食事がとれる 少量の食事を、複数回に分けて与える
食事が食べられない 砂糖水もしくはガムシロップを、舐めさせる
けいれん・発作がある 歯茎や粘膜に、塗り込む
用意するもの 砂糖水、またはガムシロップ
注意 意識がないときに、飲ませようとしない
そのあと 必ず病院へ

「塗り込む」という方法意味があります。

けいれんしているときに飲ませようとすれば

気管に入ってしまう危険があります。

けれど、歯ぐきや粘膜からならそのまま取り込まれます。

指につけて歯ぐきにこすりつける——

それが、この場面での正しいやり方です。

やってはいけないこと

あわてているときほどやってしまいがちなことあります。

  • 意識がないのに、口に水や食べものを入れる
  • 口を無理にこじ開ける
  • けいれん中に、体を強く押さえつける
  • チョコレートなど、犬に危険なもので代用する
  • 「元気になったから」と受診をやめる
  • 自己判断で、量をたくさん与える

いちばん危ないのは飲ませようとして気管に入れることです。

だから、「塗り込む」のです。

そして、甘いものなら何でもよいわけではありません。

チョコレート犬にとって危険なものです。

砂糖水かガムシロップ——

そこを覚えておいてください。

⚠ 常備しておいてください

いざというとき「家にない」では間に合いません。

ガムシロップどこでも手に入ります。

子犬を迎えたならひとつ置いておいてください。

使わずに済むほうがよいものですが

あることが分かっているだけで動けます。

そして、家族にも場所を伝えておいてください。

「元気になった」は、治ったではありません

糖分を与える驚くほど早く戻ってきます。

さっきまでぐったりしていたのに立ち上がって歩き出す——

そうなると「もう大丈夫」思ってしまいます。

けれど、そこが落とし穴です。

ガムシロップなどによる糖分すぐに消費されてしまうので

1時間もすると再び低血糖症になってしまうことが多いのです。

  • 与えた糖は、すぐに使われてしまう
  • 蓄えができたわけではない
  • だから、また下がってくる
  • 元気になっても、必ず病院へ
  • そこで、点滴などの処置を受ける
  • そして、なぜ起きたのかを調べる

応急処置「治すため」ではありません。

「病院にたどり着くまでの時間をつくるため」のもの——

そこを取り違えないでください。

元気になったのはその一手が効いたということ——

そのまま連れて行ってください。

病院では、何をするのか

「もう元気なのに、行く意味があるのか」——

そう思われるかもしれません。

受診したときに行われること
行われること 意味
血糖値を測る いまどこまで戻っているかを確かめる
点滴 糖を、時間をかけて入れていく
体温を上げる 冷えていれば、あわせて対応する
原因を探す なぜ下がったのかを調べる
経過を見る また下がらないか、確かめる
今後の相談 食事の回数などを決めていく

家で与えた糖すぐ使われます。

けれど、点滴なら時間をかけて入れられます。

そのあいだ体が立て直せる——

そこまでできるのが病院です。

そして、「なぜ起きたのか」調べておくことが

次を防ぎます。

大人の犬で起きるときは、背景を探します

子犬なら空腹や冷え起きます。

けれど、大人の犬起きるなら

別の理由あることが多くなります。

成犬で起きたとき
こんなとき 考えること
成犬で繰り返す 背景を調べる必要がある
糖尿病の薬を使っている 量が合っているか、確かめる
肝臓の病気がある 糖を貯める働きが落ちていることも
食べられていない期間がある そこが引き金になっている
激しい運動のあと 使い切ってしまうことがある
いずれも 「なぜ起きたか」を調べることが治療になる

低血糖そのもの結果です。

糖分を与えればその場は戻ります

なぜ下がったのか解決していなければ

また同じことが起きます。

とくに、糖尿病の治療受けている犬では

薬の量関わっている可能性あります。

必ず伝えてください。

繰り返すなら、記録を

一度だけならそのときの事情説明がつきます。

けれど、何度も起きるなら話が違ってきます。

  • いつ起きたかを、記録する
  • 直前に何をしていたかを、書いておく
  • 最後に食べたのはいつだったか
  • どのくらいで戻ったか
  • 時間帯に、かたよりがないか
  • その記録を持って、受診する

「朝方に多い」「運動のあとに起きる」——

そういうかたより見えてくる

原因を絞り込めます。

飼い主にしか分からない情報——

それが、この病気でも力になります。

起こさないための、暮らし方

起こさないために
間隔と、温度を整えます。

子犬場合には防げることが多くあります。

  • 食事は、少量を複数回に分けて与える
  • 食事の間隔が、空きすぎないようにする
  • 体を冷やさない。寝床を暖かくする
  • 長時間の留守番のときは、とくに気をつける
  • 食べていない日が続いていないか、確かめる
  • 下痢が続いているときも、注意する

引き金になる「空腹」「冷え」——

この2つ避けるだけで大きく変わります。

とくに、迎えたばかりの時期——

環境が変わって食べないことがあります。

「そのうち食べるだろう」待つのは

この時期には危ないことです。

食べない日が続いているなら

子犬食べない——

これは、それだけで受診の理由なります。

食べないときの見方
こんなとき 考えること
迎えた直後で食べない 環境の変化。けれど放置しない
1日食べていない 子犬なら、相談してほしい
下痢が続いている 栄養が取り込めていない可能性
吐いている 食べても出てしまっている
元気がない すでに下がっているかもしれない
体が冷たい 冷えも引き金になる。温めながら受診

大人の犬なら一食抜いてもそれほど問題になりません。

けれど、子犬違います。

蓄えがないのですから

そのまま下がっていってしまうのです。

「食欲がないだけ」思わずに早めに相談してください。

🩺 小さな犬種では、とくに

小さな犬種子犬ではとくに起きやすくなります。

体が小さいぶん蓄えられる量少ないからです。

迎えるとき「食事の回数は何回ですか」聞いておいてください。

そして、その回数守ってください。

減らすとき相談してから——

成長にあわせて変えていくものです。

留守番のときに、できること

長い時間ひとりにするときがいちばん心配になります。

留守番のときの工夫
工夫 内容
出かける前 食べたことを確かめてから出る
時間 子犬のうちは、長時間空けすぎない
室温 冷えないように保つ
寝床 暖かい場所をつくっておく
帰ったら 食べた形跡と、様子を確かめる
誰かに頼めるなら 途中で見てもらうのがいちばん

帰ってきてぐったりしている——

そのときこの記事のこと思い出してください。

まず、糖分を与えること——

そのあとで、病院へ向かうこと。

この順番覚えておくだけで

あわてずに動けます。

迷って何もできない時間いちばん惜しいのです。

よくある質問

Q. 低血糖症とは、どんな状態ですか?

A. 何らかの原因によって血糖値が低下し、様々な症状を起こす状態です。まず活動性が低下し、ぐったりして元気がなくなります。

Q. どんな症状が出ますか?

A. ぐったりして元気がなくなることが、最初に挙げられます。さらに、後ろ足部分の麻痺やけいれん発作、嘔吐、失禁、震え、下痢などの症状が起こる場合もあります。

Q. 応急処置は何をすればよいですか?

A. 糖分を与えることです。自力で食事がとれるなら、少量の食事を複数回に分けて与えてください。食事が食べられない場合は、砂糖水もしくはガムシロップを舐めさせます。

Q. けいれんしていて、飲ませられません

A. 歯茎や粘膜に塗り込んでください。けいれんや発作が起きている場合の方法です。飲ませようとすると気管に入る危険があるため、塗り込むほうが安全です。

Q. 元気になったら、病院に行かなくてよいですか?

A. 必ず連れて行ってください。ガムシロップなどによる糖分はすぐに消費されてしまうので、1時間もすると再び低血糖症になってしまうことが多いためです。

Q. なぜ子犬に多いのですか?

A. 肝臓に糖を貯蔵する能力が、十分ではないからです。生後3か月未満の子犬は肝機能が弱く、蓄えをつくれません。子犬の低血糖症は、生後3か月までに多く見られます。

Q. 子犬で、どんなときに起きますか?

A. 主な原因は、空腹や身体の冷えです。また、内臓障害があるため栄養を吸収する機能が不全である、といった原因も考えられます。

Q. 予防はできますか?

A. 食事の間隔と、体温がかぎになります。子犬のうちは少量を複数回に分けて与え、間隔が空きすぎないようにしてください。そして、体を冷やさないようにします。

Q. チョコレートやはちみつでもよいですか?

A. チョコレートは使わないでください。犬にとって危険なものです。用意するのは、砂糖水もしくはガムシロップです。手元にあるもので代用しようとせず、あらかじめ常備しておいてください。

Q. 成犬でも起きますか?

A. 起きます。その場合は、背景を探すことになります。糖尿病の治療を受けている、肝臓の病気がある、食べられていない期間があるなど、理由があることが多くなります。

まとめ|ガムシロップを、ひとつ置いてください

この記事でいちばん伝えたかったことひとつです。

ぐったりして食べられないとき

歯ぐきに糖分を塗り込む——

この一手知っているかどうか

結果が変わることがあります。

そして、元気になっても病院へ——

1時間で戻ってしまうからです。

子犬を迎えたのなら

ガムシロップひとつ置いておいてください。

もちろん、使わずに済むのがいちばんですが

あることが分かっているだけで動けます。

今日できる3つ

  • 1ガムシロップか砂糖を、すぐ出せる場所に置く
  • 2家族にも、置き場所とやり方を伝えておく
  • 3子犬なら、食事の回数と間隔を確かめ直す

家でできることがある病気は、多くありません。この一手を、覚えておいてください。